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七章 珍しく昼遊び
164 フレドリクパーティのダンジョン攻略
しおりを挟むフィリップが夜のテクニックを伝授されている間もフレドリクパーティのダンジョン攻略は進んでおり、最近では地下10階を攻めていると聞いたフィリップ。
「もうそんなに進んでたんだ!?」と、今後の予定を聞いて昼型に戻していた。
夜の街に繰り出すのはセーブして、ボエルに手を出そうとしたけど、夜は行くとこがあるんだとか。
「へ~。彼女、毎日求めるようになったんだ~」
「う、うん……殿下としていたことが役に立ってしまった……」
「そろそろ僕も仲間にい~れてっ?」
「入れるわけがないだろ!」
頭のおかしいフィリップは断固として仲間に入れないボエル。そりゃそうだ。
というワケで、ここ数日はイーダにキャロリーナから教わったことを試す毎日。
「どこからこんなこと覚えて来るのですか?」
「オリジナル~。もう、最近、インスピレーションが湧きまくって~」
「この体勢、ちょっと大変なんですけど……」
2人がどんな体勢でマッサージしているかはわからないけど、イーダはフィリップのせいで、日に日にエロに磨きが掛かってしまうのであったとさ。
そんなことをしていたら、フレドリクパーティは準備が整ったとダンジョン攻略に向かったので、フィリップも隠れてつい行く。
夏休みでもダンジョン内には少なからず生徒が歩いているので、天井に張り付いたり本気の動きで置き去りに。どちらにもバレないように、慎重にストーキングを続ける。
「う~ん……ちょっと見ない間にかなり強くなってるな。でも、ペースは遅い……あ、そか。ボス戦に疲れを残さないように進んでるのか。モブ君もすでにリュックがパンパンだから、回復アイテムも大量に買い込んだんだろうな~……なんかすんません」
アイテムボックスはフィリップが先に奪ってしまったので、大量の荷物を運ぶモブ生徒に謝罪するフィリップ。顔がニヤケているから、ぜんぜん反省の色は見えない。
ちなみにフレドリクパーティの現在のレベルは25になったところ。そのレベルなら上階のモンスターはほとんど一撃で倒している。
このメンバーで一番レベルが高いのは、フレドリク。パーティで戦闘しているのに何故か40もある。攻略サイトにもこの件は謎となっているから、経験値2倍とかではなく、ゲームの仕様だとフィリップの予想。
もちろんRPG好きのフィリップなので、レベル上げが楽しめないから「固定にするなよ~」と文句を言っていた。
無駄なく順調に進むフレドリクパーティを見ていたら、中ボスを倒して地下6階の行き止まりで夜営の準備をしていたので、フィリップも帰ろうかと思ったけど、もう少し見てる。
「今回はジャンケンなしで、聖女ちゃんはカイと寝るのか……持ち回りになったのかな? 相変わらずモブ君はかわいそうだ~」
3個のテントの割り振りを確認したフィリップであったが、やはり小さいテントに1人だけ押し込められるモブ生徒に感情移入してしまっている。
「うわっ……また覗いてやがんの……アイツら学習しないのか? いや、絶対、わざとやってるやん!」
ルイーゼが体を拭いているところを気付かず開けてしまうイベントは、今回も健在。なのでフィリップは確信犯だと関西弁になっちゃった。
「てか、誰か抜け駆けして聖女ちゃんとやっちゃったりしないのかな? もしくは、すでにやっちゃってる??」
これだけはどうしても確認したくなったフィリップは、フレドリクパーティが寝静まるまで待って、忍び足でルイーゼが寝ているテントに近付いた。
「寝てやがる……帰ろ帰ろ」
残念ながら、フィリップが望むような展開になっておらず。テントに穴を開けて覗いても、2人は寝袋にキッチリ入っていたのでフィリップも諦めて、酒場で夕食をしてから帰るのであった。
「こんな遅くまでどこ行ってやがったんだ!?」
「友達のところ。ごはんも食べて来るって書き置きしたでしょ~」
「第二皇子がそんなことでいいわけないだろ!!」
もちろん、自室に帰ったらボエルの説教は免れられない。フィリップが変な言い訳するので、ボエルもオカンみたいになってるな。
「あと、殿下に友達なんて1人もいないだろ?」
「い……いないこともないんだからね!」
「どこにだ? 御見舞いに来るヤツは1人もいないぞ??」
「薄情なだけだよ~~~」
フィリップがあまりにも反省していないので、ボッチという弱点を突いてダメージを与えるボエルであったとさ。
翌日のフィリップは、ちょっとお寝坊。ボエルも逃げ出さないように見張っていたけど、寝室から出た瞬間に書き置きを残して消えていた。
そして本気のダッシュでやって来のは、ダンジョンの地下7階。地下5階までは生徒はいたけど、それ以降は見当たらないから楽ちんだ。少し出遅れたが、フレドリクパーティは地図の最短距離を進んでいたのですぐに見付かった。
「おお~。やっぱりモンスターはこのぐらい強くないとね」
上階ではモンスターが弱くてパーティ戦闘というよりは個人戦に近かったので、連携して戦う姿は見応えがある模様。
フレドリクとカイの接近戦。モンスの補助魔法。ヨーセフの攻撃魔法。ルイーゼの回復魔法とおっちょこちょい。ゲームでは見れない動きもあるから、フィリップも大満足だ。
危なげなくモンスターを倒して前進するフレドリクパーティを、後ろから近付くモンスターをファフニールソードで一蹴しながら進むフィリップ。
フレドリクパーティはたまにダメージを受けて、フィリップはノーダメージで進んでいたら地下10階に辿り着く。
ここもフレドリクパーティが慎重に進んでいるのを見ていたら、道を逸れて小部屋に入って行ったので、フィリップは忍び足で近付いた。
「あっ……結界来た。てことは、今日はここまでかな?」
時刻はおやつの時間前。壁に隠れて覗き見たらテントの設営をしていたから、明日のために疲れを残さないように早めに休むのであろう。
いちおうフィリップは、ここを拠点にレベル上げをしないかだけ確認していたら、あのイベントが発生。
「また覗いてる……なんなの? これも強制力なの? 毎回やってるなら、聖女ちゃんもいちいち悲鳴上げるなよ。R18に突入しろ!」
どうせやるなら、もっと激しいモノが見たいと憤りながら帰って行くフィリップであった……
この時間なら寮の夕食に間に合うと急いで帰ったフィリップは、自室にボエルの姿がなかったので「どこに行ったんだろ~?」と寝室のドアを開けたら、ベッドの上で裸でもつれる女性2人を発見。
「あ……取り込み中だった? ゴメ~ン」
「なんでもう帰って来てんだよ!?」
その2人は、ボエルカップル。書き置きに「今日も遅くなるから、部屋を好きに使っていいよ」となっていたからお言葉に甘えていたのだ。
「思ったより早く用事が終わっちゃって……あ、続けて続けて」
「できるか! 謝ったんだったら出て行けよ~~~」
こんな場面を見られたら、恥ずかしいに決まってる。なのにフィリップはニヤニヤしながら椅子に座るので、怒ったボエルが寝室からつまみ出したのであったとさ。
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