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第一章 政略結婚

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…?殿下はどこに行ったんだ?

「公爵様!皇太子殿下なら、早めに会議が終わったと言って執務室に向かわれましたよ」

「そうだったのか、助かる」

「ええ」

早めに終わったのか。良かった。予定よりも早く視察に迎える。

「失礼致します」

「殿下、お戻りだったのですね。」

「ああ、早めに終わったからな。……これは内密にしてほしいのだが…」

「…!」

どうやら隣国の様子が怪しいらしく、こちらの様子をうかがう気配があるらしい。
まだ気のせいかもしれないが一応心に留めておくようにとのことだった。

「そうですか…分かりました。心に留めておきます。

「ああ。では視察に向かうぞ」

「はい」



「ベルト侯爵領だったな。ルートは?」

「農地、商業区、最後にルリマイナの視察です」

と、事前に確認しておいたルートをお伝えする。

「分かった。…マリナ嬢の実家か。あそこは発展しているだろうから見るのが楽しみだな。」

「そうですね」

ベルト侯爵領は俺も行ったことがなかったな…どんな感じなのだろうか?侯爵は商売だけでなく領主としても立派な方だそうだ。いつか顔を合わせることになるのだろうがその時が楽しみだ。


…このときの俺はまさか彼と初めて顔を合わせるのがあんな形になるとは知る由もなかった…



「殿下、公爵。ベルト侯爵領の農地に着きました。」

「ご苦労。視察が終わるころにまた来てくれ」

「承知致しました」

「殿下。移動に馬車を使わなくてもよろしいのですか?」

てっきり農地の視察が終わったら、次の場所へは馬車で移動するものだと思っていたのだが…?

「実際に歩いて見なければ分からないこともあるだろう?」

それもそうだな。だがこの人は…

「それだけが理由ではないでしょう?」

「チッ!ばれたか…馬車での移動だと同じ景色ばかりで飽きるだろう」

やっぱりか。殿下は飽きっぽい所があるからな。皇族なのに出来るだけご自分の足で歩きたがる。

「まあ別にいいんですけどね。殿下のことですから9割がその理由なのではないかと思っていました」

「失礼だな。さすがにそこまでではないぞ。せいぜい7割くらいだ」

ほとんど変わらないと思うのだが…

そんなことを話ながらも無事に視察は終わっていった。…途中からスチュワート嬢の惚気話を始めた時にはすごく面倒くさそうだとは思ったが、そんなことを言うと後からが大変だからなにも言っていないが…


侯爵領一の町、ルリマイナはとても発展していて皇都と同じくらい賑わっていたため少し驚いた。恐らくバートロム公爵領以上だろう。
もちろん、農地や商業区もきれいに整備されていた。
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