You Could Be Mine 【改訂版】

てらだりょう

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そのじゅうさん

そのじゅうさん-5

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朝、眼が覚めたら。

尊は隣にいなかった。

もう起きたのか。今日は早いな。

昨日、記憶がない。酔っ払ってそのまま寝たんだろな。

しかし。いつも記憶なくても起きた時は裸なのに。

パジャマ着てるって事はなんもしなかったって事か。

め。珍しいな。

なんか用事でもできたんかな。

ベッドの下に、綺麗に畳んであるあたしの服。

着替えてリビングに出た。

ちょうど、バスルームから尊が出て来た。

「おはよ。今日早いね」

あたしが言ったら。

「…おはよ」

ちらっとこっち見て言った。

なんか調子狂うな。

いつも抱き着いてくるのに。

おかしいな。

抱きついてきてキス、したがるのに。

昨日なんかあったんかな?あたし酔っ払ってなんかしたかな?

尊を怒らせるようなこと、したのかな。

「…たけ」

声をかけようとしたあたしに。

「みのりさん」

いつもの尊じゃない、声。

尊が水飲みながらあたしを見た。

なんか。

冷たい顔。

なんで。そんな顔すんだよ?

「ウチの鍵、返してくれる?」

尊が言った。

なに。

言ってんの、尊?

「そんなびっくりしないでよ」

あたしを見て、くす、っと笑った。

水を一口飲んで、ため息ついた。

「ごめん。俺」

口元で笑いながら。

あたしがいる寝室の壁のとこまで来て。

あたしの頭のとこの壁に手をついた。

さっきから。

なに言ってんだ、コイツ。

「なんかさ。俺、どうでもよくなってきた」

「なに言ってんのよ」

「やっぱ俺、一人の女と付き合うとか面倒なんだよ。最近、ちょっと面倒くさくなってきちゃってさ」

なに。

「多分勘違いしてたんだよ、俺」

「なにが」

尊はにっこり笑って。

「恋愛ごっこしてみたかっただけなんだよ、多分。みのりさんが好きってのも」

だからなんだよ。

「勘違いしてただけ」

尊があたしのほっぺた触った。

「でも…最後に一回ヤっとこうかな?みのりさんの身体、俺が開発した様なもんだし」

くすくす、尊が笑う。

「やだっ!!」

キスされそうになって咄嗟に尊から逃げた。

こんなの。違う。

あたしの好きな尊じゃない。

「別にそんな嫌がらなくてもいいだろ?気持ちよくしてやるしさ」

あたし見ながら、笑う。

なに、この人。

腕、掴まれそうなって。

その腕から逃げて、慌ててバッグ掴んで。

鍵を。バッグから出して。

投げた。

尊の顔に当たって落ちた。

「…ってえな。商売道具に傷ついたらどうすんだよ」

あたしに手を伸ばそうとしてきたから。

後ろも振り向かずに、尊の部屋から走って逃げた。

「ヤりたくなったら相手してあげるよ」

背中に投げつけられる、言葉。

なにがなんだかわかんなくて。

駐車場まで走って。

車の中でようやく。

尊があたしを棄てたんだ。

ステアリング握り締めて。

泣いた。
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