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◇227 VS氷牙3
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青白いサーベルタイガーはアキラたちを見下ろしていた。
発達した氷の牙に加えてしなやかな身体。それから柔らかく、先端は硬そうな尻尾。
間違いなく強敵の風格がある。
「名前は……アイスシェードン?」
「タイガーじゃないんだね。ちょっと意外かも」
アキラとフェルノが名前を見てもピンと来ていない中、1人だけ「そういうことか」と口にするNight。
「面白い」と言いたそうな表情を浮かべ、オッドアイの瞳がアイスシェードンを凝視する。
「Night。名前の意味が分かったの?」
「もちろんだ。アイスシェードは要するに氷の破片。そしてドンがスミロドンから来ているとみていい」
「スミロドン?」
「サーベルタイガーの種類の一つだ。今回は、この洞窟の首領の意味もありそうだが、それだけの風格を持っているのはおかしくない」
Nightも十字架状の剣を握りしめ構えている。
この相手には黒鉄の巨人の時のように本気で当たるしかなさそうだった。
「それじゃあまずは私が行くね。私の炎なら、いくら氷でも溶かせるでしょ?」
「可能性は高いな。気を付けろよ。アキラは側面を突け、正面で食い止めるフェルノのアシストだ」
「わかった」
Nightの指示を受け、全員走り出す。
ベルトからナイフを取り出したNightが投げるのはいつものことだが、今回は真正面を突っ走るフェルノの横スレスレだった。
Nightの投げナイフ技術のおかげか、フェルノには一切掠らない。
神業とも呼べる芸当にアキラは目を丸くしたが、フェルノが相手取る前にアキラも良く面から蹴り込むことにした。
「【キメラハント】:【月跳】!」
まずは脚を強化して、跳躍力と踏ん張りを上げた。
これでつるつる滑る氷の床も大丈夫と高をくくって蹴り出した瞬間、アイスシェードンはしなやかな動きでアキラを回避する。
「嘘っ!」
「アキラ、止まって!」
「うえっ!?」
アキラはカーリングの置き石のようになってしまい、フェルノとぶつかった。
【月跳】で滑り止めが効いたのではない。
アイスシェードンが回避する際に引っ掻いて作った氷の床の窪みに、脚を取られてしまったらしい。
「ごめんフェルノ。あのモンスター、知能レベル高いよ」
「そうだね。これは床の氷を先に溶かした方が良さそう」
フェルノはそう思い火力を上げて氷の床を溶かそうと画策する。
しかし氷の床は少し濡れる程度で、奥までびっしり凍り付いていた
そのためいくら炎で炙っても意味がないことに気が付く。
「うっ。これって最悪の相手だね」
「的はそんなに大きくないし、動きも素早いんじゃなくてしなやかで」
「打撃前提のお前たちとは相性が悪いな」
Nightの評価はごもっともだと思った。
アキラたちは苦戦を強いることを念頭に置き、ゆっくり削ることにした。
まずはその機動力だ。
「まずは足を削ぐぞ」
Nightが投げナイフを飛ばした。
先程は躱されてしまったが、今度は間違いなく当たる距離まで詰めている。
だからNightの精度なら当たると確信したのだが、アイスシェードンは避けることもしない。
「避けない? 何か策があるのか」
Nightは嫌な予感がした。
するとアイスシェードンは一歩も動かずにナイフが来るのを待った。
「ギリギリで躱すのかな?」
「いや、コイツは避けない」
何かあるのかと思ったが、投げナイフは命中した。
Nightの嫌な予感が当たってしまい、アイスシェードンが吠えた。
すると突き刺さったナイフが凍り付いてしまい、パキッと音を立てながら落っこちた。
「う、嘘でしょ? 吠えただけだよ」
「如何やら全身が冷たいらしいな。金属を凍結させるとなると、斬撃系も相性最悪か?」
「そんなこと言っている場合じゃないよ。如何やって倒すの?」
「それは今から考えればいい。とりあえず打撃は当たれば効くな」
斬撃が効かないなら打撃が勝負になる。
フェルノとアキラはそれぞれ構えると、アイスシェードンに突撃した。
2人には殴るしか倒す手段がないからだ。
「フェルノ、この際イベントとか関係ないけどいいよね?」
「もっちろん。一泡吹かせないと後に引けないよねー」
「いつものフェルノだ。よーし、Night、泥を出して!」
「あれを使うんだな。わかった」
Nightは【ライフ・オブ・メイク】で大量の泥を用意した。
アキラは慣れない手つきでパチンと手を合わせて捻りを加えると、高らかに叫ぶ。
「【泥腕】!」
アキラが叫ぶと大量の泥が一つの大きな腕になった。
アイスシェードンがいくら凍らせる力があっても、泥の水分は凍らせると土だけを残す。
大量の土がアイスシェードンの動きを鈍らせてくれると期待していた。
「凍らせるなら土だけが襲って、凍らせないなら動きを鈍らせる。それが嫌なら……」
「ここしかないよねっ!」
アイスシェードンは【泥腕】から逃げると、顔に強烈なストレートパンチが繰り出された。
避けることまで考えていたのでアイスシェードンにようやくダメージが入った。
流石に牙は折れなかったけど、如何やら打撃は防げないらしく、アイスシェードンは反撃した。
「そんな攻撃食らうわけがないでしょ!」
しかしフェルノは逃げない。
むしろ攻撃してきたことを逆手に取った。
鋭く発達した氷の牙を握り込み逃げられないようにする。
口も開けることができず距離的に前脚も意味がない。
