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◇226 VS氷牙2
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洞窟の中は一面ガラス張りのように、綺麗な氷ができていた。
誰かが意図的にやったのではと疑ってしまいそうなほど綺麗な景色に、アキラたちも視線が釘付けになる。
「うわぁ、本当にガラスみたい。むしろ鏡?」
「氷の断面か。中の温度は一定になっているからこそだろうな」
「でもこんな綺麗な場所もダンジョンなんでしょ? あのサーベルタイガーみたいなモンスター以外もいるんじゃないの?」
「そうだね。用心しないと」
アキラとフェルノはいつでも戦えるように、お互いのスキルを発動していた。
しかしそんな不安はNightの一言で一蹴される。
「いや、それはない。このダンジョンの生存競争は既にあの牙虎が勝ち取っている。他にモンスターは出現しない」
「「本当?」」
「もちろんだ。それに見てみろ」
Nightはガラス張りの氷の向こうを覗き込む。
そこには凍結したモンスターがいた。
「ここで負けたモンスター全部アレになる。恐らく食料の備蓄だろうな」
「備蓄? ってことは頭がいいモンスター何だね」
「そういうことだ。その点には用心しろ。どうせあのモンスターのことだ。牙以外にも武器はある」
Nightの見立てでは、突出した二本の牙だけではない第二の武器が隠されていると予想する。
ある程度の予想は付いていたが、確信がないのでまだ言わない。
けれどアキラたちなら如何にかできると信じていた。
「まあ、お前たちの適応能力なら何とかなるだろ」
「それって褒めているんだよね?」
「もちろんだ」
「でも無茶苦茶だよ。もしも相手が尻尾から氷生やしたりさー、全身から氷を生やしたら、この間と同じだよ?」
「私の予想も同じだ。だが、今回はフェルノの炎がある。少しは善戦できるだろう」
これはもはや賭けだった。
けれどここまで来た以上はやるしかないので、アキラたちは歩き続ける。
するとざっと2分半ぐらいで最奥に辿り着けた。
「めちゃくちゃ広くない?」
「そうだな。テニスコート10面分はあるぞ。こんなに必要なのか?」
洞窟の奥には空洞ができていた。
ドーム状の空洞には氷の柱が何本も立っている。
その奥にはアキラたちの目的のモンスターもいた。
横になってぐっすり寝ているらしいので、今のうちに楽に倒したい。
「これはチャンスだな。どんなモンスターでも頭か心臓を貫けばクリティカルだ」
「フェルノ、ゆっくり近づくよ。戦闘しないなら戦闘しない方が得だもんね」
「経験値はほとんど入らないけど、その方がいいよねー。よし、行こう」
アキラとフェルノは慎重に音を消しながら近づいた。
寝ている瞬間を襲撃するのは卑怯だけど、それもこのGAMEの醍醐味の一つ。文句なんて言わせない。
足音を限界まで消し、気配を遮断した。
ゆっくりゆっくり距離を縮めていく2人。
Nightは2人の援護をするため待機していたが、気がかりがあった。
アキラたちの頭上ではなく、その隣の氷柱が何故か落ちそうになっている。
これだけ寒いのだ。フェルノも炎を出していないので溶けるはずがない。
つまりこれは仕様。嫌な予感がした。
「アキラ、フェルノ、気を付けろ」
小声でNightが声を掛けても小さすぎて聞こえない。
どうやって知らせるか悩んでいると、氷柱の方が先に落ちてきた。
これが戦闘開始のゴングだと、この時初めて解った。
氷柱が落ちて砕けた瞬間、サーベルタイガーは目を覚ました。
「嘘っ、ここまで近づいたのに!」
「フェルノ避けて。ここからはもう殴り合いだよ!」
フェルノが一歩後退すると同時に、アキラは【甲蟲】で武装した両腕で殴り掛かった。
ちょうど白いサーベルタイガーが目を覚ました瞬間で、カッと見開いた黄色い眼がアキラたちを睨みつける。
けれど臆することはなかった。
アキラは振りかぶったストレートパンチをサーベルタイガーの牙目掛けて繰り出す。
カキーン! と甲高い音を立てたが、牙が折れることはなかった。
逆に【甲蟲】で武装しているはずのアキラの腕に激痛が走る。
「いったぁーい!」
「アキラ大丈夫って、心配している場合じゃないね、一旦下がるよ!」
心配したフェルノはチラッとアキラのことを見た。
このまま攻撃に参加しようとした瞬間、アキラの喉元に牙が迫っていた。
危ないと思い攻撃を断念して、アキラを抱えてその場を一目散に下がった。
距離を取り、Nightのところまで戻ってくる。
「ありがと、フェルノ。助かったよ」
「どういたしましてー、って言いたいけど。このモンスター間違いなく強敵だね。舐めて掛かってたら命が幾つあっても足りないよ」
フェルノは拳を作ってかち合わせた。
どうやら本気らしく、いつものほんわかした舐めた態度が出なくなる。
それだけの強敵で、飛び道具もないアキラとフェルノにとっては相性が悪い相手だった。
インフレ防止でチートのようなスキルもない。
プレイヤーの閃きと身体能力がものをいうこの世界で、あのモンスターは近接殺し。
Nightは一瞬の攻防でそれを悟ると、アキラたちに指示を出す。
「最悪逃げるが、全力で仕留める。行くぞ!」
