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【最終話】攻め別エンディング
会長✕ワンコ書記(5)
しおりを挟む「はああ?! ちょっ、会長の妄想すげーな。もしそれが事実なら意識のはっきりしない相手に対して軽く性犯罪だろ、って。うわぁ嘘だろ、会計と副会長まで100%有り得ない会長の妄想信じ込んでおかしくなってるし……何こいつら全員キチガイかよ怖っ。
いやそれよりも結局ワンコ書記は今どうしてんの。要するに通り雨が原因で風邪引いたんだよな。学校休んで寮で寝てるんだろ、体の具合は熱とか大丈夫なのか?」
「ああ。昼に一度様子を見て来たが熱も下がってたし風邪の方は元々さほど酷くは」
「あの、もう俺、大丈夫」
「空牙!?」「くうちゃんッ」「ワンコ書記?」
ふいに聞こえた、ここにはいない筈の声に皆が反応する。
視線の先。扉に手をかけたまま生徒会室の中を覗く空牙、と何故か風紀副委員長の姿がそこにはあった。
……少しだけ困ったように眉をへにょりとさせた空牙がいつにも増して可愛いんだが。今すぐ抱きしめてキスしても良いか、これ?
「えっと俺、体調良くなったからもう平気。朝もほぼ平熱だったけど、会長が休め、って。でもレポート提出今日までだったの、思い出して……学校来た」
「俺はさっき偶然見かけたワンちゃんが心配で勝手について来ただけっスよ、お構いなく」
「言われなくても風紀になんかお構わないからッ。くうちゃん本当に大丈夫? ううう、めちゃくちゃ会いたかったよおぉ」
「クソ会長野郎のせいで酷い目に遭いましたね空牙。ああ、かわいそうに。きっと脅されて無理強いされたのでしょう。もちろん私の可愛くて何も知らない空牙を手込めにした罪は必ず、必ずや償わせますからね」
「ワンコ書記が思ったより元気そうで良かった。歩き回れるってことはもう風邪治ったんだな」
「お前らうるせぇ! 俺の空牙に勝手に近付くんじゃねーよ散れ! 風紀、は一応礼を言っとくがもう用無しだ。さっさと巣に帰れ!」
空牙に駆け寄った奴等を蹴散らし、風紀副委員長を扉の外へ押し出す。と、そんな俺の袖をつかんで引っ張る可愛い恋人が。
「かいちょ、あの……俺、恥ずかし……から。あんまり、みんなには話さないで、ほし……い」
「ぐはああぁッ」
「か、かいちょ?」
多分、俺たちの会話を聞いていたのだろう。
恥ずかしそうに頬を染め、潤んだ瞳で俺を見上げる空牙。困ったような、だが少し拗ねたような口調がたまらない。そうかなるほどつまりこれは『早く二人っきりになって、いちゃいちゃしたい』ってことだな!
「よし分かった今すぐ帰ろうそして思う存分二人っきりでいちゃつくぞ空牙。昨日は初めてのアレの疲れと風邪気味から微熱とはいえまともに動けないお前を一日中看病し、食事もトイレも、それこそ隅々までお世話をしただけだからな。いや、それも十分楽しかったが。今日は昨日の分までお前を可愛がって、めちゃくちゃ気持ち良くさせてやるからな」
「そいつはまたえらく自惚れの強い発言だな会長。俺の空牙が本当にお前如きで満足するとでも?」
「ひっ!?」
「風紀委員長ッ」「くうちゃん!」「空牙!」「あ」
今度は突然、副委員長に羽交い締めされた風紀委員長が現れやがった。……平然と歩いてるし取り押さえ失敗してねーか、これ。
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