竜人嫌いの一匹狼魔族が拾った竜人を育てたらすごく愛された。

そら。

文字の大きさ
40 / 112
竜人嫌いの魔族、竜人の子供を育てる

14.魔王の継承者

しおりを挟む
「…げ。なんでお前までいんの?」

ルーフが応接室の扉を開けるとソファに座るネイトと仁王立ちしたユーロンが待っていた。

「シロが魔力暴走したと連絡が入ってな。まあ、お前が止めたおかげで被害は少なかったそうだが…」

怒っているのか眉間に皺を寄せ凄むユーロンの雰囲気にネイトは圧倒されているようだった。

「大袈裟だな。魔力暴走をしかけただけだろ。で、俺に何の用?」

ルーフはネイトの隣に座り足を組んだ。

「何の用って、シロが魔力をコントロール出来ないなら聖騎士団俺たちは然るべき対応をしなければならないと言ったよな?ルーフにもサポートするように頼んだはずだが」

「だからわざわざ止めに来たんだろ。お前はシロの力に警戒し過ぎだ。確かにアイツはまだ魔力をコントロール出来ていないが所詮子供の魔力だ。誰だって止められるさ」

ルーフはだんだんイライラしながら強い口調で話した。しかしユーロンも一歩も引かず話を続ける。
2人の放つピリピリとした空気に挟まれたネイトはさらに萎縮しオロオロしながら話を聞いている。

「所詮子供でも闇魔力に特化した子供だ。誰でも止められない。お前だってシロの魔力を止めるのにかなり魔力を消費したんじゃないのか?」

「…は?全然余裕だったし」

ルーフは平然を装っていたが、実際かなりの魔力を消費した。
でもすぐに回復できるレベルだし、仮にシロがまたすぐに魔力暴走を起こしても止める自信はある。

「…とにかくシロの魔力をこれ以上暴走させないように気を付けろ。魔力のコントロール方法を徹底的に教えるんだ。ルーフがやらないなら聖騎士団で指導してもいいがな」

「…分かった。俺が教えるから、いちいち干渉しないでくれ」

ルーフはうんざりしながらため息をついた。

「頼んだぞ。で、ここからが本題だ」

ユーロンはそう言ってソファに腰を掛けた。

「まだあんのかよー」

「なぜシロが闇魔力に特化しているのか原因が分かった。今日はその事をお前に伝えにきたんだ」

「へぇ、生まれ持った魔力に原因なんかあるのか」

頬杖をついてルーフは興味なさそうに返事をした。

「ルーフは竜人と魔族の100年戦争を覚えているだろ?魔王の力を借りて人間の国を暴れ回っていた魔族たちを知っているか?」

「ああ、全員アスディアの監獄にぶち込まれたって聞いたけど」

ずいぶん昔の話を出すものだと思いながらも、ルーフはその頃の事は鮮明に憶えていた。

魔王の側近として城の仕事をしていたルーフは戦争に参加しなかったものの、暴れ回る魔族とはそれなりに交流があった。会うたび喧嘩ばかりしていたヤツもいれば、気性は荒くても話してみれば面白くて飲み仲間だったヤツもいる。

その魔族達が魔王様の力を借りて暴れ回るせいで、魔王様の立場が悪くなってしまったことに腹立たしく感じた時もあったが、自分も魔王様に拾われていなければそのうちの1人だっただろう。


ユーロンは話を続けた。

「ちょうど10年前の嵐の日だ。監獄にいた魔族全員が己の命と引き換えに残っていた闇魔力を一つに集め、外に放出させたんだ。
当時、聖騎士団俺たちは飛ばされた魔力の行方を必死に追ったが探し出せなかった。力を使い切った魔族達もすぐに灰になって消滅し、魔力を放出した意図も分からなかった。」

ユーロンの話はまだ途中だったが、ルーフは大体の察しがついた。
いや、監獄にいた魔族たちの最期の悪あがきの理由なんて、100年戦争を経験した魔族なら誰でも察しがつく。
そして10歳のシロが闇魔力に特化している理由も。

(ー……最悪だ…。)

「はっ。そんなの簡単だ。魔王様の力を誰かに継承させたかったんだろ。そいつらが放った魔力は魔王様の闇魔力を集めたものだ。どの種族でもいいから、その魔力を妊婦の腹にぶち込む。そうすりゃ魔王様の闇魔力を持った継承者が産まれる可能性があるからな。ははっ、まさかそれがシロの母親だったのか?」

ルーフは怒りを堪えながら、鼻で笑ってユーロンを見た。

正直、ユーロンに否定して欲しかった。
シロは魔王と関係ない。たまたま闇魔力に特化していたけだ、と。

だって魔王なんてロクな事がない。

人間と竜人の敵である魔王の存在は常に恐れられ、命を狙われる。魔族からも魔王としての力と支配力がなければ寝首をかかれる。
最悪、勇者が現れて全てを奪われる。

シロは普通の竜人だ。今まで苦労した分、自由で楽しい人生を歩むべきだ。
魔王の継承者なんてありえない。

ルーフはそう願ったが、ユーロンは「お前の言うとおり、シロは魔王の継承者だ」と静かに答えた。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

腐男子♥異世界転生

よしの こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。 目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。 トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、Caitaさん、PIXIVさんでも掲載しています。

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

処理中です...