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二章 魔性
サタン系ソロモン
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「……仕方ない女だ、 私が直々に茶をお前にくれてやるから、 そこに座れ……」
ソロモンはリビング内にあるティーセットをクラッシック調棚から取り出し、 意外と上品な慣れた手で紅茶を用意した。
「今度から自分の飲む紅茶ぐらい、 自分で用意しろ」
「すいません……」
ソロモンは、 硬い表情を浮かべ話す。
「カード揃ったところで話を進めたい。 ルイ、 ここから先の話を聞いたなら、 最後迄任務を全うして貰うが。 良いな?」
「任務?」
「聞かれた問に答えろ。 後で止めると言うなら今止めろ。 重大な話だ」
一瞬躊躇うルイだったが、 ソロモンの真剣な表情を見て後に引けない状態だった。
「やります」
「何だ怯えた表情だな? 安心しろ……お前の命に害などないさ。 先に言った様にお前も大切な 『カード』 だ。 まず、 ベンジャミン、 だが……吸血鬼」
「吸血鬼?! あ、 ……」
吸血鬼と知らないでベンジャミンに先程抱きついたと思い出すルイ。
更に話を続けるソロモン
「私は、 サタンⅡ世だ……悪魔が父で吸血鬼と人間の三種混血」
信じられない話にルイは絶句した
『悪魔に吸血鬼……、 ここ完全にオバケ屋敷と言う訳ね』
ルイは少々自棄になり、 呟いた。
「一階でライオンの石像二体にある光る目動いた理由は」
ソロモンは不敵な笑みを浮かべた。
「この屋敷に私が、 凝った魔力で仕掛けをしてあってな。 殆ど遊び半、 また、 本気半分だが」
ソロモンはルイの運んだ紅茶を飲んで話を続ける
「幼い時に生き別れになった従兄弟を探して居る。 奴が、 時を万物の法則を左右する程に強力な魔法書と消えた。 継承された人物・私以外が使ったら……、 簡単に言えば禁断の書になるな。 取り返すさ。 まぁ……たった一人になった従兄弟に懐かしさなど無い、 と言えば嘘になるが」
少し憂いた様な表情に感情があった。
「我々一族に伝わるカード占いで導かれた答え……。 交わると言う意味でクロスと言う名、 女でないといけなかった。 それがルイ、 お前になったと言う訳だ。 ベンジャミンは…… 『遠い過去に遡る』 為に必要なカードでな。 中世から来た吸血鬼で魔力は強い本物、 この男に今回協力を頼んだと言う訳だ。 私自身を表すカードは馬、 駆ける黒い馬。 中心と言う訳だ。 お前もベンジャミンも、 私も鍵を握るカードになる訳だ。 どのカードが欠けたとて……成立しない条件。 今此処までしか話せない」
黙って話を今迄聞いたベンジャミン皮肉たっぷりに、
「ふ、 協力を頼んだ? 命令の間違いじゃないのか? あんな荒っぽい招待状頂いて本当に光栄だソロモン」
対するソロモン、 漂々答えながら、 ルイの肩を抱いた
「そんなに嬉しいか? ベンジャミン、 なら、 あとお前に任せて……ルイ、 今からベッドで夜を楽しむかい?」
「こんな時に何を言うんですか!」
ルイはソロモンを又押し退けた
少し残念な表情を浮かべたソロモン
「ふぅ……まだダメか? 馬の鼻先にニンジンだな」
「まだ、 じゃなくて……、 ずっとダメです」
呑気にジャレているソロモンにベンジャミン、
「で、 ソロモン……、 何か手掛かりとか無いのか? 此処で待っても始まらんだろう……?」
真顔で答えるソロモン
「待つ? 待つなど性分に合わん。 早速だが、 ベンジャミンとルイ、 お前達二人で動いて欲しい」
地図らしい紙を二枚、 テーブルに置いたソロモン。
驚いたベンジャミンは、
「ソロモン……? お前、 ルイさんを私に預けると?」
「何だ? 不満か?」
あれ程ルイをおもちゃにしていた男から意外な言葉。
「これから一人で動きたい場所ある……じゃぁな」
「待て、 ……従兄弟、 日本に居ると言う確証あるのか?」
「あぁ。 二百年探索したからな日本で間違いない。 髪はブロンド、 目はゴールド・アイ」
ベンジャミンとルイを残し、 リビングを去るソロモン。
「あの男、 ヴァンパイアの私でさえも、 本音が全然読めない奴だな」
目を合わせるベンジャミンとルイ。
ベンジャミンの正体ヴァンパイアと知り、 少し不安な様子をするルイ。
「どうしますか? ルイさん。 私と行動をしますか??」
「ベンジャミンさん……、 一緒に行動をしたら……私の血、 欲しくなるんじゃ……?」
ストレートなルイの問いにベンジャミンは一度躊躇う。
「否定しない……。 理性で我慢なら……」
ソロモンとベンジャミン。 ルイに危険な相手に変わりない。
ただ、 ベンジャミンと行動をする様にソロモンから言われた以上、 ルイはベンジャミンと探索に出る決意をした。
「ベンジャミンさん、 何処を探すんです?」
「うん……、 地図なんだが、 暗号になってる。 恐らく、 今で言う地域を示すかと……。 ルイさん、 これ解るかい? 近辺地理等詳しい貴女じゃないと解らないと思う」
「これって……時計屋さんだわ……」
「時計屋か……ん? 待てよ、 キーワード……時計塔だ! 時計屋に何等か、 時計塔と繋がる歪有る筈だ。 行こう。 ルイさん、 ここから先、 何有るか解らない。 私から離れたら……危険だ」
「傍に居ます」
ベンジャミンとルイ、 時計店に向かった。
午後一一時で時計店から商店、 全部閉店して、 開いてると言えばコンビニだけだった。。
小さな時計店を見たベンジャミン、 小声で呟いた。
「懐かしい様なアンティークな時計店だな……。 よし……、 じゃぁ、 まず、 壁に変わった歪とかないか
探すとするか」
強烈なソロモンの後で見るベンジャミンは、 なぜか、 マトモな男性に映った。
壁を二人で触ると後ろから老人の声。
「こらぁ、 そこで何をする? お前達コソ泥か?」
ベンジャミン、 慌てた。
「違う泥棒さんじゃない」
ジッとベンジャミンを見た老人は、
「こんな真夜中に何だ?」
「あ……」
「若造、 説教してやる」
ベンジャミンとルイを捕まえ店へ。
ルイとベンジャミン、 顏を合わせ困惑。
『うわぁ……、 どうしたらいいんだろう』
アンティークな時計店内にある古い高価な椅子を二人に出す老人。
「ふっ、 説教なんざ冗談じゃ。 少し年寄のお茶に付き合え二人共」
老人は微かに微笑んで棚から紅茶セットを取り出し、 温かい紅茶をベンジャミンとルイに渡した。
ベンジャミンは老人をジッと見た。
「何じゃ? 儂の顏に何か付いとるか?」
「あ……、 いえ、 失礼……、 少し……祖父に似た方だったんで……」
「祖父か……。 儂の孫も生きてたらお主ぐらいな青年じゃろな」
「と言いますと……」
「あぁ……孫は今この世に居ない。 輪廻と言うんじゃろ。 お主が孫の生まれ変わりと思わせてくれ」
ベンジャミンは一瞬躊躇った。
まさか中世から来た吸血鬼で、 気の遠くなる程長い時を生きていると言えなかった。
老人は今度ルイに目を向けた。
「そこの御嬢さん、 恋人でもなさそじゃな?」
「違います」
「じゃろうな。 この男、 アンタに惚れかけとる様じゃがな」
咽るベンジャミン。
「紅茶済んだら帰るんじゃ。 解ったな? あぁ……、 独り言じゃがな、 この店にある裏路地に面した古い扉に変な道あるとか無いとか。 ただ、 その扉を開ける為に恋人同士の強い愛を必要とするらしい。 心身共に結ばれた本当の愛じゃ。 偽ったら二度と帰れんぞ。
さて……儂は今から時計修理するから紅茶済んだら帰るんじゃ」
出された紅茶を全部飲んだベンジャミンは老人に尋ねた。
「ご馳走になりました。 私、 ベンジャミン・アドラスと言います。 宜しかったら是非お名前を」
「なに、 ただの、 老いぼれお節介爺じゃから」
と言いながら、 老人から高貴で紳士的な雰囲気を感じた。
「ベンジャミン、 ……お前さん、『国』 でベンと呼ばれるじゃろ? お前さんとこれで多分二度と会えんだろうな……達者でな」
