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4章
第32話 金策をどうするか?
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俺は部屋で1人考え事をしていた。
この間の鉄鉱石採掘で大量の鉄鉱石を手に入れることができたので、俺たちはかなり金を得ることができた。
ざっと数えても8万ユリス近くになった。鉄鉱石でこの価格帯は異例だ。
「まさか市場操作がこれだけ影響を生むなんてな」
俺はエクレアに黙秘させた。エクレアが重傷で取り囲まれている隙を狙ってだ。
パフィに西の鉱山にしばらくの間近寄らないように注意を呼び込んだ。
そのおかげか、鉄鉱石は自ずと減り需要が瞬く間に上昇した。そのタイミングを見計らい、一斉に俺が売りさばいた。これが俺の策略だ。
「にしてもまあ、エクレアの奴は大丈夫なのか?」
正直こんなことになるとは思ってもみなかった。多分本人が一番驚いている。
ファフニールを討伐し、その際怪我を負ったとして急遽病院に入院する羽目になった。
あれから3日。いくら何でも戻ってこない。予想だにしない事件だった。
「でもまあ、エクレアの回復力と俺が渡した薬があればすぐだろ。それまでに金に変えとかないとな、コレを」
俺はかき集めたファフニールの素材を武器庫の空間から取り出す。
ある程度は粉末にして固めてあるが純金であることに変わりない。
おそらくかなりの大金になることは間違いない。金製品が大好きな変態貴族ならキロ辺り、数百から数千万単位でも買い取ってくれるはずだ。
「ここにあるのは大体50キロ近くの金。しかも純金の塊だ。数億ユリスにはなるだろうな」
金の産出量はそこそこある。しかし金は加工がしやすく通電性も高い。特殊加工が必要な武具には基として使用されることがある。俺からしてもある程度は売り物として残しておく。
とは言えファフニールの残骸なら探せばまだ残っているはずだ。ゆっくり探せばいい。
だからその前に、エクレアが惑ってきてガミガミいう前にこの金を売っておきたい。それが俺の狙いだ。
「となると、フルード以外に行く必要があるな。王都までは遠い、仕方ない。隣街のプエルクにでも行ってみるか」
俺はクルミナに一言言ってから町を後にすることにした。
一階に降りると、クルミナが朝食を作っているようだ。
呼ばれる前に降りてきたので、クルミナは驚いていた。
「あれ! 今日は早いですね、カイさん」
「おはようクルミナさん。あの、しばらく俺別の街に行ってきますね」
「はい。どのくらい空けるのでしょうか?」
「3日ぐらいですね。ちょっと物を売って来ます」
俺が答えると思いだしたみたいにクルミナが厨房の奥に行ってしまった。
するとその手には魚の骨が握られている。かなり太いがモンスターのものだろうか。
しかし俺が見たことのない種類だ。
「クルミナさん、それは?」
「行かれるとしたらプエルクですよね。でしたらついでにこの骨も買い取って来てもらえますか?」
「その骨ですか?」
「四分の三の代金で構いませんので、残りはお渡しいたしますね。それと帰り道にこちらのお店に貸与ってお鍋を買っていていただけるとありがたいのですが」
「お使いですか。わかりました」
俺はクルミナからメモ用紙を受け取る。
そこにはこれから行く予定のプエルクの簡単な地図と店の名前が書いてあった。
どうやらこの店に行けばいいらしいが、聞いたことはがない。しかも買取もこの店でしてくれるそうで、俺は呆気に取られた。
「お使いお願いしますね」
「わかりました。それでは行ってきます」
俺は何故か丁寧な口調になってしまい、正直釈然としなかった。
しかし俺は頭が上がらず、その足でフルードを後にした。
けれどクルミナは変な笑みを浮かべていた。まるで愉快にほくそ笑まれているように、背後から見えない圧を感じてしまい、ひやりとすくみ足早になっている。
この間の鉄鉱石採掘で大量の鉄鉱石を手に入れることができたので、俺たちはかなり金を得ることができた。
ざっと数えても8万ユリス近くになった。鉄鉱石でこの価格帯は異例だ。
「まさか市場操作がこれだけ影響を生むなんてな」
俺はエクレアに黙秘させた。エクレアが重傷で取り囲まれている隙を狙ってだ。
パフィに西の鉱山にしばらくの間近寄らないように注意を呼び込んだ。
そのおかげか、鉄鉱石は自ずと減り需要が瞬く間に上昇した。そのタイミングを見計らい、一斉に俺が売りさばいた。これが俺の策略だ。
「にしてもまあ、エクレアの奴は大丈夫なのか?」
正直こんなことになるとは思ってもみなかった。多分本人が一番驚いている。
ファフニールを討伐し、その際怪我を負ったとして急遽病院に入院する羽目になった。
あれから3日。いくら何でも戻ってこない。予想だにしない事件だった。
「でもまあ、エクレアの回復力と俺が渡した薬があればすぐだろ。それまでに金に変えとかないとな、コレを」
俺はかき集めたファフニールの素材を武器庫の空間から取り出す。
ある程度は粉末にして固めてあるが純金であることに変わりない。
おそらくかなりの大金になることは間違いない。金製品が大好きな変態貴族ならキロ辺り、数百から数千万単位でも買い取ってくれるはずだ。
「ここにあるのは大体50キロ近くの金。しかも純金の塊だ。数億ユリスにはなるだろうな」
金の産出量はそこそこある。しかし金は加工がしやすく通電性も高い。特殊加工が必要な武具には基として使用されることがある。俺からしてもある程度は売り物として残しておく。
とは言えファフニールの残骸なら探せばまだ残っているはずだ。ゆっくり探せばいい。
だからその前に、エクレアが惑ってきてガミガミいう前にこの金を売っておきたい。それが俺の狙いだ。
「となると、フルード以外に行く必要があるな。王都までは遠い、仕方ない。隣街のプエルクにでも行ってみるか」
俺はクルミナに一言言ってから町を後にすることにした。
一階に降りると、クルミナが朝食を作っているようだ。
呼ばれる前に降りてきたので、クルミナは驚いていた。
「あれ! 今日は早いですね、カイさん」
「おはようクルミナさん。あの、しばらく俺別の街に行ってきますね」
「はい。どのくらい空けるのでしょうか?」
「3日ぐらいですね。ちょっと物を売って来ます」
俺が答えると思いだしたみたいにクルミナが厨房の奥に行ってしまった。
するとその手には魚の骨が握られている。かなり太いがモンスターのものだろうか。
しかし俺が見たことのない種類だ。
「クルミナさん、それは?」
「行かれるとしたらプエルクですよね。でしたらついでにこの骨も買い取って来てもらえますか?」
「その骨ですか?」
「四分の三の代金で構いませんので、残りはお渡しいたしますね。それと帰り道にこちらのお店に貸与ってお鍋を買っていていただけるとありがたいのですが」
「お使いですか。わかりました」
俺はクルミナからメモ用紙を受け取る。
そこにはこれから行く予定のプエルクの簡単な地図と店の名前が書いてあった。
どうやらこの店に行けばいいらしいが、聞いたことはがない。しかも買取もこの店でしてくれるそうで、俺は呆気に取られた。
「お使いお願いしますね」
「わかりました。それでは行ってきます」
俺は何故か丁寧な口調になってしまい、正直釈然としなかった。
しかし俺は頭が上がらず、その足でフルードを後にした。
けれどクルミナは変な笑みを浮かべていた。まるで愉快にほくそ笑まれているように、背後から見えない圧を感じてしまい、ひやりとすくみ足早になっている。
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