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第一章

1-3 リュードside

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俺は今日、顔合わせもしたことがない侯爵令嬢と結婚した。
顔合わせもしたことがないとは言ったが俺は公爵、彼女は社交界の華なのでお互いに遠くから見たことはあった。

整った、一般的には美少女と言われる顔立ちで華奢だった。
もっとも、どんな容姿だとしても女はみんな媚びてくるばかりで嫌いだが。


先程、初めて話した彼女に挨拶すらせずに「必要以上は関わるな。でも公爵夫人の仕事はしろ」と随分勝手なことを言ったが怒るでも泣くでもなく、淡々とまるで俺には一切興味がないとでも言いたげに了承した。

一体何を考えているんだ…?次々と舞い込んでくる縁談に嫌気が差して申し込んだ結婚だが、政略結婚とはいえ少しは俺に愛されることを期待しているものだとばかり思っていたのに。

挙げ句の果てには愛人でもいるのかと聞かれるわ、俺が出ない夜会などには一人で参加するだの。

が整った容姿で恋愛結婚でも嫁ぎ先には困らないだろうに。


チリンチリンとベルを鳴らし、乳兄弟であり側近でもあるルークを呼ぶ。

「ルーク」

「はいはい、何ですか?」

「リリア·マリデール侯爵令嬢について調べろ」

「え?リリア様って今日、リューの妻になった方でしょ?何でわざわざ調べるの?」

「特に理由はない。話してみてよく分からなかったから調べろ」

「へ~、リューが女の子に興味を持つって珍しいね?」

「別に興味があるわけではない」

「はいはい、そうですか。じゃあ俺はもう行くよ~」


と言って勝手に出ていってしまった。もう少し側近らしく出来ないのか?外での仕事は真面目なんだが…あれでも優秀だからな…


それにしても…
「お前は随分と寝付きが良いんだな。寝ると言って数秒で寝たぞ。疲れていただけか?」

そう言って直ぐに寝てしまった妻に話しかける。まあいい。彼女に関しては分からない事が多い。しばらくルークに監視させておこうか。


明日も早くから仕事だ。本来なら新婚で一週間は休暇が貰えるが…どうせ城にいても暇だしな。


ちなみに我が家は公爵家だが、多く妃や宰相などを輩出しているためそこらの小国の王家よりも資産があり、その為スミス公爵家の本家はリュマベル城と言う城で王宮並みの大きさがある。


それにしても、何かあった時に意志疎通が出来なくても大変か…夕食だけは一緒に取るようにするか?

今日は俺も疲れたからもう寝よう。式もだが、彼女の性格が予想外で少し驚いた。猫かぶっているだけの可能性も十分にあるがな…
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