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激闘の褌寒中水泳大会 前編
病み上がりの出勤
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聡志は情けない気持ちになりながらも長田の父親からの差し入れはありがたいものであった。
聡志は結局、次の日の日曜日も足の腫れが引かず、一歩も外には出られなかったからだ。
月曜日は何とか左足を地面に着く事は出来たが、固定は必要な状況であった。
聡志は車で通勤し職員室に入る年配の同僚教員から左足を心配する声を掛けられる反面、同年代の同僚教員からは茶化すような声もあった。
「水の中で捻挫するなんて珍しいですね、ダルマみたいに水に浮いてたんだって?」
「体重が重いからじゃないですか?」
「よっ!浮きダルマ!」
ご愛嬌だろうが、体育教員仲間からは特に茶化された。
最近はSNSや LINEなど、情報伝達のツールで様々な不必要な情報が漏れる時代・・・
「くそっ・・・部員の誰かが面白ろがって情報を流したな・・・」聡志は思った。
「市場先生、後で校長室まで来てもらえるかな?」職員室で聡志のネタで盛り上がっているところに校長が割って入ってきた。
「えっ、あ、は、はい、午前中の授業が終わったら伺います!」聡志はシャキッと返事をした。
「市場先生、何やらかしたんだ?」同僚の体育教師がニヤニヤしながら聞いてきた。
「俺は何も・・・」聡志は不安になった。
今日の体育の授業は体育館で、バレーボール、聡志は口頭指導のみで、まだ痛みと腫れがある左足に負担がかからないように気をつけていた。
「捻挫して、俺がスイムウェアーを長田に脱がされている姿を隠し撮りされたとか・・・」
「俺が長田の裸を見て、勃起していたのを見られたとか・・・?!」
「水泳部顧問が生徒の着替えを見てチ◯ポを勃起させてたなんてバレたら大問題だっ!俺はクビになる・・・それどころかマスコミにいいように叩かれる!」
勝手な悪い想像をし、聡志の顔はどんどんと青ざめて行く・・・
「先生、顔色悪いですけど、大丈夫ですか?」何人かの生徒が聡志に声を掛けてきた。
「あっ、だ、大丈夫だっ!」聡志はいらぬ妄想から我に返った。
午前中の授業は終わり聡志は恐る恐る校長室に向かった。
校長室の前で深呼吸をし、校長室のドアをノックした。
「どうぞ~」
「はい、失礼します!」
「おぉ、市場先生、忙しいのにすまんね・・・足の具合は大丈夫かい?」
「うわぁ、校長まで知ってるのか・・・」聡志は思った。
「すみません・・・」聡志は深々と頭を下げた。
「うん?!別に謝らんでもいいよ、仕方ないだろう?怪我したのは・・・」
「えっ?足?!」
「怪我したんだろう?足を」
「あっ、はい、不注意で捻挫くらいですけど・・・」
「まあ気をつけてね、引率者が怪我したんじゃ生徒に示しがつかないからね」
「は、はい、気をつけます・・・」聡志は胸を撫で下ろした。
「ところで、市場先生は水泳の国体選手だったんですよね?今は面影もないけど・・・」校長はサラッと笑顔で聞いてきた。
「あ、は、はい・・・」
「しかもちょっと有名な選手だったと聞いていますけど・・・不思議ですね、昔はその体型ではなかったからですかね・・・」
「生徒からは泳ぐよりも浮いている方が得意な『浮きダルマ』と呼ばれているとかで・・・」
「えぇっ?校長・・・」
「あっ、すまんすまん市場先生・・・君を見ていると、何だかホッとしてイジりたくなってしまうんだよなぁ・・・」
「はい・・・大丈夫です、そう言う風に言われるのもう慣れっこですから・・・」聡志は大きく笑って返した。
「それでね、市場先生、ちょっといい話しを町役場から頂いてね・・・」
「良い話しですか?」
「それが我が校に屋内温水プールを新設を検討していると言うものなんだ」
「ほ、本当ですか!!」聡志は興奮し声が大きくなる。
「ただし、条件があってな・・・」
「校長、条件ですか?」
「市場先生、今度新たに新設される県のイベントで寒中水泳大会と言うものが主催されるんだけど、その大会に出て優勝する事なんだよ」
「えぇぇっ!寒中水泳大会?!優勝ですか!!!?」聡志は驚き思わず声が大きくなってしまった。
さてさて、突然の寒中水泳大会の提案に戸惑いを隠せない聡志だが・・・
前編はここまでになります。これまでご精読いただきましてありがとうございました。
