異世界帰還組の英雄譚〜ハッピーエンドのはずだったのに故郷が侵略されていたので、もう一度世界を救います〜

金華高乃

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第12章 福島方面奪還作戦編

第8話 トラップと水とマルトクと②

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・・Φ・・
 結局、孝弘達が任された地区のトラップ解除とCT排除を終えたのは夕方頃だった。
 彼等が向かったのは福島駅近くの大型商業施設。そこには第一〇一魔法旅団戦闘団の臨時前線司令部が置かれていた。このショッピングセンターは偶然爆撃を免れており、だったら臨時前線司令部として使おうとなったのである。当然トラップは解除済みだ。ただし中がまだ完全に片付いていなかったから今日限定で駐車場に大天幕を設置していた。
 孝弘は部下へよく休息を取るように言い水帆達に少々の頼みを伝えると、璃佳のいる大天幕へ向かう。

「七条准将閣下、米原です」

「入っていいよ」

「はっ、失礼します」

 孝弘は璃佳の声が聞こえたので大天幕の中に入る。そこには司令部要員の数人と熊川もいた。

「特務小隊、本日の任務を完了しましたので報告致します」

「ご苦労だったね。そっちにはトラップが幾つあった?」

「原始的な落とし穴が四。魔石トラップが一一。閉じ込めたCTを解放するタイプが三ですね。いずれも即時排除及び解除しましたが、心臓に悪いことこの上ありませんでした」

「貴官達のとこも大概な数だね」

「本当ですよ。知花が見つけてくれるのは前からの事ですが、加茂野曹長がいなかったらこれらの安全な解除にはもっと時間がかかってました。後で長浜中佐には礼を言わないといけません」

「加茂野曹長は優秀だからね。さて、君には来てもらって早々だけど別の問題を伝えなきゃいけないんだよね」

「…………失礼ながら、大量のトラップに水の問題だけでなくまだありますか」

「まだあるんだよ。これが。私も聞いた時には熊川と悪態をついたもの。ねえ、熊川?」

「ええ。甚だしく余計な仕事でしたから」

「ね。で、だ。この話は奥でしようか。『マルトク』の話でね」

 璃佳が声のトーンを落として言った『マルトク』とは、特別機密のことだ。どうやら相当に面倒な事態が起きたらしい。孝弘はそろそろ頭痛が起きそうだと思いながら苦虫を噛み潰したような顔つきをすると、璃佳と熊川は彼の心情を察してか同じ顔をしてみせた。

 三人は大天幕の奥、指揮官の執務スペースの方へ歩く。
 簡易的なカーテンを閉めて熊川が防音魔法を施すのを璃佳が確認すると、

「つい一時間前までは君の報告を聞いて終わりにするつもりだったんだけどね、流石にマルトクが入ってくるとなるとそうはいかなくってさ」

「私が絡む話ですか?」

「いんや、君というより君達六人かな」

「六人……。益々嫌な予感がするんですが。…………まさか、帰還者絡みですか」

「流石に六人と言えば分かっちゃうよね。そう。マルトクって言うのは、帰還者絡み。軍本部からこんな情報が入ってきた。読んでみな」

 孝弘は璃佳から賢者の瞳を通じて電子文書を受け取ると、画面を展開させる。
 彼は一通り読み終えると、眉間に皺を寄せた。

「確かに私達の呼ばれ方に関係はしてますね。……要監視対象の帰還者が行方をくらました。ですか」
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