完全にフェルノに捕らえられてしまったアイスシェードンは成すすべなく空を前脚で切るだけだった。
発達した氷の牙に加えてしなやかな身体。それから柔らかく、先端は硬そうな尻尾。
間違いなく強敵の風格がある。
「名前は……アイスシェードン?」
「タイガーじゃないんだね。ちょっと意外かも」
アキラとフェルノが名前を見てもピンと来ていない中、1人だけ「そういうことか」と口にするNight。
「面白い」と言いたそうな表情を浮かべ、オッドアイの瞳がアイスシェードンを凝視する。
「Night。名前の意味が分かったの?」
「もちろんだ。アイスシェードは要するに氷の破片。そしてドンがスミロドンから来ているとみていい」
「スミロドン?」
「サーベルタイガーの種類の一つだ。今回は、この洞窟の首領の意味もありそうだが、それだけの風格を持っているのはおかしくない」
Nightも十字架状の剣を握りしめ構えている。
この相手には黒鉄の巨人の時のように本気で当たるしかなさそうだった。
「それじゃあまずは私が行くね。私の炎なら、いくら氷でも溶かせるでしょ?」
「可能性は高いな。気を付けろよ。アキラは側面を突け、正面で食い止めるフェルノのアシストだ」
「わかった」
Nightの指示を受け、全員走り出す。
ベルトからナイフを取り出したNightが投げるのはいつものことだが、今回は真正面を突っ走るフェルノの横スレスレだった。
Nightの投げナイフ技術のおかげか、フェルノには一切掠らない。
神業とも呼べる芸当にアキラは目を丸くしたが、フェルノが相手取る前にアキラも良く面から蹴り込むことにした。
「【キメラハント】:【月跳】!」
まずは脚を強化して、跳躍力と踏ん張りを上げた。
これでつるつる滑る氷の床も大丈夫と高をくくって蹴り出した瞬間、アイスシェードンはしなやかな動きでアキラを回避する。
「嘘っ!」
「アキラ、止まって!」
「うえっ!?」
アキラはカーリングの置き石のようになってしまい、フェルノとぶつかった。
【月跳】で滑り止めが効いたのではない。
アイスシェードンが回避する際に引っ掻いて作った氷の床の窪みに、脚を取られてしまったらしい。
「ごめんフェルノ。あのモンスター、知能レベル高いよ」
「そうだね。これは床の氷を先に溶かした方が良さそう」
フェルノはそう思い火力を上げて氷の床を溶かそうと画策する。
しかし氷の床は少し濡れる程度で、奥までびっしり凍り付いていた
そのためいくら炎で炙っても意味がないことに気が付く。
「うっ。これって最悪の相手だね」
「的はそんなに大きくないし、動きも素早いんじゃなくてしなやかで」
「打撃前提のお前たちとは相性が悪いな」
Nightの評価はごもっともだと思った。
アキラたちは苦戦を強いることを念頭に置き、ゆっくり削ることにした。
まずはその機動力だ。
「まずは足を削ぐぞ」
Nightが投げナイフを飛ばした。
先程は躱されてしまったが、今度は間違いなく当たる距離まで詰めている。
だからNightの精度なら当たると確信したのだが、アイスシェードンは避けることもしない。
「避けない? 何か策があるのか」
Nightは嫌な予感がした。
するとアイスシェードンは一歩も動かずにナイフが来るのを待った。
「ギリギリで躱すのかな?」
「いや、コイツは避けない」
何かあるのかと思ったが、投げナイフは命中した。
Nightの嫌な予感が当たってしまい、アイスシェードンが吠えた。
すると突き刺さったナイフが凍り付いてしまい、パキッと音を立てながら落っこちた。
「う、嘘でしょ? 吠えただけだよ」
「如何やら全身が冷たいらしいな。金属を凍結させるとなると、斬撃系も相性最悪か?」
「そんなこと言っている場合じゃないよ。如何やって倒すの?」
「それは今から考えればいい。とりあえず打撃は当たれば効くな」
斬撃が効かないなら打撃が勝負になる。
フェルノとアキラはそれぞれ構えると、アイスシェードンに突撃した。
2人には殴るしか倒す手段がないからだ。
「フェルノ、この際イベントとか関係ないけどいいよね?」
「もっちろん。一泡吹かせないと後に引けないよねー」
「いつものフェルノだ。よーし、Night、泥を出して!」
「あれを使うんだな。わかった」
Nightは【ライフ・オブ・メイク】で大量の泥を用意した。
アキラは慣れない手つきでパチンと手を合わせて捻りを加えると、高らかに叫ぶ。
「【泥腕】!」
アキラが叫ぶと大量の泥が一つの大きな腕になった。
アイスシェードンがいくら凍らせる力があっても、泥の水分は凍らせると土だけを残す。
大量の土がアイスシェードンの動きを鈍らせてくれると期待していた。
「凍らせるなら土だけが襲って、凍らせないなら動きを鈍らせる。それが嫌なら……」
「ここしかないよねっ!」
アイスシェードンは【泥腕】から逃げると、顔に強烈なストレートパンチが繰り出された。
避けることまで考えていたのでアイスシェードンにようやくダメージが入った。
流石に牙は折れなかったけど、如何やら打撃は防げないらしく、アイスシェードンは反撃した。
「そんな攻撃食らうわけがないでしょ!」
しかしフェルノは逃げない。
むしろ攻撃してきたことを逆手に取った。
鋭く発達した氷の牙を握り込み逃げられないようにする。
口も開けることができず距離的に前脚も意味がない。
完全にフェルノに捕らえられてしまったアイスシェードンは成すすべなく空を前脚で切るだけだった。
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