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3章
第31話 鉄鉱石を大量GET
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俺とエクレアは大量の鉄鉱石を採掘し、来た道を戻っていた。
大量の鉄鉱石の中には依頼されていた分のおそよ3倍を採掘した。
まだまだあったので行ってみる価値はあるが、これでしばらくヤバいことにはならないだろう。
「でもよかったね。これで新米冒険者さん襲われることはないね」
「そうだな。にしても、鉱山でファフニールと戦うことになるなんてな」
「凄かったね。大きかったね」
「そうだな。にしても、反応が薄いな」
エクレアの反応があまりに薄くて驚いた。
実際疲れていない俺の方がたくさん担いでいる。
けれど深手を負った反動で、さっきから腹部を押さえていた。脇腹が悲鳴を上げている。
「本当に大丈夫か? 無理するなよ」
「無理はしてないよ。ただちょっと痛くて……《黄昏の陽射し》でも骨までは治らないから」
「細胞を活性化させて治す仕様だったな。骨を治すなら、これでも飲んだらどうだ」
俺は鞄の中からアイテムを取り出す。
小さな小瓶の中には白い粉が入っていた。もちろん怪しい薬ではない。モンスターと植物から作った漢方薬だ。
「ほら、受け取れ」
「おっと、何これ? 白い粉みたいだけど、大丈夫なのかな?」
「当たり前だ。それはスケルトンの骨粉とカルシウムとコラーゲンを多く含んだ2種類の植物から作った薬だ。1日寝て起きれば骨は再生してくっ付く」
「そんな薬があったんだね。私知らなかったよ」
そんなの当たり前だ。この薬は市販化されていない。
ただ効果は覿面で、俺もリオンも何度もこの薬に助けられてきた。
「つべこべ言わず飲んでおけ。粉末をスプーンに山盛りに乗せ平らにする。粉末を水に溶かして飲み干せ」
「へぇー、そんな簡単な漢方薬があったら魔法の出番ないね」
「あのな、細胞は治せないんだ。限度がある」
俺はエクレアに溜息をついてしまった。
けれど本人は受け取った薬を我が物顔で鞄の奥に押し込むと、鉄鉱石の詰まった袋を肩にかける。奥歯を噛んで必死になった。
折れた脇腹の骨が突き刺さって苦しそうだった。
「おーい、やっと着いたぞ」
「ごめんね。半分持ってもらっちゃって」
「そうだな。だが……まあいい」
俺はエクレアの見た目を気にした。
正直に言えば脇腹だけではないことは町に帰って来た時からたくさんの人の目が集中していたので気が付いていた。
「すみませーん、パフィさん鉄鉱石たくさん採掘してきましたよ!」
「あっ、エクレアさんにカイさん。ありがとう……えっ!?」
冒険者ギルドに入ると、パフィが忙しそうにしていた。
こんな時間から酒を飲んだ冒険者やここ1週間まるで依頼をこなしている様子のない冒険者と様々いたが、皆がエクレアの姿を見て目を丸くしていた。
心配になるのもわかる見た目だ。
「エクレアさん大丈夫ですか」
「大丈夫ですよ。これが採掘してきた鉄鉱石です。買い取ってもらってもいいですか?」
「えーっと、ありがとうございます。ですが本当に大丈夫ですか? その右目は見えているんですか?」
「右目ですか? 見えてないですよ。血が溜まって真っ暗です」
エクレアはさらっと言い切ってしまった。正直マジで怖い。俺は心底震えが来た。
ここまでずっと気が付いていたが、右目が真っ赤になっていた。充血レベルは既に突破しており、それでも尚歩けているのが怖い。痛みが脇腹のものにすり替わっている。
「全く大した奴だよ、お前は」
「“お前”じゃないよ。私の名前はエクレア・エーデルワイス。ちゃんと名前があるんだよ!」
俺は改めてコイツの名前を知った。
全く、相変わらず沸点の位置がわかり難い。
そもそもそんなことで起こると頭に血が上って、ほら言った途端にこれだ。
「エクレアさん!」
「やれやれ、頭に血を溜めるなって言っておけばよかったな」