何処か寂しい表情を浮かべた。
とりあえず、 今日明日の話にならない。
ソロモンの屋敷に一度帰る二人。
帰る途中ベンジャミンはボソリとルイに話す。
「ルイさん……、 私を怖がらないね」
「ベンジャミンさん、 こうしてると普通に人間男性に見えますから」
ベンジャミンは溜息と微かに寂しい顏。
「私が棲む世界で……、 私はただ吸血鬼として恐れられた。 恐れながら遠巻きに好奇な眼差しで見られたな……。 普通に人として貴女に接して貰って嬉しい。 変だが……今気付いたかも知れないな、 貴女から伝わる優しさに。 ところで……、 面倒な話になったな……本当の愛なんて何処に……」
「今の時計屋さんに御爺さん居たなんて知りませんでした」
驚いたベンジャミン、 ルイに聞いた
「え?」
「確かに……時計屋さん経営する人ですが……、 ご老人を見たの初めてで」
話をするうちに二人、 ソロモン邸に着いた。
リビングに行けば、 ソロモンはワインを飲んで居た。
二人に尋ねるソロモン。
「どうだった……?」
ベンジャミンは少し戸惑う様に答えた。
「どうもこうも……、 今すぐどうにかなる様な問題じゃないな。 歪である扉らしい情報確かに有ったが……本物の愛でないと開かないらしい」
ソロモンは一つ溜息をついた。
「本物の愛だ?? また面倒な……ある訳なかろう」
と呟いた後にルイを見て腰を抱き寄せ囁いた。
「何なら……愛とやらを育てるか? 二人で。 今は戯れでも体を重ねるうちに……愛に変わるやも」
ルイはどういう訳か真っ赤になった
「又……、 ソロモン様、 やめて下さい!!」
「何だ? 顏真っ赤にして。 冗談など言う暇無いな。 何か手を打たんと……本当にマズイなぁ」
ベンジャミンはソロモンに尋ねた。
「ソロモン、 お前はどうなんだ?」
「奴の痕跡を追った……。 やはり魔法書にある影響で歪に潜んでる様だ。 とりあえず……お疲れ。 午前三時過ぎた。 各自部屋で休め。 ルイ、 お前、 夜中に帰るの危険だから、 帰るなら朝帰れ。 此処に仮住まいするなり、 家に帰るなり自由だ。 じゃあな」
ソロモンはリビングから出た後、 寝室へ向かった。
ソロモンはリビング内にあるティーセットをクラッシック調棚から取り出し、 意外と上品な慣れた手で紅茶を用意した。
「今度から自分の飲む紅茶ぐらい、 自分で用意しろ」
「すいません……」
ソロモンは、 硬い表情を浮かべ話す。
「カード揃ったところで話を進めたい。 ルイ、 ここから先の話を聞いたなら、 最後迄任務を全うして貰うが。 良いな?」
「任務?」
「聞かれた問に答えろ。 後で止めると言うなら今止めろ。 重大な話だ」
一瞬躊躇うルイだったが、 ソロモンの真剣な表情を見て後に引けない状態だった。
「やります」
「何だ怯えた表情だな? 安心しろ……お前の命に害などないさ。 先に言った様にお前も大切な 『カード』 だ。 まず、 ベンジャミン、 だが……吸血鬼」
「吸血鬼?! あ、 ……」
吸血鬼と知らないでベンジャミンに先程抱きついたと思い出すルイ。
更に話を続けるソロモン
「私は、 サタンⅡ世だ……悪魔が父で吸血鬼と人間の三種混血」
信じられない話にルイは絶句した
『悪魔に吸血鬼……、 ここ完全にオバケ屋敷と言う訳ね』
ルイは少々自棄になり、 呟いた。
「一階でライオンの石像二体にある光る目動いた理由は」
ソロモンは不敵な笑みを浮かべた。
「この屋敷に私が、 凝った魔力で仕掛けをしてあってな。 殆ど遊び半、 また、 本気半分だが」
ソロモンはルイの運んだ紅茶を飲んで話を続ける
「幼い時に生き別れになった従兄弟を探して居る。 奴が、 時を万物の法則を左右する程に強力な魔法書と消えた。 継承された人物・私以外が使ったら……、 簡単に言えば禁断の書になるな。 取り返すさ。 まぁ……たった一人になった従兄弟に懐かしさなど無い、 と言えば嘘になるが」
少し憂いた様な表情に感情があった。
