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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を拾う。
13.遊ばないと
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ルーフはシロに一般魔法を教えるため、人里離れた深い谷までやって来た。
周りは切り立った崖に囲まれ、滝と泉が点在している静かで綺麗な場所だ。
「わぁ…、すごく素敵な場所ですね。」
シロは興味津々に辺りを見回している。
ルーフは腕を組んで自慢げに「だろ?」と笑った。
「俺の隠れ家的な場所だ。ここなら誰もいないから何を爆発させても大丈夫だ。魔法の特訓にはぴったりだろ?」
「はいっ、ありがとうございます!じゃあ早速一般魔法の練習しますね!」
シロがやる気に満ちた顔で拳を握ると、ルーフは呆れた顔でため息をついた。
「は?お前、それ本気で言ってんの?」
「え?だって、そのために来たんじゃ…。」
「真面目か。まずは遊ばないと。お前も好きな事して過ごせよ。そーだな、俺は久しぶりに釣りでもするか。」
「へ?遊ぶんですか…?つ、釣り?」
「当たり前だろ。せっかくここまで来たんだ。」
「そっか…、じゃあ僕もルーフさんと釣りがしたいです!」
「よし、じゃあついて来い。」
そう言ってルーフは1番大きな湖へ向かった。
岸には小屋が建っていて、小さな船も繋がれている。
ルーフは小屋に入り、窓を開けて空気の入れ替えをすると、今度は船に向かい釣り道具を乗せてから船と小屋を繋いでいるロープを外した。
「シロ、乗れよ。」
「え、あっ、はい!!」
ルーフの手際の良さを感心しながら眺めていたシロは、慌てて返事をして船に飛び乗ると、船は大きく揺れ水飛沫が飛んだ。
「うわっ、揺れる…。」
シロは船のヘリを掴んだ。
「ははっ、そんなに勢いよく乗りゃ揺れるだろ。船は初めてか?」
「はい。本で読んだ事はありますけど、乗るのは初めてです。」
「じゃあ湖の真ん中まで漕いでみろよ。」
ルーフはシロにオールを渡して腰を掛けた。
「はい!」
簡単に漕ぎ方のコツを教えてもらったシロは、一生懸命オールを漕いでいる。
その間、ルーフは仰向けになって、空を見上げていた。
真っ青な空に丸々太った魚みたいな雲が浮かんでいる。
美味そうだ…。
あれぐらいデカい魚釣りてぇな…。
そんな事を思いながら、ルーフは目を閉じた。
風が心地良い。
やっぱりこの場所はいつ来ても心が休まる。
そういえば、初めてこの場所に自分以外の奴を連れてきたな。
誰かと、ましてや竜人のガキなんかと暮らせないと思っていたが、意外となるとかなるもんだな。
シロは働き者だし、俺の言う事もちゃんと聞くし、一緒にいてもストレスを感じない。
なんならシロの浮世離れした言動はちょっと面白い。
シロの体調が良くなれば追い出そうと思っていたが、まあ、もう少しだけ面倒見てやるか。
周りは切り立った崖に囲まれ、滝と泉が点在している静かで綺麗な場所だ。
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「はいっ、ありがとうございます!じゃあ早速一般魔法の練習しますね!」
シロがやる気に満ちた顔で拳を握ると、ルーフは呆れた顔でため息をついた。
「は?お前、それ本気で言ってんの?」
「え?だって、そのために来たんじゃ…。」
「真面目か。まずは遊ばないと。お前も好きな事して過ごせよ。そーだな、俺は久しぶりに釣りでもするか。」
「へ?遊ぶんですか…?つ、釣り?」
「当たり前だろ。せっかくここまで来たんだ。」
「そっか…、じゃあ僕もルーフさんと釣りがしたいです!」
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「シロ、乗れよ。」
「え、あっ、はい!!」
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「はい。本で読んだ事はありますけど、乗るのは初めてです。」
「じゃあ湖の真ん中まで漕いでみろよ。」
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「はい!」
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その間、ルーフは仰向けになって、空を見上げていた。
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美味そうだ…。
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そんな事を思いながら、ルーフは目を閉じた。
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やっぱりこの場所はいつ来ても心が休まる。
そういえば、初めてこの場所に自分以外の奴を連れてきたな。
誰かと、ましてや竜人のガキなんかと暮らせないと思っていたが、意外となるとかなるもんだな。
シロは働き者だし、俺の言う事もちゃんと聞くし、一緒にいてもストレスを感じない。
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