竜人嫌いの一匹狼魔族が拾った竜人を育てたらすごく愛された。

そら。

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竜人の子、旅立つ

23.遠すぎる国

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ユーロンと別れた後、ルーフは1人、中心街のシンボルでもある古い時計台の屋根の上に座っていた。
この場所は、ミール王国の城下町が一望でき、遠くには海も見える。
真夜中の今の時間では、さすがに海は見えないが、街灯や窓から溢れるオレンジの光が石畳の町並みを照らし出し、ノスタルジックな気分にさせる。
ドグライアス城から見渡す景色にもよく似ているせいか、ルーフのお気に入りの場所だった。

シロと暮らす前は、この場所には度々訪れ、景色を眺めながらのんびり過ごすのが好きだった。

そういやシロと出会ってから全然来ていなかったな、とルーフは気付いた。
なぜだろうか、と考えたが答えはすぐに出た。シロと過ごす時間が楽しくて、この場所で1人ゆっくり過ごそうなんて思わなかったのだ。

シロと暮らした日々は、思った以上に面白かったし楽しかった。
魔王が目の前から消えた日、一生抱えていくだろうと思っていた孤独感は、いつの間にか姿を消していた。

シロと過ごした5年間は、人生で一番笑って過ごした時間だったかもしれない。
シロが作る飯は、どこの飲食店より美味かった。シロの下手くそな魔法に笑って、上達すれば一緒に喜んだ。ルーフが酒場で飲み潰れた時は、怒った顔をしながらも必ず迎えにきてくれた。
毎日のように「好きだ」と言われ、抱き締められる日々は、うっとおしいと思いながらも、心はじんわりと満たされていった。

そんな日々がずっと続くと思っていたし、続いて欲しかったー…。

「くそ…、最悪だな。あーあ、離れたくないのは俺の方かよ。だせぇなぁ」

ルーフはため息をついて、そのまま寝転んだ。
空には無数の星が輝き、何となく手を伸ばしてみた。

アスディアは遥か彼方、上空に浮かぶ国。

「アスディアなんて遠すぎるだろ…」

ルーフは伸ばした手を握りしめた。

しばらく夜空を見上げていると、海から朝日が登り始めた。
星が1つ1つと姿を消していく。

ルーフは深呼吸をして心を整えた。

ー…シロの元に帰ろう。あいつの話をちゃんと聞いてやらなきゃな。

ルーフは覚悟を決めて、起き上がった。



誰もいない早朝の街を自宅へ向かって歩いて行く。
家の近くまで来ると、東の空を見上げるシロが立っていた。

ー…まだまだ子供ガキだと思っていたが、随分と背が伸びて、体も逞しくなったもんだな。
たった数日前の爆発事故の一件では、シロの魔力と心を急成長させたのだろう。
シロは、これからもっと成長することができる。
シロもそれを望んでいる。
あいつの可能性は、これからどんどん広がっていくんだ。

だったらルーフが出来る事は1つしかない。

シロを応援してやることだ。
それがどんなに寂しくてもー…。

ルーフは一呼吸おいて、シロに声をかけた。
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