「我々一族に伝わるカード占いで導かれた答え……。 交わると言う意味でクロスと言う名、 女でないといけなかった。 それがルイ、 お前になったと言う訳だ。 ベンジャミンは…… 『遠い過去に遡る』 為に必要なカードでな。 中世から来た吸血鬼で魔力は強い本物、 この男に今回協力を頼んだと言う訳だ。 私自身を表すカードは馬、 駆ける黒い馬。 中心と言う訳だ。 お前もベンジャミンも、 私も鍵を握るカードになる訳だ。 どのカードが欠けたとて……成立しない条件。 今此処までしか話せない」
黙って話を今迄聞いたベンジャミン皮肉たっぷりに、
「ふ、 協力を頼んだ? 命令の間違いじゃないのか? あんな荒っぽい招待状頂いて本当に光栄だソロモン」
対するソロモン、 漂々答えながら、 ルイの肩を抱いた
「そんなに嬉しいか? ベンジャミン、 なら、 あとお前に任せて……ルイ、 今からベッドで夜を楽しむかい?」
「こんな時に何を言うんですか!」
ルイはソロモンを又押し退けた
少し残念な表情を浮かべたソロモン
「ふぅ……まだダメか? 馬の鼻先にニンジンだな」
「まだ、 じゃなくて……、 ずっとダメです」
呑気にジャレているソロモンにベンジャミン、
「で、 ソロモン……、 何か手掛かりとか無いのか? 此処で待っても始まらんだろう……?」
真顔で答えるソロモン
「待つ? 待つなど性分に合わん。 早速だが、 ベンジャミンとルイ、 お前達二人で動いて欲しい」
地図らしい紙を二枚、 テーブルに置いたソロモン。
驚いたベンジャミンは、
「ソロモン……? お前、 ルイさんを私に預けると?」
「何だ? 不満か?」
あれ程ルイをおもちゃにしていた男から意外な言葉。
「これから一人で動きたい場所ある……じゃぁな」
「待て、 ……従兄弟、 日本に居ると言う確証あるのか?」
「あぁ。 二百年探索したからな日本で間違いない。 髪はブロンド、 目はゴールド・アイ」
ベンジャミンとルイを残し、 リビングを去るソロモン。
「あの男、 ヴァンパイアの私でさえも、 本音が全然読めない奴だな」
目を合わせるベンジャミンとルイ。
ベンジャミンの正体ヴァンパイアと知り、 少し不安な様子をするルイ。
「どうしますか? ルイさん。 私と行動をしますか??」
「ベンジャミンさん……、 一緒に行動をしたら……私の血、 欲しくなるんじゃ……?」
ストレートなルイの問いにベンジャミンは一度躊躇う。
「否定しない……。 理性で我慢なら……」
ソロモンとベンジャミン。 ルイに危険な相手に変わりない。
ただ、 ベンジャミンと行動をする様にソロモンから言われた以上、 ルイはベンジャミンと探索に出る決意をした。
「ベンジャミンさん、 何処を探すんです?」
「うん……、 地図なんだが、 暗号になってる。 恐らく、 今で言う地域を示すかと……。 ルイさん、 これ解るかい? 近辺地理等詳しい貴女じゃないと解らないと思う」
「これって……時計屋さんだわ……」
「時計屋か……ん? 待てよ、 キーワード……時計塔だ! 時計屋に何等か、 時計塔と繋がる歪有る筈だ。 行こう。 ルイさん、 ここから先、 何有るか解らない。 私から離れたら……危険だ」
「傍に居ます」
ベンジャミンとルイ、 時計店に向かった。
午後一一時で時計店から商店、 全部閉店して、 開いてると言えばコンビニだけだった。。
小さな時計店を見たベンジャミン、 小声で呟いた。
「懐かしい様なアンティークな時計店だな……。 よし……、 じゃぁ、 まず、 壁に変わった歪とかないか
探すとするか」
強烈なソロモンの後で見るベンジャミンは、 なぜか、 マトモな男性に映った。
壁を二人で触ると後ろから老人の声。
「こらぁ、 そこで何をする? お前達コソ泥か?」
ベンジャミン、 慌てた。
「違う泥棒さんじゃない」
ジッとベンジャミンを見た老人は、
「こんな真夜中に何だ?」
「あ……」
「若造、 説教してやる」
ベンジャミンとルイを捕まえ店へ。
ルイとベンジャミン、 顏を合わせ困惑。
『うわぁ……、 どうしたらいいんだろう』
