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1.婚約破棄まであと6ヶ月
9.悪役令嬢と生徒会室
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私は折れそうになった心を立て直すため深呼吸をした。
アレンの冷たい態度は今に始まった事ではない。こんな事をいちいち気にする必要なんてないわ。
いつも通り公爵令嬢らしく、婚約者らしく振る舞えばいい。
アレンとは子供の頃はそれなりに話をしたりゲームをして遊んだ事もあった。
しかし大人になるに連れ、アレンは私に対してあまり笑わなくなったし態度もよそよそしくなっていった。
世間では『容姿端麗で性格も穏やかな王子様』なんて言われてるけど、彼が心から笑っている所を見た事がない。
いつかアレンが心から笑う顔を見てみたいと思っていたけど、それも叶いそうにないわね。
彼に婚約破棄されたら私は何をしようかしら。
今後の事も考えていかないと。
とにかく今はアレンの要件を聞かなくちゃ。
私は頭を切り替えて生徒会室へ入った。
「失礼します。相変わらず綺麗に整理された部屋ですね。それにずいぶん書籍も増えましたね。」
生徒会室は埃一つなく、並ぶ本も書類も全て綺麗に並べられている。
私は本棚を眺めながら感心した。
「ああ、本はすべてフランの私物だ。気になるものがあれば借りるといい。」
副会長のフラン・コーエンはコーエン公爵家の長男でアレンとも仲が良く、私も何度か会った事がある。
冷静沈着で頭の切れるフランは、いずれアレンが王となった時、宰相として支えていくのだろうと言われている。
「フラン様の本なんですね。保存状態が素晴らしいわ。」
あ、私の読みたかった推理小説だわ。
すごく人気でどこの本屋でも売り切れてしまっていたのよね。
私はその本を手に取りパラパラとめくった。
ああ、読みたい。
でもそこまで親しくないフランの本を気軽には借りれない。
私が本を元の位置に戻すと、アレンが紅茶の用意をしてくれた。
「あ、私がやりますわ。」
「大丈夫だ。キーナはそこに座って待っていてくれ。」
アレンは王子にも関わらず自らもてなしてくれる。
アレンのそういう気さくな性格が私は好きだ。
「ありがとうございます。ふふ、私、アレン様が淹れてくれる紅茶が世界で1番好きなんですよ。」
これはお世辞じゃない。本心でそう思う。
「…そうか。」
お礼を言って席に着くとティーカップが3つ用意されていた。
「私以外に誰かいらっしゃるんですか?」
私がアレンを見上げると、彼は少し気まずそうに眉を寄せた。
「ああ。本来なら事前に話すべきだったが、急に決まってしまってな。…メアリー・ブライトニーという女子生徒を知っているか?」
早速本題かしら。
嫌だわ。その先の言葉を聞きたくない。
でも私は笑顔で答える。
「ええ、今年転入してきた特待生ですよね。光魔法の使い手だと聞いております。」
「やっぱり知っていたか。実は彼女を…」
コンコンコンー…ガチャ。
「こんにちは!」
生徒会室に入ってきたのはメアリーだった。
アレンの冷たい態度は今に始まった事ではない。こんな事をいちいち気にする必要なんてないわ。
いつも通り公爵令嬢らしく、婚約者らしく振る舞えばいい。
アレンとは子供の頃はそれなりに話をしたりゲームをして遊んだ事もあった。
しかし大人になるに連れ、アレンは私に対してあまり笑わなくなったし態度もよそよそしくなっていった。
世間では『容姿端麗で性格も穏やかな王子様』なんて言われてるけど、彼が心から笑っている所を見た事がない。
いつかアレンが心から笑う顔を見てみたいと思っていたけど、それも叶いそうにないわね。
彼に婚約破棄されたら私は何をしようかしら。
今後の事も考えていかないと。
とにかく今はアレンの要件を聞かなくちゃ。
私は頭を切り替えて生徒会室へ入った。
「失礼します。相変わらず綺麗に整理された部屋ですね。それにずいぶん書籍も増えましたね。」
生徒会室は埃一つなく、並ぶ本も書類も全て綺麗に並べられている。
私は本棚を眺めながら感心した。
「ああ、本はすべてフランの私物だ。気になるものがあれば借りるといい。」
副会長のフラン・コーエンはコーエン公爵家の長男でアレンとも仲が良く、私も何度か会った事がある。
冷静沈着で頭の切れるフランは、いずれアレンが王となった時、宰相として支えていくのだろうと言われている。
「フラン様の本なんですね。保存状態が素晴らしいわ。」
あ、私の読みたかった推理小説だわ。
すごく人気でどこの本屋でも売り切れてしまっていたのよね。
私はその本を手に取りパラパラとめくった。
ああ、読みたい。
でもそこまで親しくないフランの本を気軽には借りれない。
私が本を元の位置に戻すと、アレンが紅茶の用意をしてくれた。
「あ、私がやりますわ。」
「大丈夫だ。キーナはそこに座って待っていてくれ。」
アレンは王子にも関わらず自らもてなしてくれる。
アレンのそういう気さくな性格が私は好きだ。
「ありがとうございます。ふふ、私、アレン様が淹れてくれる紅茶が世界で1番好きなんですよ。」
これはお世辞じゃない。本心でそう思う。
「…そうか。」
お礼を言って席に着くとティーカップが3つ用意されていた。
「私以外に誰かいらっしゃるんですか?」
私がアレンを見上げると、彼は少し気まずそうに眉を寄せた。
「ああ。本来なら事前に話すべきだったが、急に決まってしまってな。…メアリー・ブライトニーという女子生徒を知っているか?」
早速本題かしら。
嫌だわ。その先の言葉を聞きたくない。
でも私は笑顔で答える。
「ええ、今年転入してきた特待生ですよね。光魔法の使い手だと聞いております。」
「やっぱり知っていたか。実は彼女を…」
コンコンコンー…ガチャ。
「こんにちは!」
生徒会室に入ってきたのはメアリーだった。
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