寒中水泳大会と聡志と長田の関係は今後どのようになって行くのか・・・
中編に乞うご期待ください。
聡志は結局、次の日の日曜日も足の腫れが引かず、一歩も外には出られなかったからだ。
月曜日は何とか左足を地面に着く事は出来たが、固定は必要な状況であった。
聡志は車で通勤し職員室に入る年配の同僚教員から左足を心配する声を掛けられる反面、同年代の同僚教員からは茶化すような声もあった。
「水の中で捻挫するなんて珍しいですね、ダルマみたいに水に浮いてたんだって?」
「体重が重いからじゃないですか?」
「よっ!浮きダルマ!」
ご愛嬌だろうが、体育教員仲間からは特に茶化された。
最近はSNSや LINEなど、情報伝達のツールで様々な不必要な情報が漏れる時代・・・
「くそっ・・・部員の誰かが面白ろがって情報を流したな・・・」聡志は思った。
「市場先生、後で校長室まで来てもらえるかな?」職員室で聡志のネタで盛り上がっているところに校長が割って入ってきた。
「えっ、あ、は、はい、午前中の授業が終わったら伺います!」聡志はシャキッと返事をした。
「市場先生、何やらかしたんだ?」同僚の体育教師がニヤニヤしながら聞いてきた。
「俺は何も・・・」聡志は不安になった。
今日の体育の授業は体育館で、バレーボール、聡志は口頭指導のみで、まだ痛みと腫れがある左足に負担がかからないように気をつけていた。
「捻挫して、俺がスイムウェアーを長田に脱がされている姿を隠し撮りされたとか・・・」
「俺が長田の裸を見て、勃起していたのを見られたとか・・・?!」
「水泳部顧問が生徒の着替えを見てチ◯ポを勃起させてたなんてバレたら大問題だっ!俺はクビになる・・・それどころかマスコミにいいように叩かれる!」
勝手な悪い想像をし、聡志の顔はどんどんと青ざめて行く・・・
「先生、顔色悪いですけど、大丈夫ですか?」何人かの生徒が聡志に声を掛けてきた。
「あっ、だ、大丈夫だっ!」聡志はいらぬ妄想から我に返った。
午前中の授業は終わり聡志は恐る恐る校長室に向かった。
校長室の前で深呼吸をし、校長室のドアをノックした。
「どうぞ~」
「はい、失礼します!」
「おぉ、市場先生、忙しいのにすまんね・・・足の具合は大丈夫かい?」
「うわぁ、校長まで知ってるのか・・・」聡志は思った。
「すみません・・・」聡志は深々と頭を下げた。
「うん?!別に謝らんでもいいよ、仕方ないだろう?怪我したのは・・・」
「えっ?足?!」
「怪我したんだろう?足を」
「あっ、はい、不注意で捻挫くらいですけど・・・」
「まあ気をつけてね、引率者が怪我したんじゃ生徒に示しがつかないからね」
「は、はい、気をつけます・・・」聡志は胸を撫で下ろした。
「ところで、市場先生は水泳の国体選手だったんですよね?今は面影もないけど・・・」校長はサラッと笑顔で聞いてきた。
「あ、は、はい・・・」
「しかもちょっと有名な選手だったと聞いていますけど・・・不思議ですね、昔はその体型ではなかったからですかね・・・」
「生徒からは泳ぐよりも浮いている方が得意な『浮きダルマ』と呼ばれているとかで・・・」
「えぇっ?校長・・・」
「あっ、すまんすまん市場先生・・・君を見ていると、何だかホッとしてイジりたくなってしまうんだよなぁ・・・」
「はい・・・大丈夫です、そう言う風に言われるのもう慣れっこですから・・・」聡志は大きく笑って返した。
「それでね、市場先生、ちょっといい話しを町役場から頂いてね・・・」
「良い話しですか?」
「それが我が校に屋内温水プールを新設を検討していると言うものなんだ」
「ほ、本当ですか!!」聡志は興奮し声が大きくなる。
「ただし、条件があってな・・・」
「校長、条件ですか?」
「市場先生、今度新たに新設される県のイベントで寒中水泳大会と言うものが主催されるんだけど、その大会に出て優勝する事なんだよ」
「えぇぇっ!寒中水泳大会?!優勝ですか!!!?」聡志は驚き思わず声が大きくなってしまった。
さてさて、突然の寒中水泳大会の提案に戸惑いを隠せない聡志だが・・・
前編はここまでになります。これまでご精読いただきましてありがとうございました。
寒中水泳大会と聡志と長田の関係は今後どのようになって行くのか・・・
中編に乞うご期待ください。
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