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イズミケント2

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変態──そういった類のものは、自分とは無縁だと思っていた。

自分とは関わりのないインターネットの世界の人、そして人の創造物の中でしかないもの。
そういった人種が本当に存在してるのかすらもあやふやで、どこか非現実的な人種なのだと思っていた。
そんな世間知らずのイメージだけで定義づけられたものだから、変態というのを空想的な人種などという見方をしてしまっていたのか。
きっと変態の本質なんてものはしょせんは、等身大の延長上にあるコブのようなもので、それが大衆にとって受け入れられるか否か程度の差でしかないのかもしれない。

多分、俺はハーヴェイたちの言うように変態なのだろう。
もともと、自分に変態的な素養があったのか?
それともアイツらと行為を重ねるうちにそうなっていってしまったのか?
もしくは──非現実性への憧れ。

まっすぐで優しく正しい人間を、家族や友人の前で演じてきた自分にとって、仮面をつけている事には慣れていた。
この世界に来て、マラークという男に出会って、傭兵の仲間たちと触れ、現実世界の時みたいにイイ人でいようとする己の呪縛から逃れるように自分の生き方を変えようとした。

これまでに持っていた常識は、人や文化と触れ合う事で簡単に変わっていった。
けど、人の本質はそう簡単には変わらない。

どこまでいっても、仮面の呪縛が、俺を演じさせた、理性が欲を抑えつける。
こんな風に世の中をわかった風な哲学を思考が求めるのも、欲に憧れた結果なんだろう。
理性が欲を抑えつけるというのは絶対に正しいはずなんだ。

だからこそ、心の奥底ではずっと憧れたのかもしれない。
正しさという仮面を外して欲にまみれるという事に。




「ハァ──ハァ──出そうっす──出る──出るッ!」

ハーヴェイの背筋がピンと伸びた。
子種を作るための袋が大きく動き、まるで川のせき止めが崩壊した水流のように、ハーヴェイの尿道から飛ぶようにとてつもない量の精液が、ケントの口の中へとなだれ込んだ。
ケントの口の中全面を、精液で塗りつぶす勢いで飛び散り、その勢いは衰える事なく何度も、何度も口の中へと発射された。
ケントはハーヴェイの亀頭を唇でふさぎ、1滴もこぼれないように受け止めた。
発射がおさまると、ハーヴェイの先端から口をわずかに放し、迷わずハーヴェイの精液をすべて飲み込んだ。

ハーヴェイが自身のペニスの根本を掴むと、残り汁を絞り出すように根本から先端に指先を動かした。
そして先端に浮き出る白いスライムのような残った精液を、ケントはアメを舐める幼児のように、その舌でチロチロと舐めとった。

何度かに分けて残り汁を全て舐めとったはずが、ケントはそれでもわずかな刺激をくわえるように、ハーヴェイの先端を舌で小さく舐め続けた。

「……まだ舐めたいんすか?へへ、いいっすよ、好きなだけ舐めて」

ケントの集中力が切れない原因は、その間も絶えずマラークがケントの尻の穴を、指でもてあそんでいたからだろう。
すでに3本の指が入るようになっていたケントの穴は、男根を迎え入れる柔らかさになっていた。

「オイオイ、本番はここからだろうがよォ」

マラークは自身の布ズボンを下ろすと、硬直した太いペニスがそそり立っていた。
四つん這いになっているケントの尻の上に乗せ、あおるように言葉を放った。

「オラ、後輩の前でメスみてぇによがってみろや」

マラークはその手で飼いならす馬のようにケントの尻をたたき、大きな音を鳴らした。
突然はたかれた事でケントが驚いたように体で反応を示すも、それでもケントは振り向くことなく一心不乱にハーヴェイの先端を四つん這いで舐め続けた。

「ハッ、鳴かしてやるよ」

マラークはペニスの先端をケントの穴へと当てると、躊躇(ちゅうしょ)する事なく、その腰を押し付けた。
そしてケントの穴を、勢いよく男のペニスが貫く。

「うあッ──!」

ケントは穴を貫かれるその刺激に前のめりになり、ハーヴェイの股に顔を埋めた。

(すげぇ──本当にケツに──チンコが入った──)

マラークは四つん這いのケントの横腹を両手でつかむと、徐々にその腰を動かしはじめ、穴の中をこするように何度も貫いた。
ケントの尻と、マラークの腰がぶつかり、肌の触れ合う音が少しずつ大きく──それはケントを犯している音となって天幕の中で永遠と鳴り続けた。

「あっ──あっ──あっ──」

今まで聞いたことのないようなケントの声にならない声。
ハーヴェイは、あえぐケントの声と、ケントの穴を犯している肌の触れ合う音を聞きながら、ケントをただ気持ちよさそうに犯すマラークを見て興奮していた。

(ケントさん感じてる……あんな激しく……お尻の穴にチンコを入れられて……)

ケントがハーヴェイの股へと顔をうずめていると、後方からマラークの手が伸びてきた。
マラークがケントの髪を掴むと、顔を持ち上げるようにケントに上を見させた。
上を見させられたケントの視線の先には、興味津々な表情のハーヴェイがまっすぐこちらを見ていた。

2人の目線が合った。

「犯されてヨガってるのを、クソ犬が見てるぜ?」

そんな状況を面白がりながら、マラークはさらに激しく、ケントの穴を犯し始めた。

「あっあっあっあっ!」

ハーヴェイの瞳に、ヨダレを垂らして快感に溺れながらも泣き顔のようなケントの表情が映る。
そんな犯されてよがるケントの表情を見ながら、ハーヴェイのペニスは、いまだ欲求がありあまるかのように、生き物の様に動いていた。

(俺も入れたい──ケントさんのお尻の穴に──あんな風に──ケントさんを犯したい──)

ハーヴェイは腰を起こしてケントの顔を掴んだ。
自身の硬くなったペニスをケントの唇にあてがうと、ねじこむようにケントの口へと入れた。
突然のように腰を振り始めるその行為は、舐めさせるでもなく、しゃぶらせるでもなく、口を好き勝手犯すという行為だった。

マラークが激しく己の快感のためだけにケントの尻穴を犯してるように、ハーヴェイもまた、同じように己の快感のためだけに激しくケントの口を犯した。
ケントの口と尻穴が、2本の男のペニスによって激しく犯され、性処理のためだけに体を使われている。
ハーヴェイのペニスが、口を通じて上あご、そして喉を容赦なく犯し、そしてマラークのペニスが、尻の穴をこじ開けるように犯す。
にもかかわらず、激しく犯されているその反動で揺れ回るケントのペニスからは、あふれるように先走りの糸を垂らしていた。

「クハッ!ぜいたくだなぁ相棒!クチもケツも犯してもらってなァ!?」

今まで聞いたこともないようなそのマラークの声は、本当に楽しそうに声を張り上げていた。
そしてその笑顔も、どこか悪人ような表情ではあるが、心から楽しんでいるような笑顔で、八重歯がむき出しになっていた。
その反面、快感に溺れてしまい余裕のないハーヴェイは一心不乱に腰を振り続けていた。

ケントを犯すその激しい腰使いは、ケントの穴付近を泡立たせ、口付近からよだれを垂れ流させ、それでも止まる事なくそのまま絶頂へと加速に向かっていく──

「ハッ──そろそろ出すぞッ──オラ、ケツ締めろや」

「おれもッ──そろそろやばいっす──」

快感の絶頂を求めて──快楽のためだけにどんどん激しくなるその腰使いはピークに達していった。

「──出すぞ!」

マラークは腰をぶつけるようにケントの尻へと当てると、天幕中に肌と肌がぶつかる破裂音のような音が鳴った。
亀頭の割れ目から泉のようにあふれでる大量の精液が、ケントの体内へと流れ込んでいく。

「出るッ!」

ハーヴェイの声とともに、喉奥を突き破るかのようなその腰の勢いと同時に、2度目にも関わらず大量の精液が、ケントの喉から体内に垂れ流していった。

2人とも、体全体に伝わる快感を余すことなく感じるその様は、武者震いのような小さな震え、そして息を止めて絶頂の気分を味わっていた。
息をはき──大きく息を吸って、また大きく息をはくと、現実に引き戻されながらも2人はゆっくりと自身のペニスを抜いていった。
それとともにケントはグッタリと腰を抜かしたかのように顔を寝床に埋めながら、足りなかった酸素を取り入れるように荒い呼吸で息を整えていた。


     *


「いやー初めてっすよぉあんなに興奮したの!ケントさんマジサイコーっす」

ハーヴェイの寝床の上で、黙って目を閉じてどこか不機嫌そうに座っているケントに、後ろから抱き着くようにハーヴェイは満面の笑みで顔をすり合わせていた。
ケントはハーヴェイに目を合わせないまま、静かに口を開く。

「……ハーヴェイ」

「ん?」

「おまえ、命令違反で明日、村10週な」

「ええぇ!?なんでっすか!?」

「な、ん、で?」

ケントは後ろを振り返り、笑顔にもかかわらず眉間にシワを寄せながら、ハーヴェイに問いかける。

「──はい……あんなに気持ちよさそうによがってたのに……いてっ!」

小声でつぶやくハーヴェイにケントはヒジで後方にいるハーヴェイの腹を殴った。

「で、マラーク」

「あ?」

バンダナを外したマラークはケントの寝床の上で、ボサボサの頭を手のひらで支えながら背を向けて寝そべっていた。
ケントが話しかけるも、相変わらずマラークはケントを見る素振りすらしない横暴っぷりを発揮していた。

「なんで誘わないでわざわざここに来たんだよ?」

「んなもん、そこのクソ犬とここでいっきにヤっちまった方がはえぇしおもしれぇからに決まってるだろうが」

「おもしれぇって……」

「だからクソ犬って……」

「ああ、それとコレ、テメェがもっとけ」

こちらを振り返る事のないまま、マラークは液体の入ったガラス瓶を、ケントへと放り投げた。

「これって──さっきの」

「てめぇのかてぇケツを広げる薬だ、持ってろ」

「は?……なんでこんなもの俺が持ってないといけないんだよ」

「うるせぇよ、二度は言わねぇ」

そういうと、マラークは頭を支えていた腕を下ろし、ケントの寝床で寝始めた

「ってしかもなんで俺の寝床で寝ようとしてるんだよ」

めんどくさくなったのか、マラークはここから何も答える気配がなかった。
いつもの経験からくるこの男の思考をケントは脳内で考えた。

「──おいおい……」



ケントはマラークの言葉の意味を察した。

北の倉庫までわざわざいって隠れてやるよりも、ここでやったほうがおもしろい。
ここでやるなら持ち歩く必要がないからおまえが薬を持っておけ。
眠いから寝る、話しかけるな。

「おいマラーク……」

「あらら……マラークさんあそこで寝るつもりっすね」

「……」

また突拍子もないマラークの行動に、ケントはあぜんと、言葉を失っていた。
そんなケントを後ろから抱きかかえ、ふたたび顔をくっつけながら口を開くハーヴェイ。

「しょうがないっすねぇ、ケントさんは俺と寝るしかないっすよ」

「おまえ……」


自由奔放なこの2人と、この先うまくやっていけるのか不安になるケントだった。



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