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三年目の春の話
八 首輪(※) ※拘束あり
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春の夜は肌寒い。
自宅のマンションに戻り、ふたりでシャワーを浴びたり、着替えたりした。ルイスは前髪をおろすと幼くなるので、レンはこっそり可愛いと思う。
「食事は摂りましたか?」
「あ、はい。機内食を。もし何かあるなら、あとでいただいてもいいですか」
「はい」
「すみません、少しだけ寝ます」
長いフライトのあいだ、ルイスはいつも起きている。現地時間と到着後と合わせると相当長時間寝ていない。
レンは訊ねた。
「一緒にいてもいいですか?」
「うん。おいで」
ルイスを追いかけて、レンも寝室についていく。ばたりと寝転がったルイスに上掛けをかぶせて、明かりを消して隣にもぐりこんだ。自分はまだ眠くないが、傍にいたい。
ルイスは眠る間際に、レンを引き寄せる。
額を合わせるほどの距離で、レンは呼吸音に気をつけながらルイスを見つめる。彫りが深く、鼻が高く、二重の目を持つ。眉が長くて低く、鋭い。金髪はさらさらと指通りがいい。肌がきれいで白い。
瞼の中の瞳は青で、秋の空の色に似ている。
帰ってきてくれてよかったと思う。なんだかんだ、やはりこうして目の前にいる姿を見ない限りは、このまま離れ離れではないかと考えてしまい辛かった。
ルイスは規則正しい寝息を立てている。精巧な人形みたいだとレンは思う。信じられないほど美人だ。
レンが眺めていると、ルイスは目を開けた。五分も経っていない。声を掛けるよりも前に、ルイスはレンをさらに引き寄せて、ゆっくりと口づける。
唇を触れ合わせ、食んで開いて、深くする。
「ん、ん」
そして、レンを強く抱いた。舌をとらえ、絡めて、口の中を吸う。そうしながら、ルイスは勢いよくレンの上になる。
首筋に顔を埋めて舐めながら、シャツをたくし上げる。シャツの中の肌に触れる。上半身に手を這わせて確かめる。
レンの胸に唇を当て、ルイスは言った。
「……レン、ちゃんと食べています? 痩せた感じがします」
「すみません、がんばって食べてるんですが、少し痩せました」
「君はこれ以上痩せないほうがいいです。心配になるので」
「はい」
「噛めるものがないです」
ルイスは言いながら、レンの肩を甘噛みする。歯型がついた。そんな風に、あちこちを噛んでいく。
「痛……」
「痛い?」
「少し」
ルイスは噛むのをやめて、強く吸う。服で隠れる部分にはすべて痕をつけてしまいたい。自分のものだと示したい。全身に小さくキスを落としながら、せっかくきれいに治ったあちこちをふたたび赤く染める。
レンは苦笑しながら受け入れる。ルイスは仕方のない男だ。
「そんなに不安がらなくても、俺、ルイスさんのものですよ」
「一生?」
「はい」
「今夜、めちゃくちゃにしてもいい?」
「それでルイスさんの気が済むんだったら、何をされても構いません」
ルイスは一度ベッドを出て、クローゼットから、隠し持っていた首輪とベルトを取り出した。どちらも黒い革製だ。首輪のほうは銀色の鎖がついている。
「こういうものがありまして……」
「二言はないです、が」
ドン引きするレンの首に、きつくならないようにゆとりをもたせて首輪をつけた。
ルイスはうっとりと笑う。
「いつも可愛いですけど、一段と可愛いです」
レンの心の中はすでにめちゃくちゃである。
ルイスは、ベルトでレンの両手首を巻き、レンを四つん這いにさせる。
ルイスはレンの後ろに回って、ベッドに膝をついた。ローションを手であたためて、レンの臀部に垂らしていく。秘部にローションを塗りつけ、人差し指を入れた。
「あっ」
「レン。射精しないように、しばらく我慢できますか」
「え……」
「だって、もし離れ離れになったとしたら、こうしてセックスできないじゃないですか。レンが我慢できるのか、試してみたいです」
