後輩の××を治療することになりまして!?

なぎさ伊都

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2話

気づき

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待ち合わせたのは、会社から離れた距離にあるラブホテルだ。
仕事で一緒に過ごす時間が多い以上、社内恋愛をしているとかあらぬ誤解があってはいけないのでそこを指定した。

「先輩、お待たせしました」
シャワーを浴び、下着姿になった朝木くんが室内に入ってくる。
彼が来る直前まで、私はスマホの画面を見つめていた。
絶対に朝木くんの悩みを解決してみせると決めたのだ、予習は欠かせない。
「じゃあ、今日も早速やっていこうか」
深呼吸してから声を掛けると、彼は小さく頷く。
「は、はい……」
照れているのか頬が真っ赤だ。
初心な乙女か? というツッコミを心の中でしながら、私はスマホをテーブルに置いた。
「それじゃあベッドに座って」
こくり、もう一度頷きが返される。
私はベッドに腰掛ける朝木くんの隣に寄り添った。

「あのね、色々と調べたんだけど――病気が原因じゃないなら、多分心因性のEDなんだと思う」
「そうですね。確かに色々と検査もしましたけど、病気にかかっているわけではなかったので」
私は専門家じゃないので詳しい解決方法は分からない。
でも、一人じゃ解決できない事も、二人の知恵を出せばなんとか出来る気がしていた。
これまで彼と取り掛かってきた仕事と同じように。
「元気になってね」
さすさす、とパンツの上から朝木くんのものを撫で、早く元通りになりますようにとおまじないをかける。
優しく、優しく触れていると、私の声に起こされたみたいに手のひらの下のそれが反応した。
「……本当に、まったく反応しないってわけじゃないんだよね」
「挿れなければ大丈夫みたいなんですよ。その……自分でする時も普通に勃ちますし」
朝木くんが視線を彷徨わせる。
自分でする時とエッチをする時で、何が違うんだろう。
「うーん、どうしてだろう?」
悩みながらも手の動きは休めない。
それよりも、この前は気づかなかった、というか気づいてもちゃんと指摘する余裕がなかったんだけど……。

「朝木くんのって、結構大きいよね?」
「……」
彼は肯定も否定もせず言葉を飲み込んでいる。
ただ沈黙を貫く口とは違って、耳が真っ赤だった。
照れてるんだ。可愛い。
「大きさを自慢する人もいるけど、朝木くんは違うんだね」
「……俺の場合は、あんまり良い思い出がなくて」
あらら、女の子が痛がっちゃったとかなのかな。
確かにこれを挿れるとなると、結構解さないときついかもなあ……。
と考えながら、パンツ越しのそれをなぞってみる。
塊がどんどん膨らむ姿が面白くて、つい夢中になりそうになった。
「そんなに見つめて面白いですか」
「うん。大きいしすぐに硬くなるし、興味深いなーと思って」
布越しではこれが限界かな、というところまで大きくなる。
それでも自分の手首くらいの太さはありそうだ。
前回はこれよりもっと存在感があったので、恐らく直で触ったり色々すれば完全体になるのだろう。
「他の人と比べたことはないんですけど、先輩が言うなら……そういう部類に入るんだと思います。前に付き合ってた子も、最初は痛そうだったんで」
「ええ……私とこういうことしてる時に元カノの話する?」
唇を尖らせると、朝木くんは目を見開いてから眉を下げた。
「あっ……すみません」
「嘘、冗談だよ。気にしないで。朝木くんの歴代彼女の話ならよく聞いてたし」
その言葉に嘘はなく、私は彼の恋愛話を何度も聞いてきた。
むしろ相談に乗っていた時期もあるくらいだ。
私がもし朝木くんに恋心を抱いていたらやきもちの一つや二つ抱いたと思うけど、そういうわけではないので特に何とも思わなかった。
「私も朝木くんに元彼の話したことあるでしょ? ほら、私が仕事に夢中になってたら振られた人とか、二股かけてた人とか……」
「……確かにそうですね」
ぎこちない雰囲気を誤魔化すために言葉を発したけれど、朝木くんはどこか不服そうな顔をしていた。
……なんでだろう? 何かデリカシーのない発言でもしたかな。

それはさておき。
本人の申告を聞く限り、サプリや薬はすでに試しているだろう。
じゃあ何を試していないかっていうと、多分相手があっての治療法だと思う。
「EDが原因で前の彼女と振られたんだよね? その時って、どこまで試した?」
「ええと……クリニックでのカウンセリングは一応。あと薬を飲んでからも実践したんですけど、挿れる直前になると毎回萎えてました」
「もうひとつ確認したいんだけど、彼女にその件って伝えてた?」
「いえ、勃たなくなった事は知ってましたけど、治療のことまでは。嫌われそうな気がして言えませんでした」
「そっか」
気遣い屋さんな彼のことだから、当時の彼女を気持ちよくさせたいっていう思いが前に出ていて、余計に焦ってダメだったのでは……というのが私の推測。
その点事情を知っている私なら彼が気遣うことは何もないはずなので、私が相手をして少しずつでも前進できるようにしてあげたい。
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