冷めたテンションではなかった。
あまりの強敵にアドレナリンがどぱどぱ出ていて、脳波がグンと高まっていた。
誰かが意図的にやったのではと疑ってしまいそうなほど綺麗な景色に、アキラたちも視線が釘付けになる。
「うわぁ、本当にガラスみたい。むしろ鏡?」
「氷の断面か。中の温度は一定になっているからこそだろうな」
「でもこんな綺麗な場所もダンジョンなんでしょ? あのサーベルタイガーみたいなモンスター以外もいるんじゃないの?」
「そうだね。用心しないと」
アキラとフェルノはいつでも戦えるように、お互いのスキルを発動していた。
しかしそんな不安はNightの一言で一蹴される。
「いや、それはない。このダンジョンの生存競争は既にあの牙虎が勝ち取っている。他にモンスターは出現しない」
「「本当?」」
「もちろんだ。それに見てみろ」
Nightはガラス張りの氷の向こうを覗き込む。
そこには凍結したモンスターがいた。
「ここで負けたモンスター全部アレになる。恐らく食料の備蓄だろうな」
「備蓄? ってことは頭がいいモンスター何だね」
「そういうことだ。その点には用心しろ。どうせあのモンスターのことだ。牙以外にも武器はある」
Nightの見立てでは、突出した二本の牙だけではない第二の武器が隠されていると予想する。
ある程度の予想は付いていたが、確信がないのでまだ言わない。
けれどアキラたちなら如何にかできると信じていた。
「まあ、お前たちの適応能力なら何とかなるだろ」
「それって褒めているんだよね?」
「もちろんだ」
「でも無茶苦茶だよ。もしも相手が尻尾から氷生やしたりさー、全身から氷を生やしたら、この間と同じだよ?」
「私の予想も同じだ。だが、今回はフェルノの炎がある。少しは善戦できるだろう」
これはもはや賭けだった。
けれどここまで来た以上はやるしかないので、アキラたちは歩き続ける。
するとざっと2分半ぐらいで最奥に辿り着けた。
「めちゃくちゃ広くない?」
「そうだな。テニスコート10面分はあるぞ。こんなに必要なのか?」
洞窟の奥には空洞ができていた。
ドーム状の空洞には氷の柱が何本も立っている。
その奥にはアキラたちの目的のモンスターもいた。
横になってぐっすり寝ているらしいので、今のうちに楽に倒したい。
「これはチャンスだな。どんなモンスターでも頭か心臓を貫けばクリティカルだ」
「フェルノ、ゆっくり近づくよ。戦闘しないなら戦闘しない方が得だもんね」
「経験値はほとんど入らないけど、その方がいいよねー。よし、行こう」
アキラとフェルノは慎重に音を消しながら近づいた。
寝ている瞬間を襲撃するのは卑怯だけど、それもこのGAMEの醍醐味の一つ。文句なんて言わせない。
足音を限界まで消し、気配を遮断した。
ゆっくりゆっくり距離を縮めていく2人。
Nightは2人の援護をするため待機していたが、気がかりがあった。
アキラたちの頭上ではなく、その隣の氷柱が何故か落ちそうになっている。
これだけ寒いのだ。フェルノも炎を出していないので溶けるはずがない。
つまりこれは仕様。嫌な予感がした。
「アキラ、フェルノ、気を付けろ」
小声でNightが声を掛けても小さすぎて聞こえない。
どうやって知らせるか悩んでいると、氷柱の方が先に落ちてきた。
これが戦闘開始のゴングだと、この時初めて解った。
氷柱が落ちて砕けた瞬間、サーベルタイガーは目を覚ました。
「嘘っ、ここまで近づいたのに!」
「フェルノ避けて。ここからはもう殴り合いだよ!」
フェルノが一歩後退すると同時に、アキラは【甲蟲】で武装した両腕で殴り掛かった。
ちょうど白いサーベルタイガーが目を覚ました瞬間で、カッと見開いた黄色い眼がアキラたちを睨みつける。
けれど臆することはなかった。
アキラは振りかぶったストレートパンチをサーベルタイガーの牙目掛けて繰り出す。
カキーン! と甲高い音を立てたが、牙が折れることはなかった。
逆に【甲蟲】で武装しているはずのアキラの腕に激痛が走る。
「いったぁーい!」
「アキラ大丈夫って、心配している場合じゃないね、一旦下がるよ!」
心配したフェルノはチラッとアキラのことを見た。
このまま攻撃に参加しようとした瞬間、アキラの喉元に牙が迫っていた。
危ないと思い攻撃を断念して、アキラを抱えてその場を一目散に下がった。
距離を取り、Nightのところまで戻ってくる。
「ありがと、フェルノ。助かったよ」
「どういたしましてー、って言いたいけど。このモンスター間違いなく強敵だね。舐めて掛かってたら命が幾つあっても足りないよ」
フェルノは拳を作ってかち合わせた。
どうやら本気らしく、いつものほんわかした舐めた態度が出なくなる。
それだけの強敵で、飛び道具もないアキラとフェルノにとっては相性が悪い相手だった。
インフレ防止でチートのようなスキルもない。
プレイヤーの閃きと身体能力がものをいうこの世界で、あのモンスターは近接殺し。
Nightは一瞬の攻防でそれを悟ると、アキラたちに指示を出す。
「最悪逃げるが、全力で仕留める。行くぞ!」
冷めたテンションではなかった。
あまりの強敵にアドレナリンがどぱどぱ出ていて、脳波がグンと高まっていた。
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