「またおかしなことを……」
「僕は異常なんです」
「ご自覚があってなによりです」
ルイスは黙って、レンの後ろに入れた指を出し入れしたり、中を揉んだりする。
レンは枕に顔を埋めながら、声を出すのを我慢する。喘ぎ声を出してしまうと、気分が高まっていけない。
かといって、目を閉じると、体内の感覚に集中してしまう。自分は達しやすいとレンはわかっている。ルイスの指でされると感じすぎて我慢できない。
「っ……ふ、っ、う」
ルイスのほうは、レンの中を刺激する。レンのくぐもった声を聞くうちにむらむらしてくる。柔らかく念入りに拡張しながら、指を増やすなどしてみる。さらに、お尻をぺちぺち叩いてみる。
下着の中で、自分のものが固くなっているのがルイスにはわかる。首輪をつけられて、両手を拘束されて、性感帯を責められて、必死に耐えるレンが煽情的だ。
自分でやっておきながら、この子はなぜこんなことまで受け入れるのだろうかとルイスは思う。首輪をつけたい気持ちが常にあったのは確かだが、実現するとは到底思わなかった。
「――っ、は……」
ふと枕から顔をあげて、汗を垂らしながら浅く呼吸するレンをルイスは見た。涙目になっていて可愛い。視線を感じたレンは、ルイスをうつろな瞳で見る。
視線がかち合って、負けたのはルイスだった。レンから指を引き抜いて、倒れ込んだレンに乗り上げる。レンを仰向けにさせて、やさしく口づけた。
額に汗をかいているし、髪も汗ばんでいる。涙が頬を伝うので、ルイスはそれを舌で舐めてすくった。レンの雄は勃起していて、透明な液体が伝っている。
レンは息も絶え絶えになりつつ、笑った。
「我慢できたでしょう」
「うん。僕のほうが我慢できない」
と、ルイスは下着をずらし、自分のものを片手で軽く扱く。今すぐ犯したい。挿れたい。突きたい。中をしつこく擦って、喘がせたい。可愛い声で鳴かせたい。射精させたい。中に出したい。
レンは自ら足をあげながら、拘束されている両手をルイスに伸ばした。
「ルイスさん。我慢できたので、ご褒美をください」
ルイスはレンに襲い掛かることにした。
自宅のマンションに戻り、ふたりでシャワーを浴びたり、着替えたりした。ルイスは前髪をおろすと幼くなるので、レンはこっそり可愛いと思う。
「食事は摂りましたか?」
「あ、はい。機内食を。もし何かあるなら、あとでいただいてもいいですか」
「はい」
「すみません、少しだけ寝ます」
長いフライトのあいだ、ルイスはいつも起きている。現地時間と到着後と合わせると相当長時間寝ていない。
レンは訊ねた。
「一緒にいてもいいですか?」
「うん。おいで」
ルイスを追いかけて、レンも寝室についていく。ばたりと寝転がったルイスに上掛けをかぶせて、明かりを消して隣にもぐりこんだ。自分はまだ眠くないが、傍にいたい。
ルイスは眠る間際に、レンを引き寄せる。
額を合わせるほどの距離で、レンは呼吸音に気をつけながらルイスを見つめる。彫りが深く、鼻が高く、二重の目を持つ。眉が長くて低く、鋭い。金髪はさらさらと指通りがいい。肌がきれいで白い。
瞼の中の瞳は青で、秋の空の色に似ている。
帰ってきてくれてよかったと思う。なんだかんだ、やはりこうして目の前にいる姿を見ない限りは、このまま離れ離れではないかと考えてしまい辛かった。
ルイスは規則正しい寝息を立てている。精巧な人形みたいだとレンは思う。信じられないほど美人だ。
レンが眺めていると、ルイスは目を開けた。五分も経っていない。声を掛けるよりも前に、ルイスはレンをさらに引き寄せて、ゆっくりと口づける。
唇を触れ合わせ、食んで開いて、深くする。
「ん、ん」
そして、レンを強く抱いた。舌をとらえ、絡めて、口の中を吸う。そうしながら、ルイスは勢いよくレンの上になる。
首筋に顔を埋めて舐めながら、シャツをたくし上げる。シャツの中の肌に触れる。上半身に手を這わせて確かめる。
レンの胸に唇を当て、ルイスは言った。
「……レン、ちゃんと食べています? 痩せた感じがします」
