竜人嫌いの一匹狼魔族が拾った竜人を育てたらすごく愛された。

そら。

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竜人の子、旅立つ

2.スノウと合流

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上空から街を見下ろすと、被害の規模の大きさにシロは胸が苦しくなった。

ルカとアリスは大丈夫なのだろうか…。
2人がどこで花火を見るのか聞いておけば良かった。

シロはルカたちの姿も探しながら騎士団を探した。するとシロの隣に1匹の黒竜が飛んできた。

「おいっ、お前どこの所属だ!?」

黒い瞳の黒竜に話しかけられ、シロは目を見開く。

「ユーロンさん!?」

黒竜は少し驚いた顔をして、シロの顔をじっと見つめた。

「…いや、俺はユーロン・シェンの息子のシャオルだ。…その赤い瞳、お前がシロか?」

「は、はいっ!そうです!俺に出来る事があればと思ってユーロンさんたちを探してるんです!」

シャオルはニヤッと笑って首を傾げた。

「丁度よかった。俺も父からお前を連れてくるように言われていたんだ。ついて来い」

「はいっ」

シロはスピードを上げるシャオルの後ろに付いて行った。



シロたちが駐屯所に着くと、すぐにスノウが駆け寄って来た。

「シロ君!!来てくれたんだね、助かるよ!」

スノウの顔や服は煤と泥と血で汚れている。相変わらず穏やかな顔をしているが、かなり疲労が見える。魔力が不足してるのではないだろうか。

シロが大丈夫か、と聞こうとした時、シャオルがスノウの首を引き寄せキスをした。

「っ!!?!」

シロは思わず両手で自分の目を隠した。しかし指の隙間から2人の様子をガッツリ見てしまう。

「んーっ!んーっ!!」

突然の行為に驚いたスノウは、ジタバタとシャオルの肩を叩くが、シャオルはさらに深く口付けをする。
するとスノウの不足気味になってた魔力が戻り、顔色もあっという間に良くなった。

シャオルはゆっくり唇を離し、スノウの濡れた唇を親指でそっと拭き取り、満足げに微笑んだ。

「魔力不足になってた。あんまり無理しないでくださいね。じゃあ俺は救助に戻ります」

シャオルは再び竜の姿に戻り、真っ赤になって硬直しているスノウとまだ目を隠しているシロを置いて飛び立っていった。

「…シャオルさんって、格好いいですね」

シロが呟くと、スノウは「へっ!?そうかな!?僕の事、からかっただけだよー。もぅー、魔力なんて口移しじゃなくても分けられるのに…。何考えてんだろ…はぁ…」とぶつぶつ言いながら頭を掻いた。

「って、そんな事よりシロ君!早速で悪いけど、僕たち医療班と一緒に重症者の治療に当たってほしい。ユーロンさんはパニックになった住人たちの誘導や救助活動をしてるんだけど、駐屯所ここに重症者たちが送られてくる。頼めるかな?」

「もちろんです!」

スノウから説明を受けている最中にも、重症者たちがどんどんと転送されてくる。
火傷や怪我で苦しむ患者に爪が食い込むほど強く腕を掴まれ、助けてくれとせがまれる。

「大丈夫ですよ、すぐ楽になりますから…」

シロは今までレニーやスノウに教わった治癒魔法を必死に使い、次々と治療を施す。

シロの手際の良さと治癒魔法の正確さに竜人騎士たちも息を飲み、「あの少年は何者なんだ」と驚きの声を上げる。

そんな周りの声も聞こえないくらいシロは集中して治療に当たった。

重症者の中にルカとアリスがいない事を祈りながら。
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