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第一部
12 警戒
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次に目を覚ましたときは、どっぷりと日が暮れ、部屋の中は真っ暗になっていた。
閉めきられた扉の向こうから、ぼそぼそと話し声が聞こえてくる。
レーヴェは身を起こし、寝台から下りた。
あの女性はいい人のように思えたが、万が一ということもある。自分たちを差し出してご主人に取り入るために親切を装っただけかもしれない。
屋敷から逃げ出したことは、とっくにばれているだろう。二人を見つけだそうと奴らはやっきになっているかもしれない。
ここがどのくらい離れているのかわからない。体力が回復したら、もっと遠くに行ったほうがいいだろう。その前に捕まってしまっては意味がない。いつでも逃げ出せるように彼女の態度には注意を払っておくべきだ。
しっかり眠って食べたお陰かレーヴェの脳はしっかりと回った。親切を鵜呑みにしてはいけない。警戒をするよう、身体に指示をだしていた。
扉を少しだけ開け、向こうの様子を伺う。
話し声は潜めたものではなかった。耳をそばだてる必要もないほどはっきりと聞こえてくる。
閉めきられた扉の向こうから、ぼそぼそと話し声が聞こえてくる。
レーヴェは身を起こし、寝台から下りた。
あの女性はいい人のように思えたが、万が一ということもある。自分たちを差し出してご主人に取り入るために親切を装っただけかもしれない。
屋敷から逃げ出したことは、とっくにばれているだろう。二人を見つけだそうと奴らはやっきになっているかもしれない。
ここがどのくらい離れているのかわからない。体力が回復したら、もっと遠くに行ったほうがいいだろう。その前に捕まってしまっては意味がない。いつでも逃げ出せるように彼女の態度には注意を払っておくべきだ。
しっかり眠って食べたお陰かレーヴェの脳はしっかりと回った。親切を鵜呑みにしてはいけない。警戒をするよう、身体に指示をだしていた。
扉を少しだけ開け、向こうの様子を伺う。
話し声は潜めたものではなかった。耳をそばだてる必要もないほどはっきりと聞こえてくる。
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