メガロポリス未来警察戦機◆特攻装警グラウザー [GROUZER The Future Android Police SAGA]

美風慶伍

文字の大きさ
235 / 462
第2章エクスプレス サイドB①魔窟の洋上楼閣都市/潜入編

Part3 潜入調査海上ルート/足取りは語る

しおりを挟む
 最初に切り出したのは荒真田だった。
 
「まず、確認しておくが――」

 荒真田はアトラスとエリオットに向けて視線を向ける。

「今回の中央防波堤エリアへの潜入だが、その目的は現在逃走中のテロアンドロイド・個体名『ベルトコーネ』の足跡調査だ。俺達の面相とルックスでは潜入調査は難しいが、あの物騒な街が捜査対象では俺たち以外の一般捜査員ではヘタをすると帰ってこれないからな」

 そうこぼしながら荒真田は着込んでいたレザージャケットの内側から2枚の地図を取り出した。テーブルの上で広げられたソレは、一つは、本来は中央防波堤内域と呼ばれるが、通称では〝東京アバディーン〟の呼び名の方が広く知られているエリアであった。
 
「これは2月頭の合同会議以降の捜査で得られた、ベルトコーネの動向情報に基づく現地調査だ。昨年の逃走以後、ベルトコーネの表立った動向は長らく途絶えていた。だが、地道な調査により幾つかの情報が得られるに至った」

 荒真田は五指を畳んで右手を突き出すと、まずは人差し指を立てた。
 
「まず一つ目。俺達の組織犯罪対策の一斉捜査によって、まず日本国内由来の暴力団系の組織においてベルトコーネを擁護し、サポートしている連中はほとんど居ないと言うことがわかった。そもそも、昨年の南本牧での上陸作戦をディンキーが独断行動で潰した一件は、背景に特殊支援組織ガサクの支援があったとはいえ、首都圏最大派のステルスヤクザである〝緋色会〟のメンツをことごとく潰してしまった」

 荒真田の言葉にアトラスが頷く。
 
「緋色会を信用せず、独断でガサクの助力を取り付けていたからな。二重契約は日本の裏社会では最大の御法度だ。生身の犯罪者が同じ事をやったら、緋色会から鉄砲玉が仕向けられて東京湾に沈められてるところだ」

 これには荒真田もエリオットも頷いている。荒真田は更に言葉を続けた。
 
「その通りだ。これはディンキー自身がすでに死亡している事が判明した以後でも、状況は全く変わっていない。特に緋色会の影響下にある下部組織ではベルトコーネの動向情報を『ベルトコーネと関わらない』ために集めているくらいだ。知らない間に関わったなんてことになれば、下部組織の幹部であっても詰め腹切らされるからな。恐ろしく徹底しているよ。だがその御蔭でベルトコーネのその後の動向がある程度見えてきたのも事実なんだ。そこで2つ目の情報だが、やつの姿が〝陸上〟からすっぱり消えた理由が明確になった」

 そして、荒真田は中指も立てて二つ目の情報を語り始めた。
 
「やつが警察職員3名を殺害して逃亡したあとだが――当時、緋色会の下部組織となる企業舎弟会社が活発にベルトコーネ逃走について調査しているとの情報もあった。だが、これはベルトコーネを懐柔し仲間に取り込むためではなく、さっきも話したがベルトコーネに間違って近づかないために行った事だ。そのためヤツは逃亡現場から自力で逃走に成功し姿を消した。その後の足跡は容易には判明しなかったが、その後の調査で東京都北区を流れる〝石神井川の堀〟を利用して逃走、その後、隅田川まで出ると水中へと身を潜めて逃走に成功した可能性が示唆されている。事実、幾つかの河川監視カメラにヤツと思しき影が写っている。画像が不鮮明なため確定した証拠には採用されていないが、推測としてはほぼ確定だろうと言われている」

 エリオットがため息混じりにつぶやき、アトラスがそれに続く。
 
「陸上での逃走ではなかったという事ですか」
「そう言うことだ。緋色会の一次傘下団体の関連法人が動いていると言う情報に踊らされてミスディレクションしてしまったんだ。考えてみればヤツは俺達と同じマシーンだ。陸上も水中も変わりない。川の流れくらい器用に逃げ切ってみせるさ」
「そう言えばベルトコーネは南本牧では埠頭の路盤を砕いて水中から逃亡していましたね」
「あぁ、俺達はあれを目の当たりにしていたから、もしやつの逃走現場に居合わせたら、その可能性を示唆して河川関係を調査対象にしていただろう。だが、当時の担当者たちはそこまで頭が回らなかった。痛恨のミスだ」

 アトラスは当時を後悔するかのように頭を掻いている。荒真田はなおも言葉を続ける。
 
「当時は曇天だったし、河川上流領域が大雨だったこともあり河川の水量は上昇していた。逃走ルートには最適だっただろうしな。だが、やっこさんが水中からの逃亡を行ったということは河川流域はもとより、そのまま東京湾全域に逃走可能性対象が広がった事を意味している」
「それだってえのに、当時の捜査員たちは必死になって陸上をくまなく探していたんだ。やつはまんまとノーマークで逃げおおせたというわけだ」

 アトラスが言葉を吐けば、エリオットが更に問いかけてきた。

「どう逃げるのも有りと言う事ですか」
「まぁ、そう言う事になるな」
「やっかいですね」
「全くだ」

 初動捜査のミスがその後の捜査全体を困難なものにする――、警察の事件捜査においては決して珍しい話ではない。ため息をつくアトラスとエリオットに荒真田は指摘した。
 
「とは言えそこで話は終わらない。その後の目撃情報として海上保安庁の巡視船と、東京湾内を航行するタグボート業者から複数寄せられたんだ。時折水中から頭を出す不審な〝影〟が目撃されるってな。それがこの周囲だ」

 そう告げた荒真田は自分がテーブル上に広げた地図のとあるエリアを指差す。中央防波堤内域、東京アバディーンと呼ばれる〝あの街〟である。
 
「やつが岸壁から東京アバディーン、まさに海中から〝上陸〟したって言うわけさ。俺達の今夜の主任務は、やつがこの島にいる可能性が本物なのか確かめたことにあるってことさ」

 荒真田が語る言葉にアトラスは頷きつつエリオットにも語る。
 
「そう言うことだ。エリオット、ここまでは理解できたな?」

 兄からの問に、エリオットは無言で頷いてみせた。さらに言葉を続けたのはアトラスである。

「よし、次にうつるぞ」

 今夜の主任務について確証が得られたら、次に語るのはこれから向かう場所についての情報確認と共有である。これ無くして適切なチームワークを発揮するとこはできないのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

転職したら陰陽師になりました。〜チートな私は最強の式神を手に入れる!〜

万実
キャラ文芸
う、嘘でしょ。 こんな生き物が、こんな街の真ん中に居ていいの?! 私の目の前に現れたのは二本の角を持つ鬼だった。 バイトを首になった私、雪村深月は新たに見つけた職場『赤星探偵事務所』で面接の約束を取り付ける。 その帰り道に、とんでもない事件に巻き込まれた。 鬼が現れ戦う羽目に。 事務所の職員の拓斗に助けられ、鬼を倒したものの、この人なんであんな怖いのと普通に戦ってんの? この事務所、表向きは『赤星探偵事務所』で、その実態は『赤星陰陽師事務所』だったことが判明し、私は慄いた。 鬼と戦うなんて絶対にイヤ!怖くて死んじゃいます! 一度は辞めようと思ったその仕事だけど、超絶イケメンの所長が現れ、ミーハーな私は彼につられて働くことに。 はじめは石を投げることしかできなかった私だけど、式神を手に入れ、徐々に陰陽師としての才能が開花していく。

ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。 ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。 学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。 当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。 同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。 ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。 そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。 まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。  その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。 こうしてジュリーとの同居が決まった。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

処理中です...