悪役令嬢vs腹黒王子〜時々性悪ヒロインと毒舌執事〜

そら。

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3.夜の出会い

8.悪役令嬢と魔法薬オタク

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次の日、私はエレメリア学園の旧校舎にある薄暗い魔法学薬研究室に訪れた。

ほとんど人が訪れないこの場所には、私の数少ない友人がいる。

「相変わらず不気味な場所ですよねぇ、ここは。リノベーションすればいいのに。せめて庭ぐらい剪定させた方がいいですよ」

鬱蒼と生い茂る庭を眺めながらジルはため息をつく。

「それ、レインの前では禁句よ。ここはただの庭じゃなくて全て魔法薬に使う植物なんだから」

研究室のドアをノックすると「はぁーい」とレインの声が聞こえた。
すぐにドアが開き、藍色のボサボサ髪に汚れた白衣を着たレインが出迎えてくれた。

「久しぶりね、レイン。…もう少し身なりを整えたら?」

「久しぶり、キーナ。俺は貴族じゃないから身なりなんてどうでもいいんだ。それに、庭の剪定も絶対しないよ」

そう言ってレインはジルをジトっと見た。

「わあー…聞こえてましたか。失礼しました」

ジルは苦笑いをしながら謝り「じゃあ俺はお茶の用意をしますね!」と言ってその場から逃げた。

レインは市民出身で街の片隅にある魔法薬を営むフォーター家の一人息子だ。
魔法薬に関する長けた知識を持っている彼は、特待生枠の『学生研究員』としてこの学園に通っている。

必須科目以外の時間をすべてこの研究室で魔法薬の研究に費やし、日々実験を繰り返している魔法薬オタクだ。

あまり人と関わる事を好まないレインは、貴族社会には染まらず、誰に対してもフラットな態度で接するため、彼に対して眉を顰める生徒や教員がいる。私の事も『キーナ・ハンドリー公爵令嬢』ではなく、ただの『キーナ・ハンドリー』として接してくれる。
私はレインのそういう性格が好きなのと、魔法薬に興味がある共通点で仲良くなった。

私はベリー王国の刺客の話やアレン様と鉢合わせた話は伏せて、夜の街に出掛けるために異性転換薬を服用した事を話した。

「え、異性転換薬試したのか?あれはまだ試作品だっただろ。体は大丈夫だったのか?」

「ええ。でも効果は3時間じゃなくて2時間だったわ。改良が必要よね」

「まあ、体を変えるっていうのはリスクがあるからな。あまり実用的にするべきじゃないと思う。で、変な事には使ってないよな?」

さすが、レイン。
ぼーっとしてる割には意外と鋭いのよね。

「もちろんよ。ちょっと街に出掛けただけ。それにしても男の人って羨ましいわ。あんなに身軽な格好で体を自由に動かせるんだもの。私も男に生まれたかったわ」

「あはは、そんなこと言ったらアレンが泣くよ。…最近仲良くしてる?2人の悪い噂ばかり耳にする」

あー…、メアリーとの噂話ね。まさかレインにまで言われるとわね。

「…あら、レインも他人の噂話に興味があったのね。意外だわ」

「興味はないよ。でもアレンとキーナは大事な友達だ。俺にとって他人じゃない」

レインは困ったように笑ってティーカップに口を付けた。

噂話って意味よ。私にとってもレインは大事な友人よ。…冷たい言い方をしてしまってごめんなさい」

「キーナは意外と素直だよね。アレンともたまには素直に話してみたら?婚約者っていう肩書に捉われずにさ」

うーん、やっぱりレインは鋭い。
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