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そのじゅうさん
そのじゅうさん-7
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日がな一日。
パソコンの前で原稿のファイル開いて。
書いては。
消し。
を、繰り返す。
「はあ…」
机に頭突っ伏す。なんも浮かんでこん。
もう一週間。
仕事進まない。
首に光るT。何度も外そうとしてためらって。
外せずに。
もう二度と。戻る事はないんだと。
鳴らない朝の電話。
おはよう、みのりさん。
あの声を聞く事はないんだと。
流れる時間に思い知らされる。
尊もいつか思い出のひとになるのかな。
そう思って。
泣いた事あったな。
こんな日がくるなんてな。
あんな風に言われて。
ひどい事言われたのに。
まだ。
なんか悪い夢の中にいるみたいで。
だけど、もう。
朝の電話は鳴らない。
「はーーー」
大きく息をはいた。
「すーーーっ」
吸ってみた。
深呼吸したところでなんにも変わんないや。
当たり前か。
そろそろ。
原稿に手付けんとヤバイな。
あたしの気持ちなんて関係無く。
仕事は待ってくれない。
わかってんだけど。
なんも書けない。
仕方ない。
飲み、行くか。
「ちょっと飲み行ってくる」
ブーツ履きながら台所のおかんに声かけた。
「気ぃ付けるんよ。飲み過ぎんのよ」
顔だけ出しておかんが言った。
「お前…鬱陶しい」
隣で恭平が言う。
カウンターに突っ伏す、あたし。
「…鬱陶しいてなんよ?」
「ため息ばっかでウザいし。さっきからなんの曲聴いても泣くし」
だってさ。悲しくなるんだもん。音楽って。
「ボビー・ブラウン聴いて泣くかあ?普通」
「…今パーシー・スレッジ聴いたら号泣するね、あたしゃ」
「んじゃ歌ってやろか?ぅえんなめぇーんらぶずうぉーまん」
「やめれ。アンタの歌ですら泣きそうなる」
今日も。
別に恭平とはたまたま会っただけだ。
恭平の方がこの店来てる率高いからな。
涼香に。
尊の事話した。
「店行ってぶん殴ってやる!!」
興奮する涼香を抑えるのは大変やった。
その話は多分、恭平も知ってんだろな。
突っ伏した頭撫でる恭平。
「優しくすんな。惚れる」
「…俺…ずっと誰にも言わんで隠してたけど」
「なに」
頭撫でながら。
「ホントはずっとお前の事好きだった」
は………??
「涼香にも悪いと思ってる。お前を好きなまま付き合って…」
顔上げて恭平見た。
なに言ってんだ、コイツ。
恭平の顔が近付いてきて。
あたしの前で。
「うっそお~ん」
右ストレート喰らわした。
「あいたた」
ほっぺた押さえながらスツールに座りなおす。
ふざけやがって。失恋したての女からかってんじゃねえっ。
「ま、でもな」
「なんよ」
「一発ヤってすっきりしたくなったら言えや」
オマエとゆうヤツはっ。
今度の右ストレートは手のひらで止められた。
「どこのどいつかわからんようなヤツより、俺の方がマシやろが」
ちょっと真面目な顔した。
「そん時は誰にも言わんから安心しろ」
くいっ、と。ローゼスのロックを。
飲み干した。
パソコンの前で原稿のファイル開いて。
書いては。
消し。
を、繰り返す。
「はあ…」
机に頭突っ伏す。なんも浮かんでこん。
もう一週間。
仕事進まない。
首に光るT。何度も外そうとしてためらって。
外せずに。
もう二度と。戻る事はないんだと。
鳴らない朝の電話。
おはよう、みのりさん。
あの声を聞く事はないんだと。
流れる時間に思い知らされる。
尊もいつか思い出のひとになるのかな。
そう思って。
泣いた事あったな。
こんな日がくるなんてな。
あんな風に言われて。
ひどい事言われたのに。
まだ。
なんか悪い夢の中にいるみたいで。
だけど、もう。
朝の電話は鳴らない。
「はーーー」
大きく息をはいた。
「すーーーっ」
吸ってみた。
深呼吸したところでなんにも変わんないや。
当たり前か。
そろそろ。
原稿に手付けんとヤバイな。
あたしの気持ちなんて関係無く。
仕事は待ってくれない。
わかってんだけど。
なんも書けない。
仕方ない。
飲み、行くか。
「ちょっと飲み行ってくる」
ブーツ履きながら台所のおかんに声かけた。
「気ぃ付けるんよ。飲み過ぎんのよ」
顔だけ出しておかんが言った。
「お前…鬱陶しい」
隣で恭平が言う。
カウンターに突っ伏す、あたし。
「…鬱陶しいてなんよ?」
「ため息ばっかでウザいし。さっきからなんの曲聴いても泣くし」
だってさ。悲しくなるんだもん。音楽って。
「ボビー・ブラウン聴いて泣くかあ?普通」
「…今パーシー・スレッジ聴いたら号泣するね、あたしゃ」
「んじゃ歌ってやろか?ぅえんなめぇーんらぶずうぉーまん」
「やめれ。アンタの歌ですら泣きそうなる」
今日も。
別に恭平とはたまたま会っただけだ。
恭平の方がこの店来てる率高いからな。
涼香に。
尊の事話した。
「店行ってぶん殴ってやる!!」
興奮する涼香を抑えるのは大変やった。
その話は多分、恭平も知ってんだろな。
突っ伏した頭撫でる恭平。
「優しくすんな。惚れる」
「…俺…ずっと誰にも言わんで隠してたけど」
「なに」
頭撫でながら。
「ホントはずっとお前の事好きだった」
は………??
「涼香にも悪いと思ってる。お前を好きなまま付き合って…」
顔上げて恭平見た。
なに言ってんだ、コイツ。
恭平の顔が近付いてきて。
あたしの前で。
「うっそお~ん」
右ストレート喰らわした。
「あいたた」
ほっぺた押さえながらスツールに座りなおす。
ふざけやがって。失恋したての女からかってんじゃねえっ。
「ま、でもな」
「なんよ」
「一発ヤってすっきりしたくなったら言えや」
オマエとゆうヤツはっ。
今度の右ストレートは手のひらで止められた。
「どこのどいつかわからんようなヤツより、俺の方がマシやろが」
ちょっと真面目な顔した。
「そん時は誰にも言わんから安心しろ」
くいっ、と。ローゼスのロックを。
飲み干した。
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