36 / 186
辟易
しおりを挟む
「結局、何も分からなかったのね」
バトワスを訪ねて来たオリビアは、自分は何もしていない癖に、情けないと言わんばかりに言い放った。
「簡単に分かるはずがないだろう、これからも調べることになった」
「じゃあ、また来るってこと?」
「両陛下もこれからも是非にとおっしゃっている、君が意見するのか?それなら、直接言いなさい」
「…そ、それは」
さすがに罰が悪いと思ったオリビアは言葉に詰まったが、まだバトワスが美しいと言ったことを根に持っており、許せないでいた。
「何か用か?」
「何か力になれるかと思っただけじゃない」
「時間があるなら、君も天候の変わった年、その前後の周りの調査を行ってくれ。何をしていたか、何が流行っていたかでもいい」
「私が?」
「力になってくれるのではないのか?」
それすら嘘なのかと、溜息を付いたが、それに気付かないオリビアは続けた。
「そうじゃなくて、私の機嫌を取らなくていいのかって言っているの!あんなメーリンなんて王女に現を抜かしたことを許していないんだから」
「また閨か?もういい加減にしてくれと言っただろう」
面倒になったバトワスは、明け透けに聞くようになっていた。
「そ、そうじゃないわ」
「じゃあ、何だ…まだやることがあるんだ。見たら分かるだろう?邪魔するな」
「機嫌を取ってくれてもいいじゃない」
どうして、手伝いもしない、労ってもくれない、妻の機嫌を取らなくてはいけないのかが分からない。
「じゃあ、私の機嫌はどんどん悪くなるのは、どうする?」
「それよりも私の方が大事でしょう!」
「強制的に連れ出されたいか?」
今まで追い出すような真似はしなかったが、さすがに限界である。
「どうしてよ、どうして…新婚の頃は何度も何度も、求め合ったじゃない」
「若かったからだよ」
「今も同じ気持ちでしょう?」
「そんなにしたいのか?私はそれよりも睡眠を大事にしたい。君は元々、性欲が強いんだろうな…凄いな」
「っな」
さすがに恥ずかしい気持ちになったオリビアは、真っ赤になった。
「強くないわ、普通よ」
「そうか、じゃあ、私が普通ではないのだろうな。すまないが、もうそんな気にはならない」
「っ、何ですって!出来ないって言うの?」
「そうなのかもしれない」
こうやって、何度も誘いに来るのならば、不能だと思われた方がいい。子どもももう必要のないほどいるのだから、問題はない。
「そんなどうにかならないの?」
「ああ、精神的な問題だろうな」
「忙しいせいじゃない?私に癒されれば違うわよ、ね?」
どうにかしてでも性行為を行いたいオリビアは、また同じことを言っている。
「こんなに邪魔をされて、腹立たしいと思わせて来る君に癒されることはないよ」
「っな」
「予算内なら男娼を呼んでもいいと、許可を出して貰うように話をしておくか?」
「男娼ですって!」
「愛人を持つことは出来ないが、男娼を呼ぶことは出来る」
王族が避妊してはならないのは、夫婦だけで、相手が夫や妻でない場合は、避妊することは出来るので、男娼を呼べばいい。バトワスは最終手段に考えており、男娼はプロなので相手をしてくれる。
「あなたは、私が他の男性に抱かれもいいって言うの?」
「私が抱けないのだから、仕方ないだろう。相手はプロだから、満足させて貰えるのではないか?」
「っな!本当にいいって言うのね!」
「ああ、話して置くから、呼びたいなら申請しなさい」
「本当に呼ぶわよ」
「ああ」
その言葉はオリビアは後悔しても知らないと言う意味だったが、バトワスはそんなにしたいのかと、ますます辟易した。
陛下にオリビアに男娼の許可を得るのに、性欲が強過ぎて、誘いに来て、公務がままならないという理由を書いて届けて貰うと、母であるシンバリア王妃陛下が珍しくバトワスの元へやって来た。
一体、何を言われるのかと身構えるほどであった。
バトワスを訪ねて来たオリビアは、自分は何もしていない癖に、情けないと言わんばかりに言い放った。
「簡単に分かるはずがないだろう、これからも調べることになった」
「じゃあ、また来るってこと?」
「両陛下もこれからも是非にとおっしゃっている、君が意見するのか?それなら、直接言いなさい」
「…そ、それは」
さすがに罰が悪いと思ったオリビアは言葉に詰まったが、まだバトワスが美しいと言ったことを根に持っており、許せないでいた。
「何か用か?」
「何か力になれるかと思っただけじゃない」
「時間があるなら、君も天候の変わった年、その前後の周りの調査を行ってくれ。何をしていたか、何が流行っていたかでもいい」
「私が?」
「力になってくれるのではないのか?」
それすら嘘なのかと、溜息を付いたが、それに気付かないオリビアは続けた。
「そうじゃなくて、私の機嫌を取らなくていいのかって言っているの!あんなメーリンなんて王女に現を抜かしたことを許していないんだから」
「また閨か?もういい加減にしてくれと言っただろう」
面倒になったバトワスは、明け透けに聞くようになっていた。
「そ、そうじゃないわ」
「じゃあ、何だ…まだやることがあるんだ。見たら分かるだろう?邪魔するな」
「機嫌を取ってくれてもいいじゃない」
どうして、手伝いもしない、労ってもくれない、妻の機嫌を取らなくてはいけないのかが分からない。
「じゃあ、私の機嫌はどんどん悪くなるのは、どうする?」
「それよりも私の方が大事でしょう!」
「強制的に連れ出されたいか?」
今まで追い出すような真似はしなかったが、さすがに限界である。
「どうしてよ、どうして…新婚の頃は何度も何度も、求め合ったじゃない」
「若かったからだよ」
「今も同じ気持ちでしょう?」
「そんなにしたいのか?私はそれよりも睡眠を大事にしたい。君は元々、性欲が強いんだろうな…凄いな」
「っな」
さすがに恥ずかしい気持ちになったオリビアは、真っ赤になった。
「強くないわ、普通よ」
「そうか、じゃあ、私が普通ではないのだろうな。すまないが、もうそんな気にはならない」
「っ、何ですって!出来ないって言うの?」
「そうなのかもしれない」
こうやって、何度も誘いに来るのならば、不能だと思われた方がいい。子どもももう必要のないほどいるのだから、問題はない。
「そんなどうにかならないの?」
「ああ、精神的な問題だろうな」
「忙しいせいじゃない?私に癒されれば違うわよ、ね?」
どうにかしてでも性行為を行いたいオリビアは、また同じことを言っている。
「こんなに邪魔をされて、腹立たしいと思わせて来る君に癒されることはないよ」
「っな」
「予算内なら男娼を呼んでもいいと、許可を出して貰うように話をしておくか?」
「男娼ですって!」
「愛人を持つことは出来ないが、男娼を呼ぶことは出来る」
王族が避妊してはならないのは、夫婦だけで、相手が夫や妻でない場合は、避妊することは出来るので、男娼を呼べばいい。バトワスは最終手段に考えており、男娼はプロなので相手をしてくれる。
「あなたは、私が他の男性に抱かれもいいって言うの?」
「私が抱けないのだから、仕方ないだろう。相手はプロだから、満足させて貰えるのではないか?」
「っな!本当にいいって言うのね!」
「ああ、話して置くから、呼びたいなら申請しなさい」
「本当に呼ぶわよ」
「ああ」
その言葉はオリビアは後悔しても知らないと言う意味だったが、バトワスはそんなにしたいのかと、ますます辟易した。
陛下にオリビアに男娼の許可を得るのに、性欲が強過ぎて、誘いに来て、公務がままならないという理由を書いて届けて貰うと、母であるシンバリア王妃陛下が珍しくバトワスの元へやって来た。
一体、何を言われるのかと身構えるほどであった。
3,838
お気に入りに追加
7,811
あなたにおすすめの小説

どんなに私が愛しても
豆狸
恋愛
どんなに遠く離れていても、この想いがけして届かないとわかっていても、私はずっと殿下を愛しています。
これからもずっと貴方の幸せを祈り続けています。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。

誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。

欲しがり病の妹を「わたくしが一度持った物じゃないと欲しくない“かわいそう”な妹」と言って憐れむ(おちょくる)姉の話 [完]
ラララキヲ
恋愛
「お姉様、それ頂戴!!」が口癖で、姉の物を奪う妹とそれを止めない両親。
妹に自分の物を取られた姉は最初こそ悲しんだが……彼女はニッコリと微笑んだ。
「わたくしの物が欲しいのね」
「わたくしの“お古”じゃなきゃ嫌なのね」
「わたくしが一度持った物じゃなきゃ欲しくない“欲しがりマリリン”。貴女はなんて“可愛”そうなのかしら」
姉に憐れまれた妹は怒って姉から奪った物を捨てた。
でも懲りずに今度は姉の婚約者に近付こうとするが…………
色々あったが、それぞれ幸せになる姉妹の話。
((妹の頭がおかしければ姉もそうだろ、みたいな話です))
◇テンプレ屑妹モノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい。
◇なろうにも上げる予定です。

妹から私の旦那様と結ばれたと手紙が来ましたが、人違いだったようです
今川幸乃
恋愛
ハワード公爵家の長女クララは半年ほど前にガイラー公爵家の長男アドルフと結婚した。
が、優しく穏やかな性格で領主としての才能もあるアドルフは女性から大人気でクララの妹レイチェルも彼と結ばれたクララをしきりにうらやんでいた。
アドルフが領地に次期当主としての勉強をしに帰ったとき、突然クララにレイチェルから「アドルフと結ばれた」と手紙が来る。
だが、レイチェルは知らなかった。
ガイラー公爵家には冷酷非道で女癖が悪く勘当された、アドルフと瓜二つの長男がいたことを。
※短め。

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

笑わない妻を娶りました
mios
恋愛
伯爵家嫡男であるスタン・タイロンは、伯爵家を継ぐ際に妻を娶ることにした。
同じ伯爵位で、友人であるオリバー・クレンズの従姉妹で笑わないことから氷の女神とも呼ばれているミスティア・ドゥーラ嬢。
彼女は美しく、スタンは一目惚れをし、トントン拍子に婚約・結婚することになったのだが。

婚約破棄した令嬢の帰還を望む
基本二度寝
恋愛
王太子が発案したとされる事業は、始まる前から暗礁に乗り上げている。
実際の発案者は、王太子の元婚約者。
見た目の美しい令嬢と婚約したいがために、婚約を破棄したが、彼女がいなくなり有能と言われた王太子は、無能に転落した。
彼女のサポートなしではなにもできない男だった。
どうにか彼女を再び取り戻すため、王太子は妙案を思いつく。

【完結】ずっとやっていれば良いわ。※暗い復讐、注意。
BBやっこ
恋愛
幼い頃は、誰かに守られたかった。
後妻の連れ子。家も食事も教育も与えられたけど。
新しい兄は最悪だった。
事あるごとにちょっかいをかけ、物を壊し嫌がらせ。
それくらい社交界でよくあるとは、家であって良い事なのか?
本当に嫌。だけどもう我慢しなくて良い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる