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8章
第85話 魔像の待つ遺跡
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俺とエクレア、それからショコラの3人で魔像の調査に向かった。
その間、モンスターを始め、妨害もなければ戦闘に発展することもなかった。
「安全だね」
「安全に越したことはない。無駄な戦闘は極力避けて、俺達は目的を果たすだけだ」
俺は真っ向から面白いことを否定した。
もちろん楽しいことや面白いことは俺も好きだが、それが無駄に多い罠やモンスターとの戦闘に発展するなら無しだ。
それにしても本当に何もない。
アルミラージを狩り、イカヅチ鳥が落ちてからと言うもの、モンスター1匹たりとも出会っていない。
本当にエクレアの言った通りだと思い、俺は考えてしまう。
こんな異常なことが起こっても良いのか? それともこの森ではこれが普通なのかと、様々な塩飽が錯綜する。
「何もいない。嫌な予感がする」
「お前もそう思うのか、ショコラ」
ショコラが俺と同意見だった。
やはりおかしいはずと、俺もショコラに同調する。
「こんなに静かな森はない。鳥の声すら聞こえないのはおかしな話」
「俺も同じだ。エクレア、本当にこれ以上進むのか?」
一応止めてみることにした。
どうせ無理だろうが、何かの気まぐれで聞くかもしれない。
しかしエクレアはずんずん進んでいく。唇に指を当て、考えるふりをした。
「うーん。確かにモンスターがいないけど、そういう森かもしれないよ?」
「その可能性も0とは言えないが……」
「もしかしたら、誰かが先に来て無双した後かも」
「んなわけがあるか」
俺はジト目になってエクレアを睨んだ。
しかしエクレアは俺の話に耳を貸すことはなく、邪魔な草木をかき分けていた。
好奇心の獣と化したコイツはもはや誰の手にも止める事はできない。
「それに、変だよ思わない?」
「何がだ。こんな静かすぎる森の中を笑みを浮かべながら突き進むお前以上に、変な話が何処にある?」
「それは同感」
「ちょっと2人とも酷いよ。それに、私は変って言ったのはモンスターがいないことだけじゃないよ。言ったでしょ? 生命反応がないって」
「そうだな。最悪な予感はするが……」
コイツが生命反応がないと言えばほぼ確実にないと言ってもいい。
《黄昏の陽射し》の応用力と万能性は舐めてはいけない。
ゴブリン達を討伐した後、コイツが常にこの能力を使い敵の位置を捕捉し続けていた。
生命力の暖かさをコイツが見逃すはずはない。
「ましてや人間だよ? 倒れてたら気が付くよね?」
「つまり生命反応がないのは……」
「そういうことだ。だが、冒険者にはよくあることだ。気にする方が負けだ」
俺は冷めていた。
エクレアはそんな俺を咎めることはしない。
自分だって、俺の言いたいことが痛いほどよくわかっているのだと、言葉にしなくても伝って来た。
「あっ! 何か見えてきた」
「アレは……人工的なものだな」
明らかに森の中とは思えないものが突然現れた。
石造りの人工物が突然目の前に見えてきのだ。
「何だろー、コレ?」
「遺跡か何かだな」
「遺跡? 確かに広範囲みたいだけど、どうしてこんなものがあるのかな?」
「知らん」
俺はきっぱりと考えることを止めた。
するとぷくっと頬を膨らませるエクレアに肘を入れられた。
普通に痛い。俺の予測が効かなかった。
「馬鹿やってる」
「黙れショコラ。それよりもだ、お前はどう思う?」
「どう思うとは?」
「この遺跡の跡。おそらく断片的なもので、広範囲に広がっているはずだ。つまり、この世紀の中心部には……」
「答えが見えてる。魔像があるんでしょ?」
確かに間違ってはいない。
とは言え問題はそこではなく、もっと周りを見てみることだ。
俺達の目の前には柱のようなものがある。
遺跡の一部で、斜めに折れている。
地面には白い石灰の欠片や小さな硬化の欠片。それに加えて、古い儀式なんかで使われたと思えるミサンガが落ちている。
「あれ? この欠片何か描いてあるね」
ようやくエクレアが気が付いた。
とは言え、突然すぎたのできっと気が付いていたんだろう。
拾って角度を変えてみると、怖い顔をしたモンスターの絵が描いてあった。
「うわぁ、コレってガーゴイルだよね?」
「ガーゴイル? モンスターの中でも知性が高く、悪魔に近しい存在のはず」
ショコラが知っている知識で説明した。
正確には悪魔に近いというよりも悪魔の能力を持ったモンスターと悪魔の狭間の存在の1つで、俺達は嫌な予感がした。
滲んだ汗が冷たくこめかみを流れる。
「何かの間違い。きっと気のせい」
「そうか?」
「気のせいじゃないよ! ほら、コレ見てよ」
エクレアは持っていた硬貨の欠片をショコラに見せつける。
むしろ硬貨というよりもメダルのような役割だろうか?
