上 下
29 / 239
そのよん

そのよん-3

しおりを挟む






「みのりさん、おは…」

ようのキスは手のひらでブロック。

ため息つく尊。

「みのりさん、はい着替え」

「そこ置いといて」

ベッドの上にあたしの着替えの服置きながらため息。

「みのりさん…朝ご飯」

「……」

無言の食卓。

泣き腫らした尊の目。知るか。

「…お昼ご飯はクロックムッシュだからね。チンして食べてね」

「……」

ため息も一つ。

「みのりさん…行ってらっしゃいのキスして?」

全力で無視。

「…行ってきます」

ため息ついて会社行った。

仕事部屋入ろうとして。

今日は客間で寝よ。

て、思った。

お昼。尊からメッセージ。

お昼ご飯ちゃんと食べてね。ごめんなさい。

煩い。あたしの怒りが簡単におさまると思うなよ。

夕方。尊帰宅。

「…ただいま」

「……」

ため息ついてキッチン行く尊。

晩ご飯も無言。

「みのりさん…お風呂」

「一人で入る」

無視してお風呂。

出たら。バスルームのドアの側で。

体操座りでしくしく。

ちょっと。

いぢめ過ぎたかな。いや、いかん。

しくしく。

あたしは怒ってんだ。

しくしく。

もう。だいの大人がしくしく泣くなよ。

「尊、お風呂はいったら」

「ごめんなさい…」

「…わかったから」

座って顔覗き込んだら。真っ赤になった眼であたし見る。

「…俺…みのりさんがいないと生きてけないよ…」

よしよし。わかったから。

「お風呂入ってきなよ」

「うん…みのりさん、キスしていい?」

尊がちょっと震える手であたしのほっぺた触って。

キスした。

ベッドのガムテープ剥がして。

まあ、ヤツも反省したみたいやし。

お風呂上がってきた尊。

「ごめんね。みのりさん」

言いながらあたしベッドに押し倒す。

ちょっと待ていっ!!

「だってみのりさんとしたいんだもん」

反省したんやないんか、オマエはっ。

そして。

あたしの隣でしくしく。

まったくコイツは!

やっぱ客間で寝よかな。

「みのりさん!?どこ行くのっ」

「下で寝る」

「待ってっ!ごめんってば!」

あたしの手掴む尊。

尊の携帯が鳴る。

深夜の電話は不吉なイメージ。

「…なんだよ。こんな時間に」

手、離せ。

「…大事な相談?なんだそれ」

なにやら。深刻そうな電話。

「…まあ、お前は俺の一番の後輩だしな。しょうがねえな。龍二」

さっきまで泣いてたくせに。

尊が。怖い顔した。




しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

後宮に咲く薔薇

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:10,551pt お気に入り:787

霊媒巫女の奇妙な日常

ミステリー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

私を捨てた元婚約者は、新しい恋人に飽きられてきたらしい

恋愛 / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:1,082

【R-18】八年執着されましたが、幸せです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:149pt お気に入り:616

虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:306pt お気に入り:630

破壊、略奪、支配、エロ。これが大人のファンタジー

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:2,214

御庭番のくノ一ちゃん ~華のお江戸で花より団子~

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:15

君と僕はどこかが繋がっている。

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:20

同室のイケメンに毎晩オカズにされる件

BL / 完結 24h.ポイント:371pt お気に入り:2,112

処理中です...