7 / 16
2話
治療開始
しおりを挟む
私はなるほどね、と相づちを打ち、彼の体をベッドに押しつけようとした。
「朝木くん、今日は本当に動かないでね」
「でも、俺が協力を頼んでいる立場なのに何もしないっていうのは」
「もう……そうやって相手を優先しなくても良いの」
朝木くんの肩をぐっと押し、倒れた姿を見下ろす体勢になる。
もちろん朝木くんの気遣いは嬉しいし、前回は私も気持ちよくしてもらったけど……今日はこの子優先だ。
それでも、と踏ん切りのついていない彼の顔を見つめる。
「いいから、いいから。ほら、力抜いて」
彼の頬と、それからむき出しになっている腹筋を撫でながら、私はにっこりと微笑んだ。
「相手を楽しませようとか気持ちよくさせようとか、今は考えないでいいの。今日は私に任せて?」
「先輩……」
彼の瞳がじわりと濡れる。
元からこんなに泣く子だったんだろうか。
仕事をしている時とはまた違う表情を見て、なぜだか胸の奥が締めつけられた気がした。
「朝木くんって結構泣き虫なんだ。……こっちは立派なのにね」
謎の感覚に気づかない振りをして、場の空気を和ますように言う。
朝木くんはなんとも言えないような顔をしていたけれど、私が下半身をなぞると、唇から吐息を漏らした。
「あっ……」
「まだなぞってるだけだよ、そんなに気持ちいい?」
声を落として囁くと、彼の耳は見る見る赤くなった。
「可愛いね」
「っ、……先輩、いつもと性格違いません?」
「そうかな?」
言われて初めて気づく。
確かに今の私は、普段と性格が異なっているかもしれない。
迷いが吹っ切れたので乗り気になっている部分があるのは否めないし……。
「いつもだったら、そんなに意地悪なことはしてこないじゃないですか」
「ごめん、朝木くんが可愛くて、つい」
厚みのある腹筋に口づけながら笑いかけると、朝木くんは唇をわなわなと震わせた。
「可愛いって言われても嬉しくないですよ……っ」
すり、すり、と竿にそって指をなぞるように動かしていると、彼の声が上擦った。
そろそろパンツの中に収まるのは苦しいかな? と下腹部を観察する。
下着をずらしてあげると、布の向こうから元気な塊が現れた。
それを握って擦るとまた一回り大きくなって跳ね、お腹までついちゃいそうになる。
「本当に嬉しくないの? こっちはかなり反応してるけど」
「……それは……先輩が、触るからです」
語尾は小さく、説得力のないものだ。
多分可愛いって言われるの、本当は嬉しいんだろうな。
だんだん彼の真意を汲み取れるようになってきた……気がする。
「じゃあもっと触ろっか」
反り返った熱を握り、先走った汁を利用して上下にこする。
温度の上がった塊はぐんと膨れ、片手だけで簡単に包むのが難しくなった。
「く……っ」
「まだダメだよ」
焦らしている時に浮かべる表情が愛らしくて、ついつい触り続けていると、血管が浮き出ている朝木くんのものが苦しそうに揺れた。
「一回手で抜いてあげてもいいんだけど、今回はちょっと試したいことがあるから、また後でね」
「抜い……」
私の言葉を復唱しかけた彼の頬が朱色に染まる。
彼は私から目をそらし、視線を伏せた。
「先輩、言葉の選び方が、その……」
どうやら今の発言が引っかかったらしい。
前回なんてお互いに裸を晒しているのに、今更何を照れるというのだろう。ピュアなの?
