竜人嫌いの一匹狼魔族が拾った竜人を育てたらすごく愛された。

そら。

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竜人の子、旅立つ

17.帰宅

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翌日、早々に退院の手続きを終えたルーフは、竜になったシロの背中に乗ってミール王国の自宅へ向かっていた。
シロの背中には、山のようなプレゼントの入った大きな箱も括られている。

やっと病院から解放されたルーフは、上機嫌でシロの背中に仰向けで寝そべっている。

「おい、シロ。まずは退院祝いに飲みに行こうぜ」

「駄目だよ。今日までお酒は控えろってレイズ先生に言われてただろ。それに爆発事故の後、家の状態だってまだ確認してないでしょ。家に帰ったらまずは片付け。俺が体に良いご飯作るから、今日は大人しく家で休んでてよ」

シロがあまりにもそっけなく答えるので、ルーフはシロの背中をポコンと叩いた。

「なんだよ、シロぉ。なんか機嫌悪くねぇか?」

「別に。ルーフが浮かれすぎなんじゃない?看護師さん達から退院祝いを沢山貰ったからってさ」

シロは見たくもないプレゼントの山に視線を移した。
これはすべてルーフが退院祝いに看護師から貰ったプレゼントだった。

「はあ?…お前この中身知ってんのか?ほら、見ろよ。音が鳴るぬいぐるみに歯磨きガム、ボールが3個に…、げっ、櫛なんか5個以上あるぜ。クソ…、あいつら、本当に俺の事なんだと思ってんだよ。シロ、こんなのが羨ましいなら全部やるよ」

ルーフはため息を吐きながら、箱の中をガサガサと漁った。プレゼントは、ほとんど犬用品だ。

「あのさぁ、ルーフ。俺はプレゼントが羨ましいわけじゃないんだよ。…ルーフがあまりにも人気者だったから嫉妬してるんだよ」

シロのストレートな言葉に、ルーフは吹き出した。

「ははっ!なんだそりゃ。まあ、俺がモテるのはしょうがねぇよ。だけど安心しろよ。もうアスディアなんて二度と行かねぇから」

「…そんな事、決めつけないでよ」

シロの小さな呟きは風に飛ばされた。ルーフが「なんか言ったか?」と聞き返したが、シロは首を振った。

「なんでもない。あ、街が見えてきた。降下するからしっかり捕まってて」



2人が街に降りると、爆発事故でめちゃくちゃになっていた街並みは、すっかり元通りになっていた。
ルーフとシロがアスディアにいる間に、竜人騎士団の魔法によって復旧作業が行われていたらしい。
街には、すでにいつもの日常が流れていて、爆発事故さえなかったように思えるほどだった。

ルーフの家も壊れた形跡はなく、元のまま残っていた。

「はあー、やっぱ家が1番だなぁ」

ルーフがソファに寝転がり体を伸ばした。
その姿を見てシロに笑みが溢れる。

「ふふ、そうだね。ルーフ、ご飯食べる?リクエストがあれば何か作るけど」

「んー、じゃあ肉!味の濃い肉をガッツリ食いたい!」

「肉料理かぁ。病み上がりの体に良さそうな肉料理ってあるかなぁ」

シロはレシピ本を取り出し、パラパラとページをめくった。

「俺は別に病んでねぇよ。普通のメシで大丈夫だ。あ、そういえばモンド王国に学校見学も行かなきゃだろ。俺は明日にでも行けるぞ」

ソファから聞こえるルーフの声に、シロの手が止まる。

(そうだ…、進学先の事ちゃんと話さなきゃ)

スノウに進学先の相談をした後、ルーフに話そうと思っていたが、言い出すタイミングが掴めず話せないままになっていた。

ー…どうしよう。
話すタイミングとしては今だろう。
…だけどせっかくアスディアから帰って来れたのに、俺が騎士学校へ行きたいなんて言ったら、ルーフは嫌な気持ちになるんじゃないか…。
そうだよ。元々ルーフは、俺を拾った時、孤児院に入れようとしていた。竜人の里親に預けるっていう選択肢もあった。なのに俺がわがままを言ってルーフの側に居させてもらったんだ。
それなのに今度は「これからも一緒に暮らそう」と言ってくれているルーフの気持ちを無視して、竜人騎士学校に進学しようとしてるんだ…。失望されるかもしれない。
いや、でも執着しないルーフの事だから「へえ、じゃあ俺は自由に暮らせるな」とか言って笑われるだけかも。
今まで俺がルーフの側に無理矢理居座り続けていたんだ。俺がルーフの側を離れたら、ルーフは、俺の事なんかすぐに忘れて、どこか遠くへ行ってしまうかもしれない…。それが1番怖いんだ…。


「…ロ、…シロ!」

「…え」

ルーフに呼ばれていた事に気付き、シロは顔を上げた。いつの間にかルーフはシロの目の前にいて、不思議な顔をしてシロを覗き込んでいた。

「え、じゃねぇよ。どうしたんだ、ボーッとして。あ、もしかして疲れてんのか?だったらメシなんか作んなくていいぞ。どこが食いに行くか」

「あはは、ごめん。大丈夫だよ。久しぶりの料理で何作ろうか迷ってただけ」

シロが笑ってルーフを見ると、ルーフは真剣な顔をしてシロを見つめていた。

「…お前さ、何か俺に言いたい事があるんじゃねぇの?病室でも何か言いかけてただろ」

「あ、えっと…それは…」

「シロ。今、話せよ」

ルーフの真剣な声は、躊躇うシロの気持ちを逃がさない。

「ルーフ…、俺さ…」

その時、ピンポーンと玄関からチャイムの音が響いた。

「あ、誰か来た…」

シロが玄関の方へ目線を向けると、ルーフに腕を掴まれた。

「出なくていい。それよりお前の話を聞きたい」

「…ルーフ、俺…」

ドンドンドンー!!
玄関のドアを強く叩き、ドアノブをガチャガチャと回す音がした。

「んだよっ、うるせぇぞ!!取り込み中だ!!」

ルーフが玄関に向かって怒鳴ると、ドアをバキッと壊す音が聞こえた。
黒い服とジャラジャラとアクセサリーを身につけた人物が部屋に入ってくる。

「よおー、やっぱり居るじゃねぇか。久しぶりだなぁ」

やって来たのは酒瓶を持ったジェスだった。
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