エクレアはそのまま倒れてしまった。
別の薬も用意してやるしかないなと思い、武器庫の空間に呼びかけた。
大量の鉄鉱石の中には依頼されていた分のおそよ3倍を採掘した。
まだまだあったので行ってみる価値はあるが、これでしばらくヤバいことにはならないだろう。
「でもよかったね。これで新米冒険者さん襲われることはないね」
「そうだな。にしても、鉱山でファフニールと戦うことになるなんてな」
「凄かったね。大きかったね」
「そうだな。にしても、反応が薄いな」
エクレアの反応があまりに薄くて驚いた。
実際疲れていない俺の方がたくさん担いでいる。
けれど深手を負った反動で、さっきから腹部を押さえていた。脇腹が悲鳴を上げている。
「本当に大丈夫か? 無理するなよ」
「無理はしてないよ。ただちょっと痛くて……《黄昏の陽射し》でも骨までは治らないから」
「細胞を活性化させて治す仕様だったな。骨を治すなら、これでも飲んだらどうだ」
俺は鞄の中からアイテムを取り出す。
小さな小瓶の中には白い粉が入っていた。もちろん怪しい薬ではない。モンスターと植物から作った漢方薬だ。
「ほら、受け取れ」
「おっと、何これ? 白い粉みたいだけど、大丈夫なのかな?」
「当たり前だ。それはスケルトンの骨粉とカルシウムとコラーゲンを多く含んだ2種類の植物から作った薬だ。1日寝て起きれば骨は再生してくっ付く」
「そんな薬があったんだね。私知らなかったよ」
そんなの当たり前だ。この薬は市販化されていない。
ただ効果は覿面で、俺もリオンも何度もこの薬に助けられてきた。
「つべこべ言わず飲んでおけ。粉末をスプーンに山盛りに乗せ平らにする。粉末を水に溶かして飲み干せ」
「へぇー、そんな簡単な漢方薬があったら魔法の出番ないね」
「あのな、細胞は治せないんだ。限度がある」
俺はエクレアに溜息をついてしまった。
けれど本人は受け取った薬を我が物顔で鞄の奥に押し込むと、鉄鉱石の詰まった袋を肩にかける。奥歯を噛んで必死になった。
折れた脇腹の骨が突き刺さって苦しそうだった。
「おーい、やっと着いたぞ」
「ごめんね。半分持ってもらっちゃって」
「そうだな。だが……まあいい」
俺はエクレアの見た目を気にした。
正直に言えば脇腹だけではないことは町に帰って来た時からたくさんの人の目が集中していたので気が付いていた。
「すみませーん、パフィさん鉄鉱石たくさん採掘してきましたよ!」
「あっ、エクレアさんにカイさん。ありがとう……えっ!?」
冒険者ギルドに入ると、パフィが忙しそうにしていた。
こんな時間から酒を飲んだ冒険者やここ1週間まるで依頼をこなしている様子のない冒険者と様々いたが、皆がエクレアの姿を見て目を丸くしていた。
心配になるのもわかる見た目だ。
「エクレアさん大丈夫ですか」
「大丈夫ですよ。これが採掘してきた鉄鉱石です。買い取ってもらってもいいですか?」
「えーっと、ありがとうございます。ですが本当に大丈夫ですか? その右目は見えているんですか?」
「右目ですか? 見えてないですよ。血が溜まって真っ暗です」
エクレアはさらっと言い切ってしまった。正直マジで怖い。俺は心底震えが来た。
ここまでずっと気が付いていたが、右目が真っ赤になっていた。充血レベルは既に突破しており、それでも尚歩けているのが怖い。痛みが脇腹のものにすり替わっている。
「全く大した奴だよ、お前は」
「“お前”じゃないよ。私の名前はエクレア・エーデルワイス。ちゃんと名前があるんだよ!」
俺は改めてコイツの名前を知った。
全く、相変わらず沸点の位置がわかり難い。
そもそもそんなことで起こると頭に血が上って、ほら言った途端にこれだ。
「エクレアさん!」
「やれやれ、頭に血を溜めるなって言っておけばよかったな」
エクレアはそのまま倒れてしまった。
別の薬も用意してやるしかないなと思い、武器庫の空間に呼びかけた。
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