「そんなの気にしてられないでしょ」
まあ確かに、と返事をした朝木くんが唇を噛む。
言いたいことはなんとなく察したけれど、恥ずかしいとかそういうのはもう言っていられない。
「横向きで寝転がってもらえる? あ、布団抱えた方が落ち着くかも」
ふかふかの布団をまるめて持たせ、朝木くんの体をごろりと寝転ばせると、大きくて無防備な背中が現れた。
無駄のないすらりとした体を見ているうちにほんの少しの悪戯心が芽生えて、綺麗な形をした耳に息を吹きかける。
「んっ……!?」
「ふふ、くすぐったかった?」
びくっと体が跳ね動き、顔を真っ赤にした彼が私の方を見た。
その眼差しは責めるような色をしている。
「からかうのはやめてください……」
「はーい。……じゃあ気を取り直して、力を抜いてね」
朝木くんの顔を正面に戻し、前もって準備していたオイルを手に取る。
私がごそごそと動いているのを不審に思ったのか、朝木くんはほんの少し怯えたように声を潜めた。
「何をするんですか?」
「マッサージだよ」
オイルの蓋を開けて、手の平に液体を出す。
ひんやりとした液体を体温で少し温めてから、朝木くんの首から背中に広げた。
「緊張が抜けないと勃たないこともあるから、リラックスするといいんだって」
まあもう勃ってるんだけど、と付け足すと、彼は気まずそうに肩を落とした。
「う……なんだかすみません」
申し訳ないと言いたげな表情で布団を抱きしめている姿は、なんとも可愛らしい。
普段は周りからかっこいいって言われているのにね――と、一人で優越感に浸りそうになり、今はそんなことを考えている場合ではないと我に返った。
「肩、凝ってるね~。最近デスクワーク多めだったからかな?」
「一応帰ってからストレッチはしているんですけどね」
「整体通ってみたら? おすすめのところあるんだ」
雑談を交え、緊張を解きほぐすように揉んでいく。
素人なのでプロのようには出来ないけれど、それでも朝木くんは気持ちよさそうに体から力を抜いていた。
リラックスしてるね~と声をかけながら、彼の耳元に唇を寄せる。
「まあ、整体院だとこの辺りはやってくれないか」
足の付根ぎりぎりの部分を撫でながら、耳たぶに触れそうな距離まで顔を近づける。
すると、目の前にある耳が林檎みたいに色づいた。
「耳、真っ赤だよ。可愛いなあ」
「せ、先輩、やめてくださいよ……!」
本日何度目かのごめん、を口にして、オイルを足して肩や背中を撫でる。
「お客様、気持ちいいですか~?」
肩甲骨の上をなぞると、ゴツゴツとした筋肉の感触が伝わってきた。
普段は意識してなかったけど……まさに男の人の体って感じがして、ちょっとドキドキするかも。
私は心拍数が速まったのを悟られないように、軽く咳払いをした。
手の平越しに触れる体温がどんどん熱くなっていき、朝木くんの呼吸も乱れ始める。
「……っ……先輩、撫で方がやらしいですね」
凝りを解すように強弱をつけて触っていると、そんな事を言われた。
「まあ、普通のマッサージが目的じゃないから」
脇腹から下腹の際どい部分まで、少しでも気分が盛り上がるように考えながら手を這わせる。
でも、そろそろ次の行動に移ろうかな。
「朝木くん、今日は本当に動かないでね」
「でも、俺が協力を頼んでいる立場なのに何もしないっていうのは」
「もう……そうやって相手を優先しなくても良いの」
朝木くんの肩をぐっと押し、倒れた姿を見下ろす体勢になる。
もちろん朝木くんの気遣いは嬉しいし、前回は私も気持ちよくしてもらったけど……今日はこの子優先だ。
それでも、と踏ん切りのついていない彼の顔を見つめる。
「いいから、いいから。ほら、力抜いて」
彼の頬と、それからむき出しになっている腹筋を撫でながら、私はにっこりと微笑んだ。
「相手を楽しませようとか気持ちよくさせようとか、今は考えないでいいの。今日は私に任せて?」
「先輩……」
彼の瞳がじわりと濡れる。
元からこんなに泣く子だったんだろうか。
仕事をしている時とはまた違う表情を見て、なぜだか胸の奥が締めつけられた気がした。
「朝木くんって結構泣き虫なんだ。……こっちは立派なのにね」
謎の感覚に気づかない振りをして、場の空気を和ますように言う。
朝木くんはなんとも言えないような顔をしていたけれど、私が下半身をなぞると、唇から吐息を漏らした。
「あっ……」
「まだなぞってるだけだよ、そんなに気持ちいい?」
声を落として囁くと、彼の耳は見る見る赤くなった。
「可愛いね」
「っ、……先輩、いつもと性格違いません?」
「そうかな?」
言われて初めて気づく。
確かに今の私は、普段と性格が異なっているかもしれない。
迷いが吹っ切れたので乗り気になっている部分があるのは否めないし……。
「いつもだったら、そんなに意地悪なことはしてこないじゃないですか」
「ごめん、朝木くんが可愛くて、つい」
厚みのある腹筋に口づけながら笑いかけると、朝木くんは唇をわなわなと震わせた。
「可愛いって言われても嬉しくないですよ……っ」
すり、すり、と竿にそって指をなぞるように動かしていると、彼の声が上擦った。
そろそろパンツの中に収まるのは苦しいかな? と下腹部を観察する。
下着をずらしてあげると、布の向こうから元気な塊が現れた。
それを握って擦るとまた一回り大きくなって跳ね、お腹までついちゃいそうになる。
「本当に嬉しくないの? こっちはかなり反応してるけど」
「……それは……先輩が、触るからです」
語尾は小さく、説得力のないものだ。
多分可愛いって言われるの、本当は嬉しいんだろうな。
だんだん彼の真意を汲み取れるようになってきた……気がする。
「じゃあもっと触ろっか」
反り返った熱を握り、先走った汁を利用して上下にこする。
温度の上がった塊はぐんと膨れ、片手だけで簡単に包むのが難しくなった。
「く……っ」
「まだダメだよ」
焦らしている時に浮かべる表情が愛らしくて、ついつい触り続けていると、血管が浮き出ている朝木くんのものが苦しそうに揺れた。
「一回手で抜いてあげてもいいんだけど、今回はちょっと試したいことがあるから、また後でね」
「抜い……」
私の言葉を復唱しかけた彼の頬が朱色に染まる。
彼は私から目をそらし、視線を伏せた。
「先輩、言葉の選び方が、その……」
どうやら今の発言が引っかかったらしい。
前回なんてお互いに裸を晒しているのに、今更何を照れるというのだろう。ピュアなの?
