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二章 学校で夜遊び
043 学校生活に戻る
しおりを挟むダンジョンから寮に戻ったフィリップは、氷エレベーターで6階まで登り、出した氷は熱魔法でせっせと解かしてバルコニーの排水溝に流して就寝。
翌日も仮病を使って夜に抜け出したら、ダンジョンに入って昨日とは逆回りで進んでいた。
「城から抜け出すより近いから、やっぱり楽だな~」
今日も今日とて、ザコモンスターは指鉄砲で倒し、地図に書き足しながら下の階へ。強いモンスターは床を凍らしたハメ技で倒しながら、昨日引き返してしまった地下4階のセーフティエリアまでやって来た。
「う~ん。うまい! MP回復するなら、もっと派手に魔法を使ってもよさそうだな~」
皿に入っている水をコップにすくって一気に飲み干すと、MPはマックス。フィリップは調子に乗った発言をしたが、この先にあるかはわからないと思い直して慎重に進む。
「おっ。中ボスか? 見たことのないデカイ牛が現れた」
地下5階の最終地点だと思われる場所には、体長5メートル、よっつの立派な角がある牛が寝ていたので、フィリップは様子を見ている。
「いや、ここは20階もあるんだから、中ボスは10階に出るはず。門番みたいなモンスターかな? ま、飛べない牛は、僕の敵ではないけどね」
ここでもやっぱりハメ技。一直線に床を凍らせ、硬くて鋭いツララを牛の方向に向けたら、指鉄砲を放った。
「うわっ。牛の串刺しは迫力あるな……」
牛はフィリップに突撃したけど、その突進力が仇に。勢い余って頭からお尻にツララが貫通して決着となった。
「おい! ミルクは容器に入れておけよ! 服がミルクまみれだろ!!」
でも、床から出て来た宝箱を開けたら悲惨なことに。カッコ良さげな服は、匂いが気になって諦めるフィリップであったとさ。
地下6階からは慎重に進んで行くフィリップ。1人で行動しているし、帝都でも6階の半ばまでしかクリアしたことがないので、ここは我慢だ。
たまに出て来る空飛ぶモンスターには指鉄砲を乱射し、獣っぽい10匹の群れは床を凍らしてツララで串刺し。残ったモンスターは1体ずつヘッドショットでトドメを刺して進む。
「おっ。レベルが上がった。やっぱり下に行くほど経験値がいいな~。今日はこのへんで……もう少し時間があるか。8階もちょっと見ておこっと」
地下7階の階段まで来たフィリップは、見学程度に先を進む。ここからは見たことのない大型のモンスターが出て来たが、ハメ技が効くので順調に進めている。
「お~。回復ポイント発見。レベルもまた上がったし、今日はここまでだな。水だけ飲んで帰ろっと」
MPを全回復したフィリップは魔法陣に乗って1階に移動したが、扉に手を掛けたところで止まった。
「なんか変だな。帰還アイテムがあるのに、あんな魔法陣が必要か? もしかして……」
フィリップは戻って魔法陣に乗ると目を輝かせる。
「思った通りだ! あの部屋は回復ポイントじゃなくてセーブポイントだ! 行き先が浮かんだ!!」
そう。魔法陣に乗ったら光り出し、目の前に地下4階と地下8階を選ぶウインドウみたいな物が現れたのだ。
「いま8階から戻ったのに4階が出るってことは、前回の記録も残っているってことだ! これなら攻略が楽になるぞ~!!」
この日からフィリップは、地図を埋めたら8階周辺でレベル上げを行い、めきめき強くなって行くのであった……
「殿下、体調は大丈夫ですか?」
レベル上げも大事だが、たまには体調がいいフリをして、ダグマーとベッドイン。さすがにダグマーもフィリップの体調を心配して、蹴るようなことは自重して上に乗ってマッサージしている。
「うん。気持ちいいよ~」
「それはいいのですが……」
「どうしたの? あ、もっと攻めないと楽しめない??」
「いえ……近々中間試験があるのですけど、勉強しないでこんなことしていていいのかと思いまして……」
「えっと……それは始める前に言うことでは……」
「だって……久し振りでしたから……」
「もう~。かわいいな~~~」
ダグマーがかわいすぎて、中間試験の件はどこへその。盛り上がりまくって、翌日にその話をすることに。
「まぁ、体調はなんとか戻りそうだよ。だから今日もどう?」
「いえ、勉強しましょう!!」
「えぇ~~~」
スパルタにしごけば、ドSなダグマーは満足。どちらかというとMなフィリップだけど、勉強しても気持ち良くないので、涙目でご褒美をお願いしてダグマーを喜ばせるのであったとさ。
試験勉強のせいでダンジョンにも行けずに昼型に戻ったフィリップは、今日は久し振りに学校に顔を出した。
「殿下……来たのですか……」
「なにその顔? 僕が来たら迷惑なの? てか、ラーシュは僕の護衛なのに、先に出るってどゆこと??」
教室に入って自分の席に着いたら、ラーシュが嫌そうな顔をするのでフィリップも不思議に感じている。
「別にそういうわけでは……殿下が起きて来ないから待ってるのも時間の無駄ですし……」
「それ、迷惑って言ってるようなモノだよ? てか、僕の代わりにチヤホヤされまくっていたから、とられたの怒ってない??」
「そそそそ、そんなわけないじゃないですか!?」
「プププ……焦ってやんの。さっきの子たちの中に、本命でもいたのかな~??」
「違うんです~~~!!」
ズバリその通り。フィリップは勘で言っているわけではなく、ラーシュの周りに女子が群がっていたのでからかっているのだ。それも、フィリップの顔を見たら、女子が飛んで来たのだから……
「その子の名前だけ教えておいて。とらないしなんなら援護するから」
「本当ですね? ウリカと言いまして、凄くかわいい子なんです~」
「うんうん」
ちょっと甘いことを言ったらラーシュはペラペラ喋ってくれたけど、「これ、いつ終わるんだろう?」と、聞いたことを後悔するフィリップであったとさ。
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