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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を拾う。

5.自分の意思

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ルーフが病院に戻ると、ちょうど点滴が終わり針を抜いているところだった。

「よぉ。良くなったか?」

ルーフが竜人の子に声をかけると、ルーフの顔を一瞬だけ見て、すぐに下を向きボソッと答えた。

「…はい。おかげさまで」

「何を強がっているんだ」

そう言ってレニーは竜人の子の頭をポンっと撫でた。

「まだ微熱があって怠いくせに。ルーフ、この子にはまだ休息が必要だ。しばらくお前の家で看病してやれ。」

「まあ、少しの間なら良いけどよ…」

ルーフは竜人の子を見ると、相変わらず下を向いたままだ。
子供は嫌いだが、少しくらいなら面倒を見てやってもいい。ただ、当の本人が黙ったままのくせに、わざわざ周りの大人がお膳立てしてやる必要はない。

甘ったれは大嫌いだ。

「おい、お前はどーなんだよ?」

ルーフは竜人の子の隣りにドカッと乱暴に座って、顔を覗き込んだ。

恐怖で子供の赤い瞳が揺れる。

「ぼ、僕は…その…」

竜人の子は言葉に詰まり、小さな手はカタカタと震え始めた。

何をそんなに怯えてるんだ?
ルーフは中々答えようとしない竜人の子に痺れを切らし立ち上がった。

「なにビビってんだよ。なんも怖がる事なんかねぇだろ?俺は、お前がこれからどうしたいかを聞いてるだけだ。ハッキリ言わないなら孤児院に放り込むぞ。」

「そ、それは嫌です!孤児院は嫌だ!」

竜人の子はやっと顔を上げた。

「じゃあ、どうしたいんだよ」

「僕は…、僕は、もし迷惑にならないのなら、ルーフさんの家に居たい。体調が…良くなったら、絶対…すぐ出て行きますから…。少しの間だけ僕を置いてください…。」

「ふん、自分の意思があるなら最初からそう言え」

ルーフが面倒くさそうに耳を掻いていると、後ろからレニーに叩かれた。

「こらっ!ルーフ、お前は威圧的過ぎるぞ!相手はまだ子供なんだから優しく接してやれ!」

「痛ってぇ。何すんだよ!文句があるならレニーじいさんが引き取ってやれよ」

ルーフがレニーを睨み付けると、竜人の子に急に袖を引っ張られた。

「僕はっ!僕は…ルーフさんの所が良いです。なんでもしますから、ルーフさんの家に置いてください」

竜人の子の赤い瞳は、いまだに恐怖や不安で揺らめいているが、今度はちゃんとルーフの目を見て力強く言った。

「ははっ、そうそう。その調子。まあ、なんでもするならしばらく置いてやるよ。ちょうど雑用係が欲しかったしな。じゃあ帰るぞ」

「…っはい!」

竜人の子は嬉しそうに返事をした。
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