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第三章 旅の始まり
第十話 興味ないから
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エミリーさんに全てを話し、手配書の撤廃を頼み部屋を出ると、タロとアオイを回収するために食堂へと向かおうとしたところで「おい!」と後ろから声を掛けられるが、ガイルさんの声でもないし、ここには俺の知り合いはいないから俺じゃない誰かを呼んでいるんだろうと思い、無視して行こうとするとまた「おい!」と言われる。もういい加減返事してやればいいのにとか思いながら、歩いていると後ろから肩をガッと掴まれ「おい!」と言われる。
「へ? あ、俺だったの?」
「お前だよ! ずっと無視しやがって何様だよ!」
そう言って俺の肩を掴んでまで引き留めたのはどこか見覚えのある優男だった。
「えっと、どちら様?」
「……お前、俺のことを知らないのか?」
「ごめんなさい。今日、ここのギルドに来たばかりなので」
「いやいやいや、お前は俺のスージーに手を出しただろうが! そのことも忘れたのか!」
「え? スージーさん?」
そう言って、カウンターの向こう側に座るスージーさんを見るとこっちを見てニコニコしながら手を振っていたので、俺も手を振って返すと優男は俺の胸倉を掴んで俺自体を持ち上げる。
「見ろ! 出しているじゃネエか!」
「いや、これは「ぐだぐだ言ってんじゃねぇよ!」……え~」
俺はまたスージーさんの方を優男の肩越しにチラリと見ると、口パクで『ガ・ン・バ・レ』と読み取れた。
「え~なんで……」
「なんでじゃねえ! お前、ちょっとこっち来い! お前とはキッチリ話をつける必要があるな」
「え~面倒臭い……」
「いいから、来るんだよ!」
「恨むからね……」
俺は優男に脇に抱えられたままスージーさんを見ながらそう呟くが、スージーさんは回りの職員が「止めなくてもいいの?」と言われているのに「大丈夫だから」としか言わずにただただニコニコしていた。
やがて優男と優男に担がれた状態の俺はまた訓練場に来ていた。
訓練場の扉を潜った途端に優男は小脇に抱えていた俺をドサッと地面に放り投げるとスタスタと訓練場のほぼ中央に向かうと俺に向かって「来い!」と顎でクイッと指図する。
俺は体に着いた土を払いながら立ち上がり、面倒だなと右手を翳すと「水球」と呟き自分の回りに三十個ほど浮かべると「行け」とだけ言って優男に全ての水球を叩き付ける。
「お、お前、これは……ひ、卑怯だ……ぞ……ゴボッ……」
『ズドンズドンズドドン……』
優男に次々と命中する水球の音だけが訓練場に響き、やがてその音が途絶えると、優男は前のめりに倒れ込む。
「多分、大丈夫だよね」
『肯定します』
「じゃ、いいか。風邪ひかないようにね。じゃあ」
「ま、待て!」
「え?」
もう、これ以上は続行不可能だろうと思い、訓練場から出ようとしたところで、優男から声を掛けられる。
「お、お前はスージーを幸せにしてやれるのか! その覚悟はあるのか!」
「え?」
優男がそんなことを言いながら、右手に持つ剣を杖に立ち上がろうとしているが、それ以上は無理なのか片膝立ちの状態のままだ。
「あの、何か勘違いがあるようだから、この際ハッキリいいますけど、俺はスージーさんのことはなんとも思っていませんからね。単なる冒険者と冒険者ギルドの職員としての関係以外には何もありませんから」
「本当だろうな!」
「ホントです。それにもしあの人と真剣に付き合いたいのなら、あの人が手を出したくなるくらいにならないとダメですよ」
「ん? だから、こうやって鍛えて冒険者ランクを上げよう「ダメです」……ん?」
「だから、スージーさんの場合は向こうから襲いたくなる程の嗜虐性を感じさせるほどじゃないと多分ダメだと思います。あなたが今やっていることは全て逆効果にしかならないでしょうね」
「それはどういう意味だ?」
「詳しくは本人に聞いて下さいね。じゃ!」
「お、おい! 待」
俺は訓練場の扉を潜るとスージーさんの元に向かう。
「あら、コータさん。私の為にわ「全部言っちゃった。ごめんなさい」……え? それはどういうことでしょうか?」
「だから、あのお兄さんはスージーさんに好意を持っているっぽいけど、今のままじゃ見向きもされないよって」
「ああ、そういうことですね。まあ、それは「だからね」……え、まだ何か?」
「うん、強いところを見せるんじゃなくて、スージーさんの嗜虐性を向上させるようにしないと無理だからって教えてやったの」
「え……コータさん、それはホントのことでしょうか?」
「うん、だって……そうなんでしょ? じゃ、俺はこれで」
「……」
俺の言葉にスージーさんは「ウソ、どうして」を繰り返していたが、その言葉の意味まで確認しようとは思えない。回りで話を聞いていた職員さんも「ああ、やっぱり」と納得していたような感じだったので、まず間違いはないと思う。
明日から「蹴って下さい!」って人がスージーさんのカウンターの前に並ぶのだろうかといらぬ想像をしてしまうが、今はタロとアオイを回収するのが先だ。それにしてもガイルさんは結局のところ、冒険者ギルドに来ることはなかったけど、どうしたのだろうか。まさか、まだ潰れているってことはないよね。
『肯定します』
「へ? あ、俺だったの?」
「お前だよ! ずっと無視しやがって何様だよ!」
そう言って俺の肩を掴んでまで引き留めたのはどこか見覚えのある優男だった。
「えっと、どちら様?」
「……お前、俺のことを知らないのか?」
「ごめんなさい。今日、ここのギルドに来たばかりなので」
「いやいやいや、お前は俺のスージーに手を出しただろうが! そのことも忘れたのか!」
「え? スージーさん?」
そう言って、カウンターの向こう側に座るスージーさんを見るとこっちを見てニコニコしながら手を振っていたので、俺も手を振って返すと優男は俺の胸倉を掴んで俺自体を持ち上げる。
「見ろ! 出しているじゃネエか!」
「いや、これは「ぐだぐだ言ってんじゃねぇよ!」……え~」
俺はまたスージーさんの方を優男の肩越しにチラリと見ると、口パクで『ガ・ン・バ・レ』と読み取れた。
「え~なんで……」
「なんでじゃねえ! お前、ちょっとこっち来い! お前とはキッチリ話をつける必要があるな」
「え~面倒臭い……」
「いいから、来るんだよ!」
「恨むからね……」
俺は優男に脇に抱えられたままスージーさんを見ながらそう呟くが、スージーさんは回りの職員が「止めなくてもいいの?」と言われているのに「大丈夫だから」としか言わずにただただニコニコしていた。
やがて優男と優男に担がれた状態の俺はまた訓練場に来ていた。
訓練場の扉を潜った途端に優男は小脇に抱えていた俺をドサッと地面に放り投げるとスタスタと訓練場のほぼ中央に向かうと俺に向かって「来い!」と顎でクイッと指図する。
俺は体に着いた土を払いながら立ち上がり、面倒だなと右手を翳すと「水球」と呟き自分の回りに三十個ほど浮かべると「行け」とだけ言って優男に全ての水球を叩き付ける。
「お、お前、これは……ひ、卑怯だ……ぞ……ゴボッ……」
『ズドンズドンズドドン……』
優男に次々と命中する水球の音だけが訓練場に響き、やがてその音が途絶えると、優男は前のめりに倒れ込む。
「多分、大丈夫だよね」
『肯定します』
「じゃ、いいか。風邪ひかないようにね。じゃあ」
「ま、待て!」
「え?」
もう、これ以上は続行不可能だろうと思い、訓練場から出ようとしたところで、優男から声を掛けられる。
「お、お前はスージーを幸せにしてやれるのか! その覚悟はあるのか!」
「え?」
優男がそんなことを言いながら、右手に持つ剣を杖に立ち上がろうとしているが、それ以上は無理なのか片膝立ちの状態のままだ。
「あの、何か勘違いがあるようだから、この際ハッキリいいますけど、俺はスージーさんのことはなんとも思っていませんからね。単なる冒険者と冒険者ギルドの職員としての関係以外には何もありませんから」
「本当だろうな!」
「ホントです。それにもしあの人と真剣に付き合いたいのなら、あの人が手を出したくなるくらいにならないとダメですよ」
「ん? だから、こうやって鍛えて冒険者ランクを上げよう「ダメです」……ん?」
「だから、スージーさんの場合は向こうから襲いたくなる程の嗜虐性を感じさせるほどじゃないと多分ダメだと思います。あなたが今やっていることは全て逆効果にしかならないでしょうね」
「それはどういう意味だ?」
「詳しくは本人に聞いて下さいね。じゃ!」
「お、おい! 待」
俺は訓練場の扉を潜るとスージーさんの元に向かう。
「あら、コータさん。私の為にわ「全部言っちゃった。ごめんなさい」……え? それはどういうことでしょうか?」
「だから、あのお兄さんはスージーさんに好意を持っているっぽいけど、今のままじゃ見向きもされないよって」
「ああ、そういうことですね。まあ、それは「だからね」……え、まだ何か?」
「うん、強いところを見せるんじゃなくて、スージーさんの嗜虐性を向上させるようにしないと無理だからって教えてやったの」
「え……コータさん、それはホントのことでしょうか?」
「うん、だって……そうなんでしょ? じゃ、俺はこれで」
「……」
俺の言葉にスージーさんは「ウソ、どうして」を繰り返していたが、その言葉の意味まで確認しようとは思えない。回りで話を聞いていた職員さんも「ああ、やっぱり」と納得していたような感じだったので、まず間違いはないと思う。
明日から「蹴って下さい!」って人がスージーさんのカウンターの前に並ぶのだろうかといらぬ想像をしてしまうが、今はタロとアオイを回収するのが先だ。それにしてもガイルさんは結局のところ、冒険者ギルドに来ることはなかったけど、どうしたのだろうか。まさか、まだ潰れているってことはないよね。
『肯定します』
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