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2章

第3話 *

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《FRside》

 アルと一晩中愛を確かめ合い、目覚めたときにはもう既に昼頃を回っていた。体中から噴き出した体液で汚れているはずの俺の体は、ピッカピカに磨き上げられており気持ち良く目覚めることが出来たのだけど。予想していた通り腰には激痛が走る。あんなに容赦なく揺らされたらそりゃあ体も悲鳴を上げるはずだ。
 隣には、アルはいない。とりあえずシャワーを浴びようと真っ裸のままベッドを抜け出して、脱ぎ捨ててあったバスローブに身を包む。シャワールームがあるはずの扉をあけると、何とそこには先客がいた。

「わっ…」

 頭上から流れるお湯に身を任せて、体を洗っているのは他でもない俺の旦那様、アルだった。隆々と浮き上がる筋肉の間を滴り落ちていく水滴に、目を奪われていると突如アルがクルッと振り返った。

「あっ…」
「一緒に浴びるか?」

 アルにそう問いかけられて俺はフルフルと首を左右に振り、一言謝るとシャワールームを出て行こうとドアノブに手をかける。が、ドンッと背後から伸びて来た手にそれを制されてしまった。後ろから感じる熱気と、熱い吐息。グッと腹に手を添えられたと思ったら、その手は徐々に下へと下がっていく。体の線をなぞるように這うと、最後はバスローブの裾から手を差し込まれ太腿の内側をいやらしく撫でられる。思わず漏れてしまった声を抑えるために、口元を両手で覆う。アルのもう片方の手が頼りのないバスローブの隙間から侵入し、触られてもいないのに立ち上がっている胸の飾りをクリクリと刺激した。

「ぁっ…ちょっ、や、…アルっ」
「期待してんのか?」
「し、してなっ!たまたま入っちゃっただけだからっ…やめて、アルっ。昨日もあんなにしたのに」

 俺のか細い訴えは、どうやらアルには届かないらしい。アルの言う通り、どこかで期待してしまっている。先客がいると知らず入ってしまったのは仕方がないけど、今こうしてアルに触られたせいで俺の体は高揚してしまっているんだ。

「おまえのここは嫌だって言ってねぇけど?」

 アルは俺のバスローブの裾を捲り上げて尻の割れ目にそっと指を添えた。既に濡れていた後孔へつぷっと音を立てながら入っていくアルの指。昨日シたばかりだから、既に指が二本も入ってしまっている。弄られ過ぎてパンパンに膨れ上がった前立腺を中指の腹でコリコリと刺激されて、体が震え上がった。

「ぁっあっ~っ…そこっ、すきぃ…」
「素直なのかそうじゃねぇのか分からねぇな…。本当はこうして欲しかったか?」
「っ…う、ん。アルに触って欲しかった、」

 もうどうにでもなれ、と甘えたような声を出すと後ろから息を呑む音が聞こえた。すると、べろりと項を舐め上げられてガリッと噛まれる。痛みに思わず唇を噛み締めた。

「じゃあちゃんとオネダリしねぇと。どうして欲しい教えてくれよ、フィリア」
「んっ…。アルの、アルのおっきくて熱いの、俺のここに挿れてくださぃ…」

 顔を赤く染め上げながら震える手でアルの指が入ったままの自分の後孔をくぱっと広げる。今にも消えてしまいそうな声で強請ると、指を一気に抜かれた。その衝撃に足が震えて腰を抜かしそうになるがアルに支えられ何とか転ぶのは免れた。しかし安堵したのも束の間、グッと後孔にあてがわれたモノが一気に体を突き上げる。声にならない声を上げながら目の前の扉に両手を置いて縋り付く。一突きされただけなのに、もうイってしまった。自分の性器からダラダラと床に流れ落ちる白濁液に恥ずかしく思う。昨日の今日で敏感になってしまった体は、何をされても感じてしまうらしい。パンッパンッと突き上げられ朦朧とする意識の中、この快感から逃れたいと必死に考える。

「んっ、ぁっ、はっあっ!」
「はぁっ、こら…逃げるなよ」
「ああっっ!!!」

 徐々に腰を逃げ気味にさせてみたが、どうやら逆効果。余計にアルを煽ってしまったみたい。扉にピッタリと体を密着させられ下から激しく突き上げられる。俺とアルでは身長も体格も違いすぎるため、若干俺の足が浮いてしまっている。俺を支えているのは、アルの腕と中に入っているバッキバキに勃起している凶器のような性器だけ。

「アルっ~…もう、イくっ、イっちゃうっ!」
「一緒に、イくか?」
「んっ、アルっ…!」

 アルの顔が見えずとも、たった今どんな顔をしているか分かる。アルの顔を想像しただけできゅうっと子宮が締め付けられた。性器から飛び出すアルの精液を一滴残らず吸い上げるように、先っぽに吸い付く子宮。ラストスパートにかかる。

「はっ、フィリアっ、!」
「あぁっ………っんっっっ~~っ!」

 あまりにも強い種付けに、子宮が叫びを上げているのが分かる。ビクビクと痙攣させながら快感を体外に逃がそうとしていると、顎を掴まれ無理矢理振り向かせられる。

「っ、………」

 獲物を捕らえて逃がさないとでも言うかのように光る青紫の瞳に吸い込まれた。重なる唇から溢れ出た唾液が赤黒い痕で埋め尽くされている首元を伝っていく。

「はっ…ん、」
「体、洗うか」
「アルが洗って」
「…おまえは俺を殺す気か」

 大きな溜息と共に吐き出された言葉に、思わずクスッと笑みが零れた。
 感じたこともない幸福感で溢れる時間に、俺はずっと続きますようにと祈りを込めたのだった。





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