異世界帰還組の英雄譚〜ハッピーエンドのはずだったのに故郷が侵略されていたので、もう一度世界を救います〜

金華高乃

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第14章 仙台方面奪還作戦編Ⅱ

第18話 特務小隊、奮戦す

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 ・・18・・
「知花、上野少尉と坂井曹長はどうだ?」

「応急処置はしたけどこのままだと危ないかな……。二人ともトリアージレッド。上野少尉は出血量が多いし、坂井曹長は意識レベルが低下してる。魔法軍医じゃない私だとこれ以上の治療は難しいし、設備も必要だね」

「分かった。それなら一秒でも早くヤツらを倒そう」

 隊員達が洗脳されたエンザリアをなるべく近づけさせないよう法撃を続けるなかで、孝弘はすぐの反撃を決心する。

「部隊を高速機動戦班と陣地防衛班に分ける。知花、大輝、ここに残ってくれ。慎吾少佐と東山少尉に緒川曹長は陣地防衛、敵迎撃を」

「了解しました」

「はっ」

「了解!」

「高速機動戦班は、前衛が俺と有都大尉。後衛が水帆と華蓮大尉。金山中尉は二人を守る役目をしつつ側面からの攻撃を対処」

「はっ!」

「分かったわ!」

「はぁい!   了解しました!」

「了解です」

「米田中尉と鏡島曹長、笹山少尉と津山曹長はツーマンセルで中衛担当。俺と有都大尉の支援をしつつ金山中尉が対処しきれない場合は後衛の防御役を頼みたい」

「はっ」

「了解っ」

「了解しました」

「了解」

「詠唱準備、弾薬装填完了後の二〇秒後に突撃する」

『サー!!   イェッサー!!』

 急造の防衛陣地のあちこちから詠唱準備の声音が聞こえ、マガジンの装填音が響く。矢をつがう者もいた。
 二〇秒後はすぐに訪れる。

「突、撃ッッ!!」

『うぉぉぉぉぉ!!』

 孝弘とアルトが身体強化魔法を最大限に付与して飛び出した直後、まずは水帆の上級火属性爆発系魔法が飛来する。広範囲に視界不良を起こした攻撃は洗脳されたエンザリアの索敵力を低下させる。
 直後にエンザリアを襲ったのはカレンが放った魔法の矢だ。三、四人のエンザリアはこの射撃で魔法障壁の半分以上が削られた。
 それを孝弘とアルトが見逃すはずがなく、二人のエンザリアを孝弘が銃撃で。もう二人のエンザリアをアルトの槍が貫いた。

 残り一九体。

『SA8よりSA1、6。二時方向、二五〇メートル先よりエンザリア三人の法撃。法撃妨害します。二、一、今』

 宏光の法撃はエンザリア三体が光線を撃つ直前に命中し、天使達は『法撃中止キャンセル』を強要される。

「ハイチャージ、ツインショット!」

「貫けぇ!!」

 孝弘とアルトは一人ずつエンザリアを始末し、残り一人は米田中尉と鏡島曹長が協同撃破した。

 残り一六人。

『SA8よりSA1、6!   七時方向の四人と三時方向からの三人挟撃来ます!   七時方向は僕の方で片付けます!』

『三時方向ね。分かったわ』

『SA8、七時方向は私もやるよー!』

『助かります!』

「SA6は七時方向を」

「分かりました!」

 ここで孝弘と有都は二手に分かれ米田・鏡島組は孝弘の、笹山・津山組はアルトのカバーに回る。

『散りなさい』

『黒き炎の塵となれ』

『ぶっとべー!!』

 水帆は水属性凍結貫通系中級魔法を、宏光は火・闇複合属性中級魔法を、カレンは多段分裂系の魔法矢射撃を発動しそれぞれがエンザリアのいる地点に命中。三時方向と七時方向のエンザリアは残り一人ずつとなる。

「疾くと散れ」

「とっとと消えやがれ!」

 孝弘とアルトは残ったエンザリアを難なく撃破した。

 残り九人。

「SA8、互いに近くにいる二人と三人を動作停止系魔法で動きを止められるか?」

『動作停止系了解!   発動まで一〇秒ください!』

「十分だ。それまでにもう一体片付ける」

『SA6、一体撃破!   カレン、俺の近くにいるやつ一人をぶっ飛ばせ!』

「はいはーい!!」

『SA1、背後から接近するやつは私がやるわ。訂正、今殺った』

「助かる!   さぁ、これで終いだ!」

『縛れよ縛れ。地獄の底より這い寄るは、呪いの腕達。沈め、沈め、沈んで離れず。動けると思うな堕天使達よ。掴まれたら最期。それが貴様等の終焉と知れ。『呪腕顕現カース・ハンズ』』

 宏光が呪文の詠唱を終えると、地面から生えてきたのは数多の黒腕。それらはエンザリアの脚を掴むと地獄へ引きずり込むが如く彼らを地に埋めていく。こうなればもうどこへも逃げられなかった。

「その命、もらったぁぁぁ!!」

 孝弘が残弾全てをハイチャージにしてエンザリア五体に叩き込む。

「エンザリア、全撃破!!」

 孝弘が宣言すると隊員達から歓声が上がった。

「見事、見事だ。操り人形を全て倒すとは。ただな、いるんだよ。操られておらぬ堕天使もな」

『超高濃度法撃反応!?!?   SA3、4、皆逃げてくださ――』

 宏光が悲鳴のような叫び声を上げた直後のことだった。
 突如として大輝達の後方に現れた、黒く爛れ汚物のような液体が滴り落ちそうなヘイローを持った男はドス黒い光線を放ったのだ。
 禍々しい法撃の先にあるのは、大輝や知花達のいる急造防衛陣地。

「き、きさまぁぁぁぁぁ!!!!」

 乱入者に孝弘の怒号は届かず、銃撃では黒の光線を逸らすには到底威力不足で。

「大輝、知花ぁぁぁ?!?!」

 水帆が展開した魔法障壁では足りるわけがなく。

「先生ぇぇぇぇ!!!!」

「いやぁぁぁ?!?!」

 アルトとカレンが魔法障壁を展開してもやはり防ぐには足らず。
 陣地は木っ端微塵に黒き光線に吹き飛ばされてしまった。
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