「すみません、がんばって食べてるんですが、少し痩せました」
「君はこれ以上痩せないほうがいいです。心配になるので」
「はい」
「噛めるものがないです」
ルイスは言いながら、レンの肩を甘噛みする。歯型がついた。そんな風に、あちこちを噛んでいく。
「痛……」
「痛い?」
「少し」
ルイスは噛むのをやめて、強く吸う。服で隠れる部分にはすべて痕をつけてしまいたい。自分のものだと示したい。全身に小さくキスを落としながら、せっかくきれいに治ったあちこちをふたたび赤く染める。
レンは苦笑しながら受け入れる。ルイスは仕方のない男だ。
「そんなに不安がらなくても、俺、ルイスさんのものですよ」
「一生?」
「はい」
「今夜、めちゃくちゃにしてもいい?」
「それでルイスさんの気が済むんだったら、何をされても構いません」
ルイスは一度ベッドを出て、クローゼットから、隠し持っていた首輪とベルトを取り出した。どちらも黒い革製だ。首輪のほうは銀色の鎖がついている。
「こういうものがありまして……」
「二言はないです、が」
ドン引きするレンの首に、きつくならないようにゆとりをもたせて首輪をつけた。
ルイスはうっとりと笑う。
「いつも可愛いですけど、一段と可愛いです」
レンの心の中はすでにめちゃくちゃである。
ルイスは、ベルトでレンの両手首を巻き、レンを四つん這いにさせる。
ルイスはレンの後ろに回って、ベッドに膝をついた。ローションを手であたためて、レンの臀部に垂らしていく。秘部にローションを塗りつけ、人差し指を入れた。
「あっ」
「レン。射精しないように、しばらく我慢できますか」
「え……」
「だって、もし離れ離れになったとしたら、こうしてセックスできないじゃないですか。レンが我慢できるのか、試してみたいです」
「またおかしなことを……」
「僕は異常なんです」
「ご自覚があってなによりです」
ルイスは黙って、レンの後ろに入れた指を出し入れしたり、中を揉んだりする。
レンは枕に顔を埋めながら、声を出すのを我慢する。喘ぎ声を出してしまうと、気分が高まっていけない。
かといって、目を閉じると、体内の感覚に集中してしまう。自分は達しやすいとレンはわかっている。ルイスの指でされると感じすぎて我慢できない。
「っ……ふ、っ、う」
ルイスのほうは、レンの中を刺激する。レンのくぐもった声を聞くうちにむらむらしてくる。柔らかく念入りに拡張しながら、指を増やすなどしてみる。さらに、お尻をぺちぺち叩いてみる。
下着の中で、自分のものが固くなっているのがルイスにはわかる。首輪をつけられて、両手を拘束されて、性感帯を責められて、必死に耐えるレンが煽情的だ。
自分でやっておきながら、この子はなぜこんなことまで受け入れるのだろうかとルイスは思う。首輪をつけたい気持ちが常にあったのは確かだが、実現するとは到底思わなかった。
「――っ、は……」
ふと枕から顔をあげて、汗を垂らしながら浅く呼吸するレンをルイスは見た。涙目になっていて可愛い。視線を感じたレンは、ルイスをうつろな瞳で見る。
視線がかち合って、負けたのはルイスだった。レンから指を引き抜いて、倒れ込んだレンに乗り上げる。レンを仰向けにさせて、やさしく口づけた。
額に汗をかいているし、髪も汗ばんでいる。涙が頬を伝うので、ルイスはそれを舌で舐めてすくった。レンの雄は勃起していて、透明な液体が伝っている。
レンは息も絶え絶えになりつつ、笑った。
「我慢できたでしょう」
「うん。僕のほうが我慢できない」
と、ルイスは下着をずらし、自分のものを片手で軽く扱く。今すぐ犯したい。挿れたい。突きたい。中をしつこく擦って、喘がせたい。可愛い声で鳴かせたい。射精させたい。中に出したい。
レンは自ら足をあげながら、拘束されている両手をルイスに伸ばした。
「ルイスさん。我慢できたので、ご褒美をください」
ルイスはレンに襲い掛かることにした。
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