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第二章

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「皇族の一員となった以上、いつ狙われるか分かりません。私は多少、毒耐性がありますし治癒の加護で大体は無効化できますがリュード様はそうではないでしょう?」
「毒耐性なんてものはないな」
「ご安心を。使用人が入れたとかではなく、アイが仕込んだものですから。アイは毒使いで作るのもやりますから彼女の毒で体制を付けるのが一番手っ取り早いのですよ」

いわく、アイは世に回っていないものや彼女しか作り方を知らないものなど色々あるのだそうだ。リリアより、少しずつ耐性を付けてくださいとのお達しだ。

「最初の内は致死量にはしないですから。それは睡眠薬です。そのうち私が消して差し上げますからそれまで眠らず耐えてください。これも一種の拷問訓練になりますから」
「最初の内は!?ということは…」
「一番最後には致死量になりますね。ほんの一瞬だけ味わって頂きましたらすぐに消しますよ」

どの種類をどの程度飲んだら死ぬか覚えておけと。その毒がどんな匂いでどんな特徴を持つのかも覚えろと。

「薬も過ぎれば毒になります。逆に毒も使い方次第では薬になると覚えておいてくださいね。実際、解毒剤はその毒から作られるものも多いですし」
「分かった」
「必要ならば暇なときはアイを貸しますよ。毒や薬の知識において彼女より優れた者はいませんから」
「分かった」

拷問訓練の一種と言っていた。そして今日からは常にどんな時でも毒に警戒していろとも言われた。たとえ仕事中だろうと何だろうと毒を仕込まれるらしい。
そしてそれは口に入れる物だけとも限らないそうだ。体内に入るまでは何も教えないと言われた。毒耐性をつけるのは大変なのだと思うがこれくらいのことは耐えて見せるつもりだ。

リュードのためにもなるし、こんなことも耐えられなくてリリアの隣に立っていられるとは思えないから。

「私も過去に数えきれないほど毒を盛られましたのよ。でもそれは私に限ったことではなく皇族はずっと向き合い続けないといけない問題ですから」
「よく無事でいられたな」
「ええ。ですからお気をつけて。それとリュード様にもそろそろ影を選んで頂きます」

影と言うといつもリリアの傍に潜んでいる彼らもことか。仕事内容は主人の護衛、諜報、暗殺、その他命じられたこと。

「ルーク、ちょっと話があるから出てきて」
「はい?」
「ルークはリュード様の影になりたい?それとも影とは別で今のままがいい?」

さっきから口を動かしながら刺繍も続けているのに、ルークの居場所まで把握していたらしい。しっかりルークのいるところに目を向けていた。姿は見えないのに。
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