アンティークな時計店内にある古い高価な椅子を二人に出す老人。
「ふっ、 説教なんざ冗談じゃ。 少し年寄のお茶に付き合え二人共」
老人は微かに微笑んで棚から紅茶セットを取り出し、 温かい紅茶をベンジャミンとルイに渡した。
ベンジャミンは老人をジッと見た。
「何じゃ? 儂の顏に何か付いとるか?」
「あ……、 いえ、 失礼……、 少し……祖父に似た方だったんで……」
「祖父か……。 儂の孫も生きてたらお主ぐらいな青年じゃろな」
「と言いますと……」
「あぁ……孫は今この世に居ない。 輪廻と言うんじゃろ。 お主が孫の生まれ変わりと思わせてくれ」
ベンジャミンは一瞬躊躇った。
まさか中世から来た吸血鬼で、 気の遠くなる程長い時を生きていると言えなかった。
老人は今度ルイに目を向けた。
「そこの御嬢さん、 恋人でもなさそじゃな?」
「違います」
「じゃろうな。 この男、 アンタに惚れかけとる様じゃがな」
咽るベンジャミン。
「紅茶済んだら帰るんじゃ。 解ったな? あぁ……、 独り言じゃがな、 この店にある裏路地に面した古い扉に変な道あるとか無いとか。 ただ、 その扉を開ける為に恋人同士の強い愛を必要とするらしい。 心身共に結ばれた本当の愛じゃ。 偽ったら二度と帰れんぞ。
さて……儂は今から時計修理するから紅茶済んだら帰るんじゃ」
出された紅茶を全部飲んだベンジャミンは老人に尋ねた。
「ご馳走になりました。 私、 ベンジャミン・アドラスと言います。 宜しかったら是非お名前を」
「なに、 ただの、 老いぼれお節介爺じゃから」
と言いながら、 老人から高貴で紳士的な雰囲気を感じた。
「ベンジャミン、 ……お前さん、『国』 でベンと呼ばれるじゃろ? お前さんとこれで多分二度と会えんだろうな……達者でな」
何処か寂しい表情を浮かべた。
とりあえず、 今日明日の話にならない。
ソロモンの屋敷に一度帰る二人。
帰る途中ベンジャミンはボソリとルイに話す。
「ルイさん……、 私を怖がらないね」
「ベンジャミンさん、 こうしてると普通に人間男性に見えますから」
ベンジャミンは溜息と微かに寂しい顏。
「私が棲む世界で……、 私はただ吸血鬼として恐れられた。 恐れながら遠巻きに好奇な眼差しで見られたな……。 普通に人として貴女に接して貰って嬉しい。 変だが……今気付いたかも知れないな、 貴女から伝わる優しさに。 ところで……、 面倒な話になったな……本当の愛なんて何処に……」
「今の時計屋さんに御爺さん居たなんて知りませんでした」
驚いたベンジャミン、 ルイに聞いた
「え?」
「確かに……時計屋さん経営する人ですが……、 ご老人を見たの初めてで」
話をするうちに二人、 ソロモン邸に着いた。
リビングに行けば、 ソロモンはワインを飲んで居た。
二人に尋ねるソロモン。
「どうだった……?」
ベンジャミンは少し戸惑う様に答えた。
「どうもこうも……、 今すぐどうにかなる様な問題じゃないな。 歪である扉らしい情報確かに有ったが……本物の愛でないと開かないらしい」
ソロモンは一つ溜息をついた。
「本物の愛だ?? また面倒な……ある訳なかろう」
と呟いた後にルイを見て腰を抱き寄せ囁いた。
「何なら……愛とやらを育てるか? 二人で。 今は戯れでも体を重ねるうちに……愛に変わるやも」
ルイはどういう訳か真っ赤になった
「又……、 ソロモン様、 やめて下さい!!」
「何だ? 顏真っ赤にして。 冗談など言う暇無いな。 何か手を打たんと……本当にマズイなぁ」
ベンジャミンはソロモンに尋ねた。
「ソロモン、 お前はどうなんだ?」
「奴の痕跡を追った……。 やはり魔法書にある影響で歪に潜んでる様だ。 とりあえず……お疲れ。 午前三時過ぎた。 各自部屋で休め。 ルイ、 お前、 夜中に帰るの危険だから、 帰るなら朝帰れ。 此処に仮住まいするなり、 家に帰るなり自由だ。 じゃあな」
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