悪役令嬢vs腹黒王子〜時々性悪ヒロインと毒舌執事〜

そら。

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2.婚約破棄まであと5ヶ月

6.悪役令嬢は怒られる

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アレンは衛兵と話をしてくるから少し待っていて欲しい、と言うので私はその場で街の様子を眺めながら待っていた。
しかしアレンは私の側に衛兵を3人も配置させていった。ガタイのいい衛兵3人に囲まれていると流石に気まずい。

私がソワソワしながら待っていると話を済ませたアレンがやって来た。

「お疲れ様でした。あっという間に犯人を捕まえるなんてさすがアレン様ですわね。」

私は笑顔で迎えたが、アレンは険しい顔をして私を見た。

え、なんか怒っている?

「…いつもそうなのか?」

「え?」

「さっきの男に火魔法を使っただろ。あの男はキーナが魔法を使った事に気付いて暴言を吐いただろ?危ないとは思わないのか?」

アレンは眉間に皺を寄せ、低い声で淡々と質問をしてくる。

うわー、やっぱり怒ってる。

きっと私が勝手な行動をしたせいね。確かに人の多い場所で魔法を使うのは危険な行為だが、あの火魔法は火傷も飛び火もしない魔法をかけていた。

「ご心配をおかけしてしまい申し訳ありません。しかしあの火はケガなどしない魔法を使いました。あの男の足止めになればいいと思いましたが、やはり街中で火魔法を使うべきではありませんでしたね。」

私が謝罪の意味で頭を下げると、「そう言う事じゃない。」と冷たく言われ、彼はため息をついた。

あ…、どうしよう。
さらに嫌われてしまったかも。
アレンは私を軽蔑した目で見ているかもしれない。
アレンの顔を見るのが怖くて頭を上げられなかった。

「キーナ、顔を上げてくれ。」

アレンはそっと私の肩に触れ、顔を上げるように促した。

「危ないからやめてくれって話だ。下手にああいう連中に手を出すとキーナの身にも危険が及ぶだろ。それに俺が側にいるんだから頼ればいいんだよ。」

意外な言葉に驚いた私はアレンを見上げた。彼は険しい顔をしたままだったが、どこか心配そうな表情にも見えた。彼の優しさに胸が痛くなる。

「あ…ありがとうございます。」

「はぁー。お前は意外と無鉄砲だよな。普段からそうなのか?」

「あ、いえ、普段はジ…従者を連れていますので、彼に任せております。」

今日はアレンとのデートだからジルは側にいないが、普段はボディーガード変わりにジルを連れている。

「…ああ、あのいつも一緒にいる従者か。彼は随分細身に見えるが大丈夫なのか?」

アレン様はジルを認識していたのね。
私と関わっている人間には興味がないと思っていたから意外だわ。

「ええ、結構強いんですよ。頼れる従者の1人です。」

「…信頼してるんだな。」

「そうですね…、彼は正直に話してくれるので信頼はしています。」

でも、良く言えばだ。
実際、ジルは強いし仕事も早い。自分の思った事も正直に話してくれるが毒舌だし嫌味も平気で言ってくる。私たちは互いを信頼しているが、決して仲は良くない。

というかジルの話なんて今はどうでもいい。
それよりアレンが私に興味を持ってくれているようで嬉しくなった。

そうよ、今日は楽しまなくちゃ!

「アレン様っ、それより出店を見に行きましょう!」

「…まあ、それもそうだな。」

そうして私たちは再び大通りに向かった。
さっきは一歩下がってアレンの後を歩いていたが、今度はアレンに隣を歩くようにエスコートされ、久しぶりに肩を並べて歩いた。
離れてしまっていた距離が少し近づいたようで、私はもっと嬉しくなった。
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