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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を拾う。
10.モコモコ
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「ー…お前が無理なら孤児院にでも連れてくんだな。熱が引いたらまた連れてきてくれ。」
シロが目を覚ますと、そんな会話が聞こえてきた。しかし頭が割れるように痛み意識が朦朧とする。
シロのそばには先程の褐色の肌をした青年が腕を組んで立っている。そしてその対面には年老いた魔族が大きな椅子に座っていた。
もしかして自分は魔族に捕まったのだろうか。
公爵やジンからは、魔族の愚かさや残忍さを嫌というほど教えられてきた。
しかし、目の前にある魔族からはそんな雰囲気を一切感じない。
「分かった。じゃあ孤児院に連れていく。」
青年の言葉を聞いて、シロは嫌だと思った。
孤児院なんかに連れて行かれれば、すぐに公爵に見つかるだろう。その後は、きっと躾という名の酷い拷問が待っている。シロは縋るような気持ちで青年の腕を握った。
「こじい…ん…やだ…。」
シロは精一杯の力を出し、必死で訴えた。
「あ?なんだよ、お前。やっぱり喋れるじゃん。」
青年の美しい黄金の瞳がシロを見る。
「孤児院…やだ…。」
「やだって言われてもなぁ。じゃあお前の家はどこだ?連れてってやるぞ。」
「家は…ない。僕に…帰る場所…ない…。」
公爵邸にはもう帰りたくない。
青年は面倒くさそうにため息をついた。
メイドのジェーンもシロの行動が気に入らないとよくため息をついていた。その姿と重なり、シロは青年を怒らせてしまったと後悔したが、そのまま意識は遠のいていった。
体中がふわふわした感触に包まれ温かい。
まるで朝日を浴びた時のように心地が良い。
酷い頭痛もいつの間にか治っていて、シロはそっと瞼を開けた。
目の前には、白いモコモコが広がっていた。
何だこれー…。
シロは状況が飲み込めず、モコモコから少し体を引いた。
「ー…犬?」
モコモコの正体は、白い犬のような魔族だった。
この魔族にシロは抱きしめられて眠っていたようだ。
シロは辺りをキョロキョロと見渡すと、シンプルなテーブルやベッドなど必要最低限のモノが置かれた簡素な部屋だった。
ー…ここは一体どこなんだろう。
「うーん…、起きたのか?」
隣で寝ていた魔族が目を擦りながら聞いてきた。その魔族はカーテンを開け、外の様子を見て「まだ夜じゃねぇか。」と呟いた。
「えっと…」
シロはどうすればいいのか分からず戸惑っていると、腕を引っ張られて抱きしめられた。
シロはびっくりして魔族を見上げたが、彼はすでに目を瞑ってウトウトし始めた。
「ー…もう少し寝てろ。にしてもお前抱き心地悪いな。鱗がザラザラして痛ぇよ。」
「す、すみません。」
シロはとりあえず人の姿になってみた。
「ああ、こっちの方がまだマシだ…。」
そう言った魔族から、すぐに寝息が聞こえてきた。どうやらまた寝てしまったようだ。
(この魔族、僕を拾ってくれた人と同じ声と匂いがする。そっか、あの人は魔族だったんだ。)
モコモコの白い毛並みが気持ちいい。
シロは彼を起こさないように、そっと彼の体にしがみついてゆっくり瞼を閉じた。
シロが目を覚ますと、そんな会話が聞こえてきた。しかし頭が割れるように痛み意識が朦朧とする。
シロのそばには先程の褐色の肌をした青年が腕を組んで立っている。そしてその対面には年老いた魔族が大きな椅子に座っていた。
もしかして自分は魔族に捕まったのだろうか。
公爵やジンからは、魔族の愚かさや残忍さを嫌というほど教えられてきた。
しかし、目の前にある魔族からはそんな雰囲気を一切感じない。
「分かった。じゃあ孤児院に連れていく。」
青年の言葉を聞いて、シロは嫌だと思った。
孤児院なんかに連れて行かれれば、すぐに公爵に見つかるだろう。その後は、きっと躾という名の酷い拷問が待っている。シロは縋るような気持ちで青年の腕を握った。
「こじい…ん…やだ…。」
シロは精一杯の力を出し、必死で訴えた。
「あ?なんだよ、お前。やっぱり喋れるじゃん。」
青年の美しい黄金の瞳がシロを見る。
「孤児院…やだ…。」
「やだって言われてもなぁ。じゃあお前の家はどこだ?連れてってやるぞ。」
「家は…ない。僕に…帰る場所…ない…。」
公爵邸にはもう帰りたくない。
青年は面倒くさそうにため息をついた。
メイドのジェーンもシロの行動が気に入らないとよくため息をついていた。その姿と重なり、シロは青年を怒らせてしまったと後悔したが、そのまま意識は遠のいていった。
体中がふわふわした感触に包まれ温かい。
まるで朝日を浴びた時のように心地が良い。
酷い頭痛もいつの間にか治っていて、シロはそっと瞼を開けた。
目の前には、白いモコモコが広がっていた。
何だこれー…。
シロは状況が飲み込めず、モコモコから少し体を引いた。
「ー…犬?」
モコモコの正体は、白い犬のような魔族だった。
この魔族にシロは抱きしめられて眠っていたようだ。
シロは辺りをキョロキョロと見渡すと、シンプルなテーブルやベッドなど必要最低限のモノが置かれた簡素な部屋だった。
ー…ここは一体どこなんだろう。
「うーん…、起きたのか?」
隣で寝ていた魔族が目を擦りながら聞いてきた。その魔族はカーテンを開け、外の様子を見て「まだ夜じゃねぇか。」と呟いた。
「えっと…」
シロはどうすればいいのか分からず戸惑っていると、腕を引っ張られて抱きしめられた。
シロはびっくりして魔族を見上げたが、彼はすでに目を瞑ってウトウトし始めた。
「ー…もう少し寝てろ。にしてもお前抱き心地悪いな。鱗がザラザラして痛ぇよ。」
「す、すみません。」
シロはとりあえず人の姿になってみた。
「ああ、こっちの方がまだマシだ…。」
そう言った魔族から、すぐに寝息が聞こえてきた。どうやらまた寝てしまったようだ。
(この魔族、僕を拾ってくれた人と同じ声と匂いがする。そっか、あの人は魔族だったんだ。)
モコモコの白い毛並みが気持ちいい。
シロは彼を起こさないように、そっと彼の体にしがみついてゆっくり瞼を閉じた。
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