竜人嫌いの一匹狼魔族が拾った竜人を育てたらすごく愛された。

そら。

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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を拾う。

6.名前

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レニーと別れ、ルーフの家に向かう途中ルーフはある事に気が付いた。

「あ、そーいえば、お前の名前は?まだ聞いていなかったな。」

「僕の名前は…ありません。」

「ふーん、じゃあなんて呼ばれたい?」

「え?」

「自分の名前だよ。無いままじゃ不便だろ。」

「…名前は無くても不便に感じた事はありませんよ?」

竜人の子は不思議そうに答えた。

「お前が不便じゃなくても、俺が不便だ。お前を呼ぶ時はなんて呼べば良い?
2人の時なら『お前』でもいいけど、街中で『お前』なんて呼んだら、周りの奴らも振り向くかもしれないだろ?
そしたら俺は『いやいや、そこのお前じゃ無くて、そっちのお前だよ!いや、そのお前じゃ無くて、そこにいるお前だよ!』って言わなきゃいけないんだぜ?想像してみろよ、すげぇ大変だろ?」

ルーフは噺家のようにその状況を実演してみた。
竜人の子はキョトンとした顔をしばらくした後、ぷぷっと吹き出した。

「あー、なるほど。あははっ!そっか、そうですね!あはははっ!それは大変ですねっ!」

竜人の子があまりにも笑うので、ルーフもつられて笑い出す。

「ははっ、だろ?だから名前が必要なんだ。名前がないなら自分の呼ばれたい名前を付ければいい。」

「ふふ、そうですね。じゃあ…。」

笑いすぎて目尻に溜まった涙を拭きながら、竜人の子はルーフを見上げた。

青い空には力強く光を放つ太陽が輝き、ルーフの白銀の髪を照らしている。太陽の輝きにも劣らないほど美しく白く輝いている。

「シロ。僕の名前はシロにします。」

「んー、お前はどっちかっつーとクロだぜ?黒竜じゃん。」

「ああ、あははっ、確かにそうですね。でもシロがいいです。ルーフさんの髪の色と同じ名前です。あ、やっぱり『白銀ハクギン』にしようかな。」

「なんだそりゃ。まあ、でもハクギンよりシロの方が呼びやすくて良いな。まあ、犬みてぇな名前だけど。」

「わあ!じゃあますますルーフさんと一緒ですね!ルーフさんはイヌ魔族ですよね!?」

竜人の子は嬉しそうに言ったが、ルーフには聞き捨てならない発言だった。

「はあ!?お前、俺のどこをどう見りゃイヌ魔族に見えるんだ!ちゃんと見ろ、俺様はカッコいいオオカミ魔族だ!イヌと一緒にすんな。」

「あ、そっか。すみませんでした。ルーフさんは本当にカッコいいオオカミ魔族です!」

本当に理解してんのか、こいつ。

ルーフは呆れながらため息をついた。

ついさっきまで怯えていた竜人の子は、ニコニコしながらルーフの後を付いてくる。

「まあ、いいや。おい、シロ。昼飯は何食いたい?」

「…っ!!なんでも!ルーフさんの食べたいものを一緒に食べたいです!」

前を見て歩くルーフは、シロが名前を呼ばれて嬉しくて泣きそうな顔をした事には全く気付かず、呑気に欠伸をしている。

「あー、んじゃ酒でも飲みに行くかぁ。」

「ふふっ、僕、まだ10歳ですよ?それは無理です。」

「んー?じゃあ牛丼でも食うか。あ、そういやレニーじいさんが薬膳粥を食えって言ってたぞ。シロはお粥だな。」

「えー、僕もルーフさんと同じ物が食べたいです。」

「うるせぇ。お前は粥食っとけ。」

「はいっ、分かりました。」

シロは嬉しそうに返事をして、ルーフの後を追いかけた。
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