50 / 112
竜人嫌いの魔族、竜人の子供を育てる
24.魔族の街
しおりを挟む
その後、シロは何回も家を建ててみるも闇魔力の集中力が切れて、結局崩れてしまっていた。
いつの間にか空は暗くなり、白黒だった街並みにはオレンジの光が灯り始めた。
「ルーフさぁん…、やっぱり僕には無理かもしれません」
シロは崩れた瓦礫の前にしゃがみ込んで落ち込んでいた。
「アホか、諦めるのが早ぇよ。初めてにしちゃ頑張ったと思うぞ。まあ、でも、さすがにこれじゃ住めないな。とりあえず今日は宿に泊まるか。今日の練習終了!飯食いに行こうぜ」
2人が街に着いた頃には、空は真っ暗になっていたが、ドグライアスの街には多くの魔族たちが出てきていて賑やかになっていた。
「昼間の時よりすごく賑やかですね」
シロが多くの魔族たちに圧倒されていると「魔族は夜型の奴が多いからなー。お、今日はここで食おう」とルーフが一軒の酒場を指差した。
「このお店って…」
シロが店の看板を見上げると『賭博屋』と書かれている。ボロボロの建物の中からは歓声や怒号が聞こえてくる。
「美味い飯も食えるし、博打も出来る。最高だろ?お前にギャンブルの嗜み方を教えてやるよ」
ルーフはニヤッと笑って店の扉を開けた。
「おいっ、うそだろっ!!イカサマだっ!!!」
ルーレットをしていたルーフは、カワウソ魔族のディーラーに食ってかかった。
「ああ!?そんな事するかっ。おめぇが弱ぇだけだろ!!こっちには監視カメラだってあるんだぜ。確認するか?」
カワウソ魔族もルーフの胸ぐらを掴んだ。
「その監視カメラだって信用できるか!!なぁ、シロ!今こいつイカサマしたよな!?」
ルーフは、隣でゲームを見ていたシロに振った。
「へ!?いや…えーっと…、していた…ような、してないような…?」
シロは困りながら曖昧な相槌を打つ。
正直、カワウソ魔族の言う通り、誰もイカサマなんてしていなかった。
(多分ルーフさんが弱すぎるだけな気がする…。でもルーフさんの味方でいたいし…)
すると片手に酒を持ったジェスが来て仲裁に入った。
「どう見てもルーフが弱すぎるだけだろ」
「ジェス、てめぇ余計な事、言うな!」
「ぎゃははっ!ほら見ろ。そういうことだ、ルーフ。さっさと金払いな」
「くっそ…、分かったよ。でも、もう一回やらせろ!」
ルーフとディーラーがぎゃあぎゃあ言い合っているのを無視して、ジェスはシロに話しかけた。
「よう、シロ坊。ルーフのお守りは大変だな。こいつ、弱ぇくせにギャンブラーだから困るよな」
ジェスは酒を飲みながら笑っていたが、シロはショックを受けていた。
「ルーフさんが賭け事好きなのは知ってましたけど、まさかこんなに弱いとは思いませんでした…」
あまりギャンブルに詳しくないシロでも、この数時間で大金を溶かしたルーフの弱さを理解した。
いつの間にか空は暗くなり、白黒だった街並みにはオレンジの光が灯り始めた。
「ルーフさぁん…、やっぱり僕には無理かもしれません」
シロは崩れた瓦礫の前にしゃがみ込んで落ち込んでいた。
「アホか、諦めるのが早ぇよ。初めてにしちゃ頑張ったと思うぞ。まあ、でも、さすがにこれじゃ住めないな。とりあえず今日は宿に泊まるか。今日の練習終了!飯食いに行こうぜ」
2人が街に着いた頃には、空は真っ暗になっていたが、ドグライアスの街には多くの魔族たちが出てきていて賑やかになっていた。
「昼間の時よりすごく賑やかですね」
シロが多くの魔族たちに圧倒されていると「魔族は夜型の奴が多いからなー。お、今日はここで食おう」とルーフが一軒の酒場を指差した。
「このお店って…」
シロが店の看板を見上げると『賭博屋』と書かれている。ボロボロの建物の中からは歓声や怒号が聞こえてくる。
「美味い飯も食えるし、博打も出来る。最高だろ?お前にギャンブルの嗜み方を教えてやるよ」
ルーフはニヤッと笑って店の扉を開けた。
「おいっ、うそだろっ!!イカサマだっ!!!」
ルーレットをしていたルーフは、カワウソ魔族のディーラーに食ってかかった。
「ああ!?そんな事するかっ。おめぇが弱ぇだけだろ!!こっちには監視カメラだってあるんだぜ。確認するか?」
カワウソ魔族もルーフの胸ぐらを掴んだ。
「その監視カメラだって信用できるか!!なぁ、シロ!今こいつイカサマしたよな!?」
ルーフは、隣でゲームを見ていたシロに振った。
「へ!?いや…えーっと…、していた…ような、してないような…?」
シロは困りながら曖昧な相槌を打つ。
正直、カワウソ魔族の言う通り、誰もイカサマなんてしていなかった。
(多分ルーフさんが弱すぎるだけな気がする…。でもルーフさんの味方でいたいし…)
すると片手に酒を持ったジェスが来て仲裁に入った。
「どう見てもルーフが弱すぎるだけだろ」
「ジェス、てめぇ余計な事、言うな!」
「ぎゃははっ!ほら見ろ。そういうことだ、ルーフ。さっさと金払いな」
「くっそ…、分かったよ。でも、もう一回やらせろ!」
ルーフとディーラーがぎゃあぎゃあ言い合っているのを無視して、ジェスはシロに話しかけた。
「よう、シロ坊。ルーフのお守りは大変だな。こいつ、弱ぇくせにギャンブラーだから困るよな」
ジェスは酒を飲みながら笑っていたが、シロはショックを受けていた。
「ルーフさんが賭け事好きなのは知ってましたけど、まさかこんなに弱いとは思いませんでした…」
あまりギャンブルに詳しくないシロでも、この数時間で大金を溶かしたルーフの弱さを理解した。
1
お気に入りに追加
336
あなたにおすすめの小説
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
魔族 vs 人間。
冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。
名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。
人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。
そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。
※※※※※※※※※※※※※
短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。
お付き合い頂けたら嬉しいです!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
博愛主義の成れの果て
135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。
俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。
そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

平民男子と騎士団長の行く末
きわ
BL
平民のエリオットは貴族で騎士団長でもあるジェラルドと体だけの関係を持っていた。
ある日ジェラルドの見合い話を聞き、彼のためにも離れたほうがいいと決意する。
好きだという気持ちを隠したまま。
過去の出来事から貴族などの権力者が実は嫌いなエリオットと、エリオットのことが好きすぎて表からでは分からないように手を回す隠れ執着ジェラルドのお話です。
第十一回BL大賞参加作品です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる