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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を育てる
14.魔王の継承者
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「…げ。なんでお前までいんの?」
ルーフが応接室の扉を開けるとソファに座るネイトと仁王立ちしたユーロンが待っていた。
「シロが魔力暴走したと連絡が入ってな。まあ、お前が止めたおかげで被害は少なかったそうだが…」
怒っているのか眉間に皺を寄せ凄むユーロンの雰囲気にネイトは圧倒されているようだった。
「大袈裟だな。魔力暴走をしかけただけだろ。で、俺に何の用?」
ルーフはネイトの隣に座り足を組んだ。
「何の用って、シロが魔力をコントロール出来ないなら聖騎士団は然るべき対応をしなければならないと言ったよな?ルーフにもサポートするように頼んだはずだが」
「だからわざわざ止めに来たんだろ。お前はシロの力に警戒し過ぎだ。確かにアイツはまだ魔力をコントロール出来ていないが所詮子供の魔力だ。誰だって止められるさ」
ルーフはだんだんイライラしながら強い口調で話した。しかしユーロンも一歩も引かず話を続ける。
2人の放つピリピリとした空気に挟まれたネイトはさらに萎縮しオロオロしながら話を聞いている。
「所詮子供でも闇魔力に特化した子供だ。誰でも止められない。お前だってシロの魔力を止めるのにかなり魔力を消費したんじゃないのか?」
「…は?全然余裕だったし」
ルーフは平然を装っていたが、実際かなりの魔力を消費した。
でもすぐに回復できるレベルだし、仮にシロがまたすぐに魔力暴走を起こしても止める自信はある。
「…とにかくシロの魔力をこれ以上暴走させないように気を付けろ。魔力のコントロール方法を徹底的に教えるんだ。ルーフがやらないなら聖騎士団で指導してもいいがな」
「…分かった。俺が教えるから、いちいち干渉しないでくれ」
ルーフはうんざりしながらため息をついた。
「頼んだぞ。で、ここからが本題だ」
ユーロンはそう言ってソファに腰を掛けた。
「まだあんのかよー」
「なぜシロが闇魔力に特化しているのか原因が分かった。今日はその事をお前に伝えにきたんだ」
「へぇ、生まれ持った魔力に原因なんかあるのか」
頬杖をついてルーフは興味なさそうに返事をした。
「ルーフは竜人と魔族の100年戦争を覚えているだろ?魔王の力を借りて人間の国を暴れ回っていた魔族たちを知っているか?」
「ああ、全員アスディアの監獄にぶち込まれたって聞いたけど」
ずいぶん昔の話を出すものだと思いながらも、ルーフはその頃の事は鮮明に憶えていた。
魔王の側近として城の仕事をしていたルーフは戦争に参加しなかったものの、暴れ回る魔族とはそれなりに交流があった。会うたび喧嘩ばかりしていたヤツもいれば、気性は荒くても話してみれば面白くて飲み仲間だったヤツもいる。
その魔族達が魔王様の力を借りて暴れ回るせいで、魔王様の立場が悪くなってしまったことに腹立たしく感じた時もあったが、自分も魔王様に拾われていなければそのうちの1人だっただろう。
ユーロンは話を続けた。
「ちょうど10年前の嵐の日だ。監獄にいた魔族全員が己の命と引き換えに残っていた闇魔力を一つに集め、外に放出させたんだ。
当時、聖騎士団は飛ばされた魔力の行方を必死に追ったが探し出せなかった。力を使い切った魔族達もすぐに灰になって消滅し、魔力を放出した意図も分からなかった。」
ユーロンの話はまだ途中だったが、ルーフは大体の察しがついた。
いや、監獄にいた魔族たちの最期の悪あがきの理由なんて、100年戦争を経験した魔族なら誰でも察しがつく。
そして10歳のシロが闇魔力に特化している理由も。
(ー……最悪だ…。)
「はっ。そんなの簡単だ。魔王様の力を誰かに継承させたかったんだろ。そいつらが放った魔力は魔王様の闇魔力を集めたものだ。どの種族でもいいから、その魔力を妊婦の腹にぶち込む。そうすりゃ魔王様の闇魔力を持った継承者が産まれる可能性があるからな。ははっ、まさかそれがシロの母親だったのか?」
ルーフは怒りを堪えながら、鼻で笑ってユーロンを見た。
正直、ユーロンに否定して欲しかった。
シロは魔王と関係ない。たまたま闇魔力に特化していたけだ、と。
だって魔王なんてロクな事がない。
人間と竜人の敵である魔王の存在は常に恐れられ、命を狙われる。魔族からも魔王としての力と支配力がなければ寝首をかかれる。
最悪、勇者が現れて全てを奪われる。
シロは普通の竜人だ。今まで苦労した分、自由で楽しい人生を歩むべきだ。
魔王の継承者なんてありえない。
ルーフはそう願ったが、ユーロンは「お前の言うとおり、シロは魔王の継承者だ」と静かに答えた。
ルーフが応接室の扉を開けるとソファに座るネイトと仁王立ちしたユーロンが待っていた。
「シロが魔力暴走したと連絡が入ってな。まあ、お前が止めたおかげで被害は少なかったそうだが…」
怒っているのか眉間に皺を寄せ凄むユーロンの雰囲気にネイトは圧倒されているようだった。
「大袈裟だな。魔力暴走をしかけただけだろ。で、俺に何の用?」
ルーフはネイトの隣に座り足を組んだ。
「何の用って、シロが魔力をコントロール出来ないなら聖騎士団は然るべき対応をしなければならないと言ったよな?ルーフにもサポートするように頼んだはずだが」
「だからわざわざ止めに来たんだろ。お前はシロの力に警戒し過ぎだ。確かにアイツはまだ魔力をコントロール出来ていないが所詮子供の魔力だ。誰だって止められるさ」
ルーフはだんだんイライラしながら強い口調で話した。しかしユーロンも一歩も引かず話を続ける。
2人の放つピリピリとした空気に挟まれたネイトはさらに萎縮しオロオロしながら話を聞いている。
「所詮子供でも闇魔力に特化した子供だ。誰でも止められない。お前だってシロの魔力を止めるのにかなり魔力を消費したんじゃないのか?」
「…は?全然余裕だったし」
ルーフは平然を装っていたが、実際かなりの魔力を消費した。
でもすぐに回復できるレベルだし、仮にシロがまたすぐに魔力暴走を起こしても止める自信はある。
「…とにかくシロの魔力をこれ以上暴走させないように気を付けろ。魔力のコントロール方法を徹底的に教えるんだ。ルーフがやらないなら聖騎士団で指導してもいいがな」
「…分かった。俺が教えるから、いちいち干渉しないでくれ」
ルーフはうんざりしながらため息をついた。
「頼んだぞ。で、ここからが本題だ」
ユーロンはそう言ってソファに腰を掛けた。
「まだあんのかよー」
「なぜシロが闇魔力に特化しているのか原因が分かった。今日はその事をお前に伝えにきたんだ」
「へぇ、生まれ持った魔力に原因なんかあるのか」
頬杖をついてルーフは興味なさそうに返事をした。
「ルーフは竜人と魔族の100年戦争を覚えているだろ?魔王の力を借りて人間の国を暴れ回っていた魔族たちを知っているか?」
「ああ、全員アスディアの監獄にぶち込まれたって聞いたけど」
ずいぶん昔の話を出すものだと思いながらも、ルーフはその頃の事は鮮明に憶えていた。
魔王の側近として城の仕事をしていたルーフは戦争に参加しなかったものの、暴れ回る魔族とはそれなりに交流があった。会うたび喧嘩ばかりしていたヤツもいれば、気性は荒くても話してみれば面白くて飲み仲間だったヤツもいる。
その魔族達が魔王様の力を借りて暴れ回るせいで、魔王様の立場が悪くなってしまったことに腹立たしく感じた時もあったが、自分も魔王様に拾われていなければそのうちの1人だっただろう。
ユーロンは話を続けた。
「ちょうど10年前の嵐の日だ。監獄にいた魔族全員が己の命と引き換えに残っていた闇魔力を一つに集め、外に放出させたんだ。
当時、聖騎士団は飛ばされた魔力の行方を必死に追ったが探し出せなかった。力を使い切った魔族達もすぐに灰になって消滅し、魔力を放出した意図も分からなかった。」
ユーロンの話はまだ途中だったが、ルーフは大体の察しがついた。
いや、監獄にいた魔族たちの最期の悪あがきの理由なんて、100年戦争を経験した魔族なら誰でも察しがつく。
そして10歳のシロが闇魔力に特化している理由も。
(ー……最悪だ…。)
「はっ。そんなの簡単だ。魔王様の力を誰かに継承させたかったんだろ。そいつらが放った魔力は魔王様の闇魔力を集めたものだ。どの種族でもいいから、その魔力を妊婦の腹にぶち込む。そうすりゃ魔王様の闇魔力を持った継承者が産まれる可能性があるからな。ははっ、まさかそれがシロの母親だったのか?」
ルーフは怒りを堪えながら、鼻で笑ってユーロンを見た。
正直、ユーロンに否定して欲しかった。
シロは魔王と関係ない。たまたま闇魔力に特化していたけだ、と。
だって魔王なんてロクな事がない。
人間と竜人の敵である魔王の存在は常に恐れられ、命を狙われる。魔族からも魔王としての力と支配力がなければ寝首をかかれる。
最悪、勇者が現れて全てを奪われる。
シロは普通の竜人だ。今まで苦労した分、自由で楽しい人生を歩むべきだ。
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