竜人嫌いの一匹狼魔族が拾った竜人を育てたらすごく愛された。

そら。

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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を育てる

15.責任を持て

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「はは…、そりゃ最悪な話だ。シロはとことんツイてねぇ人生だな。でも確証はあんのか?」

ルーフは片手でこめかみを押さえて、ため息をついた。

「ああ、シロの母親も検査をしたから間違いない。彼女の腹には闇魔力を受けた跡が残っていた。まあ、彼女も検査を受けるまで気付かなかったみたいだがな。シロも検査を受ければ…」

ダンッー!!

ルーフは机を叩き、立ち上がった。隣に座っていたネイトは「ひぃっ」と声を上げ体を強張らせたが、ユーロンは冷静にルーフを見上げる。

「で?魔王の継承者って分かったら監禁でもすんのか?それともまた勇者を探してこの世界から消すか?」

「最悪の場合はな」

「ー…っ!ちっ、これだから竜人は嫌いなんだよ。相変わらず世界はテメェらの支配下にあるとでも思ってんのか。そんなに魔王の存在が憎いかね。竜人なら世界の役に立てだとか魔王なら監禁だとか本当うぜぇ!シロの人生はシロのもんだろ。それをお前らが決めるなっ!」

ユーロンの胸ぐらに掴みかかろうとしたルーフの腕をユーロンは素早い動作で掴んだ。

「お前こそ人の話は最後まで聞け。と言っているだろう。
俺たちだって魔王が憎いわけでない。むしろ魔族の統制をとるために必要な存在だと思う。魔王が闇魔力をコントロールさせ、好戦的な魔族達が暴れなければ問題ないからな。それに真面目なシロが魔王になれば、もっと魔族達との隔たりもなくなるのではないかと期待してしまうくらいだ。もちろんシロが魔王になる事を望まなければ強要もしない。俺だってシロの生き方はシロ自身に決めて欲しいからな。だがな…」

ユーロンは言い淀み目を伏せた。

「シロが魔王の継承者なら本人がどんなに嫌だと言っても、いずれ魔王として生きていかなければいけない時が来るかもしれない。…それはお前ルーフが1番理解してるんじゃないか?」

「…っ」

ルーフはユーロンの腕を振り解いて背を向けた。

ユーロンの言う通りだ。

魔王は闇魔力を1番多く持つ者が選ばれる。
まさにルーフが仕えていた魔王がそうだった。彼もまた魔王になりたくないと望んでいたが、強すぎる闇魔力を持っていたせいで魔王になってしまった。

まだシロの闇魔力はそこまで強いものではない。しかし魔王の闇魔力を継承しているなら、シロの成長とともに魔力もどんどん強くなっていくだろう。

「…俺にどうしろって言うんだよ」

力無く尋ねたルーフに、ユーロンは珍しく優しい表情を浮かべた。

「シロの保護者として責任を持て。シロの将来を真剣に考えて幸せになれるように導いてやるんだ。俺も協力する」

「…無理だ。俺は自由気ままに生きてきたんだ。今更他人の人生なんかに責任持てるかよ」

ユーロンは立ち上がり、ルーフの頭をポンと撫でた。

「他人じゃない。シロの人生だ。お前にとってシロはもう他人じゃないだろ?まあ、お前がどうしても嫌だというなら俺がシロを引き取るさ。シロもきっとお前の意見に従うよ」

全て見透かしたように笑うユーロンが憎らしくなり、ルーフは「触んな」と言ってユーロンの手を叩いた。

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