「そんなの気にしてられないでしょ」
まあ確かに、と返事をした朝木くんが唇を噛む。
言いたいことはなんとなく察したけれど、恥ずかしいとかそういうのはもう言っていられない。
「横向きで寝転がってもらえる? あ、布団抱えた方が落ち着くかも」
ふかふかの布団をまるめて持たせ、朝木くんの体をごろりと寝転ばせると、大きくて無防備な背中が現れた。
無駄のないすらりとした体を見ているうちにほんの少しの悪戯心が芽生えて、綺麗な形をした耳に息を吹きかける。
「んっ……!?」
「ふふ、くすぐったかった?」
びくっと体が跳ね動き、顔を真っ赤にした彼が私の方を見た。
その眼差しは責めるような色をしている。
「からかうのはやめてください……」
「はーい。……じゃあ気を取り直して、力を抜いてね」
朝木くんの顔を正面に戻し、前もって準備していたオイルを手に取る。
私がごそごそと動いているのを不審に思ったのか、朝木くんはほんの少し怯えたように声を潜めた。
「何をするんですか?」
「マッサージだよ」
オイルの蓋を開けて、手の平に液体を出す。
ひんやりとした液体を体温で少し温めてから、朝木くんの首から背中に広げた。
「緊張が抜けないと勃たないこともあるから、リラックスするといいんだって」
まあもう勃ってるんだけど、と付け足すと、彼は気まずそうに肩を落とした。
「う……なんだかすみません」
申し訳ないと言いたげな表情で布団を抱きしめている姿は、なんとも可愛らしい。
普段は周りからかっこいいって言われているのにね――と、一人で優越感に浸りそうになり、今はそんなことを考えている場合ではないと我に返った。
「肩、凝ってるね~。最近デスクワーク多めだったからかな?」
「一応帰ってからストレッチはしているんですけどね」
「整体通ってみたら? おすすめのところあるんだ」
雑談を交え、緊張を解きほぐすように揉んでいく。
素人なのでプロのようには出来ないけれど、それでも朝木くんは気持ちよさそうに体から力を抜いていた。
リラックスしてるね~と声をかけながら、彼の耳元に唇を寄せる。
「まあ、整体院だとこの辺りはやってくれないか」
足の付根ぎりぎりの部分を撫でながら、耳たぶに触れそうな距離まで顔を近づける。
すると、目の前にある耳が林檎みたいに色づいた。
「耳、真っ赤だよ。可愛いなあ」
「せ、先輩、やめてくださいよ……!」
本日何度目かのごめん、を口にして、オイルを足して肩や背中を撫でる。
「お客様、気持ちいいですか~?」
肩甲骨の上をなぞると、ゴツゴツとした筋肉の感触が伝わってきた。
普段は意識してなかったけど……まさに男の人の体って感じがして、ちょっとドキドキするかも。
私は心拍数が速まったのを悟られないように、軽く咳払いをした。
手の平越しに触れる体温がどんどん熱くなっていき、朝木くんの呼吸も乱れ始める。
「……っ……先輩、撫で方がやらしいですね」
凝りを解すように強弱をつけて触っていると、そんな事を言われた。
「まあ、普通のマッサージが目的じゃないから」
脇腹から下腹の際どい部分まで、少しでも気分が盛り上がるように考えながら手を這わせる。
でも、そろそろ次の行動に移ろうかな。
10
あなたにおすすめの小説
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる