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【最終話】攻め別エンディング
会長✕ワンコ書記(6)END
しおりを挟む羽交い締めにされた風紀委員長の前に立ち塞がり、防壁となる副会長・会計・転入生(会長補佐)の三人。
俺はしがみつく空牙を隠すように抱きしめ守ってやる。
「何の用だ。お前のせいで空牙が怖がって震えてる。見て分かんだろ邪魔だ、とっとと消えろ」
「くっ、ごめんねワンちゃん。本当はワンちゃんの視界に入れたくなかったんスけど、このっ馬鹿力が……!」
「おいおい、俺は風紀の報告書を持って来てやっただけだぜ? もっと仲良くしよーや、なあ空牙ぁ?」
「するわけないしッ」「ワンコ書記に話しかけんな!」
「確かに書類は頂きました。もうここにいる理由は無い筈ですよね、どうぞお帰りください」
ひったくるように風紀委員長の手から書類を奪う副会長。
空牙は俺の腕の中で耳を塞ぎ必死に目を閉じてぶるぶる震えている。前回同様、拒絶反応が凄まじい。呼吸も荒く、このままだと再び意識を失うのでは……。
「まあいい、しばらくの間それは譲っといてやる」
「あ?」
「たまには他人のモノを奪う愉しみ、ってやつも味わってみたいからな。精々それまで十分に可愛がってやるんだな、自惚れ屋の会長様」
そう言うと踵を返し、そのまま生徒会室から出て行く風紀委員長。と副委員長。
あまりの呆気なさに一同ぽかんと立ち尽くす。
「え、今の何だったんだ」「風紀委員長も風邪?」「もしや集団幻覚だったのでしょうか?」
防壁どもが騒いでいるが、さっきほんの一瞬奴が見せた表情に気付かなかったんだろうか。……まあ良いけど俺には全く関係ねぇし。
それよりも今は空牙だ。風紀委員長が去ったことに気付かず、ぶるぶる震えてかわいそうだしな。
落ち着かせるように優しく頭をなでながら背中をポンポンと叩いてやれば、涙目の空牙が恐る恐る俺を見上げてくる。
「安心しろ。あいつはもう消えたぞ空牙、ほらもう大丈夫だ。よしよし、怖かったな我慢できて偉いぞ」
「……ほん、と? もういない?」
「ああ。我慢したご褒美に今日は俺が何でもお前の願い事を聞いてやる。さあ、一緒に帰ろう空牙。そんで朝までずっと二人っきりで仲良くしよう」
「……かいちょ、と一緒。二人っきり?」
「ああ。嫌か?」
「ううん……嬉しい。俺、かいちょといたい。かいちょ、好き。大好き!」
「くうちゃんッ?!」「えっ」「く、空牙……」
ぱあああっと笑顔になる空牙にそれ以上何も言えなくなる三人。おお、顔色悪いなどうしたお前ら。(ニヤニヤ)
「じゃあ後はよろしく頼むわ」
嬉しそうに俺と手をつなぎ(※指と指を絡ませる恋人つなぎ)早く早くと急かす空牙。を呆然と見送る三人に声をかけ、部屋を出る。直後に凄まじい悲鳴が聞こえてきたが知らん。
俺はようやく手に入れた可愛いワンコな恋人を可愛がるのに忙しいからな。
「かいちょ、あのね」
「こら。二人っきりのときは名前で呼べって言ったろ」
「……柊冴」
「よし」
「ふふっ……柊冴、あのね」
「何だ空牙、早速もう願い事か?」
「うん。俺、柊冴に聞いてほしい。俺の、一番大切な、お願い事――」
【「俺の飼い主さま探しは多分もうすぐ終わりそうです」って父上に電話したら、喜んでくれるかな?】
会長✕ワンコ書記【END】2023.9.18
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