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二章 学校で夜遊び
042 カールスタード学院のダンジョン
しおりを挟む雑な巨乳トラップに引っ掛かりそうになったフィリップは、ダグマーに雑に連れ去られてラーシュの部屋で説教。かなり酷いことを言われていたが、フィリップはヘラヘラしながら謝っていた。
それで呆れられたのか通じないと諦めたのか解放してもらえたので、ひとまずフィリップは自室に戻り、ダグマーに踏まれてた……
「まだ説教あるの~~~?」
「いえ……殿下は酷い言葉遣いをされてもこんなことされても怒らないので、不思議に思いまして」
「別に怒るようなことでもないし。いまもプレイ中だし」
「優しいのか変態なのか、よくわからない人ですね」
「アハハ。変態はダグマーも一緒じゃん。あ~~~ん!」
説教はなかったけど、それに似た体罰で喜ぶフィリップであったとさ。
その日からフィリップは謎の発熱に苦しみ、学校にも行けなくなっていた。
「殿下、大丈夫ですか?」
「なんとか……いつものことだから、ダグマーも無理しないで」
「もしもの時は、カールスタード側の兵士がドアの前にいますから、このベルを鳴らしてくださいね」
「うん。毎日同じこと言わなくてもわかってるって~」
夜にはメイドは寮の1階に戻らなくてはならないので、ダグマーは心配しながら部屋から出て行く。すると、フィリップは体を起こした。
「やっと出て行った。ダグマーって意外と心配性だな。馬車の時はぜんぜん心配してくれなかったのに……体の関係になったからかな?」
そう。ご存知、熱魔法。体温を上げて仮病を演じているのだ。
「さあ~て。学校のことはわかったし、どっちから行こうかな~?」
フィリップが真面目に学校通いしていたのは、情報収集。どんな人やどんな授業があるのかを調べていたのだ。
その結果、授業はフィリップからしたら超簡単だったので、得点の操作も余裕。ダンジョンも向かう人がいないのは確認したので、こちらも忍び込んでも問題なし。問題があるとしたら……
「娼館がどこにあるかわからないんだよな~」
子供らしくない問題だけ。
「それに僕が行ってもすぐに入れてくれないだろうし……やっぱりダンジョンからにしとこ。強いに越したことはないしね!」
方針の決まったフィリップは、日が暮れたら猫耳マントを羽織り、さっそくバルコニーから飛び下りるのであった。
「ヤ、ヤバかった……」
テンションが上がっていたフィリップでも、6階からのヒモなしバンジーにはちょいチビリ。いくら風魔法で減速しても、怖かったらしい。
そんな震えるフィリップは気を取り直し、闇夜に紛れてダンジョンへ一直線。巡回兵はいたけどフィリップに気付かずに通り過ぎて行ったので、すぐにダンジョンに到着した。
「確かあっちの建物に……」
ダンジョンに隣接した建物の扉を氷魔法のピッキングで開けたら、フィリップはロウソクに火を灯して中を漁ってる。この建物も情報収集済みだ。
「あったあった。帰還アイテム……めっちゃ入ってるな」
あからさまな宝箱を開けたら、卵のような形の帰還アイテムがギッシリ。隣に似たような宝箱がふたつあったので、フィリップは全部開けてみた。
「これ、ダンジョンが立ち入り禁止になってるのに発注は止めてないんじゃないか? アホなのか? いや、業者とズブズブなのかもしれない……それならいっぱい貰って行こっと」
本当はちょっとだけ盗もうと思っていたフィリップであったが、こんなにあるしお金の無駄遣いをしていそうなので、気兼ねなく100個ほど拝借。
これだけ無くなるとバレやすいので、満タンに入っていた宝箱の下に余っている服を入れて嵩上げしてる。金庫のお金を盗んだ横領犯みたいだな……
「おお~。久し振りのダンジョンだ~。これこれ~」
帰還アイテムを手に入れたフィリップは、ダンジョンの扉もピッキングで開けて無断侵入。帝都学院にあるダンジョンと似た、古びた遺跡風の通路を見て感慨深くなっている。
「でも、なんでこんなところにダンジョンなんてあるんだろ? あ、そっか。フィリップが帝都のダンジョンに挑戦する時に、カールスタードのダンジョンの半分とかどうとか言ってたな。その設定か~」
気になることを思い出したフィリップは、懐中時計を取り出して時間を確認した。
「ここなら近いし、帝都のより深く潜れるな。帰還アイテムもあるから尚更だ。とりあえず5時間ほど頑張るぞ~。お~!」
1人で気合いを入れた寂しいフィリップは、奥に進んで行くのであった。
「地下1階は、帝都と出現モンスターもアイテムも違いはないかな? 道が違うだけで広さも同じくらいってところか」
ひとまず地下1階を左回りに歩きながら地図を作り、ザコモンスターも指鉄砲で倒したフィリップは地下2階に移動した。
ここからも帝都学院のダンジョンとさほど変わらないので、楽勝で進んで行くフィリップ。宝箱を漁り、モンスターを倒していたら地下4階でレベルが上がった。
「おお~。久し振りに上がった~。やっと35だよ。これっていくつまで上がるんだろ? フレドリクは50だったから、そこまでなのかな? ま、それも検証してみたらいっか」
それからもモンスターを倒して地図を作っていたら、見たこともない部屋を発見した。
「なんだこの部屋? 魔法陣がある……あっちには水の入った皿??」
ひとまずフィリップは魔法陣の上に乗って中心辺りまで進むと、いきなり光り出したから飛び退いた。
「トラップ? じゃあ、あの水は毒とかかな??」
魔法陣はあとから調べることにしたフィリップは、水に指を突っ込んでグルグル。冷たい以外は何も感じなかったので、水をペロッと舐めてみた。
「気持ちうまい……もうちょっと飲んでみるか」
コップですくってステータスを確認しながら一口ずつ飲んでみたら、水の正体はわかった。
「お~。MPが回復してる。つまり、この部屋は回復ポイントか。ゲームにはそんなのなかったのに、便利な機能だな。ということは、あの魔法陣は1階にテレポートできるとか??」
フィリップは恐る恐る魔法陣に乗ってみたら、見たことのある風景に変わった。
「やっぱりだ! ダンジョンに入ったところだ!!」
そこはダンジョン1階の階段の横。帰還アイテムを使ったら戻る場所に出たので、フィリップは小躍りしてる。
「あ……しまった……まだ時間あるのに戻っちゃったよ~~~」
でも、探索途中に戻らされたので、肩を落としてトボトボ帰るフィリップであったとさ。
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