つまりこの遺跡が信仰していたのは神などではない。
それだけは確実に言い切れる。
「つまりここはガーゴイルのような悪魔を信仰していた遺跡ってことだな」
「そうみたいだね。私も聞いたことがあるよ」
「悪魔を信仰する遺跡は良くないものが漂うからな。慎重に行くぞ」
俺は喉の奥を重たい唾液が垂れていた。
その間、モンスターを始め、妨害もなければ戦闘に発展することもなかった。
「安全だね」
「安全に越したことはない。無駄な戦闘は極力避けて、俺達は目的を果たすだけだ」
俺は真っ向から面白いことを否定した。
もちろん楽しいことや面白いことは俺も好きだが、それが無駄に多い罠やモンスターとの戦闘に発展するなら無しだ。
それにしても本当に何もない。
アルミラージを狩り、イカヅチ鳥が落ちてからと言うもの、モンスター1匹たりとも出会っていない。
本当にエクレアの言った通りだと思い、俺は考えてしまう。
こんな異常なことが起こっても良いのか? それともこの森ではこれが普通なのかと、様々な塩飽が錯綜する。
「何もいない。嫌な予感がする」
「お前もそう思うのか、ショコラ」
ショコラが俺と同意見だった。
やはりおかしいはずと、俺もショコラに同調する。
「こんなに静かな森はない。鳥の声すら聞こえないのはおかしな話」
「俺も同じだ。エクレア、本当にこれ以上進むのか?」
一応止めてみることにした。
どうせ無理だろうが、何かの気まぐれで聞くかもしれない。
しかしエクレアはずんずん進んでいく。唇に指を当て、考えるふりをした。
「うーん。確かにモンスターがいないけど、そういう森かもしれないよ?」
「その可能性も0とは言えないが……」
「もしかしたら、誰かが先に来て無双した後かも」
「んなわけがあるか」
俺はジト目になってエクレアを睨んだ。
しかしエクレアは俺の話に耳を貸すことはなく、邪魔な草木をかき分けていた。
好奇心の獣と化したコイツはもはや誰の手にも止める事はできない。
「それに、変だよ思わない?」
「何がだ。こんな静かすぎる森の中を笑みを浮かべながら突き進むお前以上に、変な話が何処にある?」
「それは同感」
「ちょっと2人とも酷いよ。それに、私は変って言ったのはモンスターがいないことだけじゃないよ。言ったでしょ? 生命反応がないって」
「そうだな。最悪な予感はするが……」
コイツが生命反応がないと言えばほぼ確実にないと言ってもいい。
《黄昏の陽射し》の応用力と万能性は舐めてはいけない。
ゴブリン達を討伐した後、コイツが常にこの能力を使い敵の位置を捕捉し続けていた。
生命力の暖かさをコイツが見逃すはずはない。
「ましてや人間だよ? 倒れてたら気が付くよね?」
「つまり生命反応がないのは……」
「そういうことだ。だが、冒険者にはよくあることだ。気にする方が負けだ」
俺は冷めていた。
エクレアはそんな俺を咎めることはしない。
自分だって、俺の言いたいことが痛いほどよくわかっているのだと、言葉にしなくても伝って来た。
「あっ! 何か見えてきた」
「アレは……人工的なものだな」
明らかに森の中とは思えないものが突然現れた。
石造りの人工物が突然目の前に見えてきのだ。
「何だろー、コレ?」
「遺跡か何かだな」
「遺跡? 確かに広範囲みたいだけど、どうしてこんなものがあるのかな?」
「知らん」
俺はきっぱりと考えることを止めた。
するとぷくっと頬を膨らませるエクレアに肘を入れられた。
普通に痛い。俺の予測が効かなかった。
「馬鹿やってる」
「黙れショコラ。それよりもだ、お前はどう思う?」
「どう思うとは?」
「この遺跡の跡。おそらく断片的なもので、広範囲に広がっているはずだ。つまり、この世紀の中心部には……」
「答えが見えてる。魔像があるんでしょ?」
確かに間違ってはいない。
とは言え問題はそこではなく、もっと周りを見てみることだ。
俺達の目の前には柱のようなものがある。
遺跡の一部で、斜めに折れている。
地面には白い石灰の欠片や小さな硬化の欠片。それに加えて、古い儀式なんかで使われたと思えるミサンガが落ちている。
「あれ? この欠片何か描いてあるね」
ようやくエクレアが気が付いた。
とは言え、突然すぎたのできっと気が付いていたんだろう。
拾って角度を変えてみると、怖い顔をしたモンスターの絵が描いてあった。
「うわぁ、コレってガーゴイルだよね?」
「ガーゴイル? モンスターの中でも知性が高く、悪魔に近しい存在のはず」
ショコラが知っている知識で説明した。
正確には悪魔に近いというよりも悪魔の能力を持ったモンスターと悪魔の狭間の存在の1つで、俺達は嫌な予感がした。
滲んだ汗が冷たくこめかみを流れる。
「何かの間違い。きっと気のせい」
「そうか?」
「気のせいじゃないよ! ほら、コレ見てよ」
エクレアは持っていた硬貨の欠片をショコラに見せつける。
むしろ硬貨というよりもメダルのような役割だろうか?
つまりこの遺跡が信仰していたのは神などではない。
それだけは確実に言い切れる。
「つまりここはガーゴイルのような悪魔を信仰していた遺跡ってことだな」
「そうみたいだね。私も聞いたことがあるよ」
「悪魔を信仰する遺跡は良くないものが漂うからな。慎重に行くぞ」
俺は喉の奥を重たい唾液が垂れていた。
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