女神に同情されて異世界へと飛ばされたアラフォーおっさん、特S級モンスター相手に無双した結果、実力がバレて世界に見つかってしまう

サイダーボウイ

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第2章

17話

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「朝一にすみません。いろいろと助かりました」

 ゲントは礼儀正しく頭を下げる。
 今、とある店先である物を受け取りにやって来ていた。

「はっはっは。そんなかしこまらなくたっていいさ。こっちも久しぶりの注文で嬉しかったんだからよ」

 恰幅のいい若大将がゲントに手渡す。
 それは、滑らかに光る青銅の剣だった。

「それ持ってダンジョンに行くんだろ?」

「はい。そうなんです」

「あんたみたいな野良のおっさん見てるとさ、こっちも応援したくなるのよ。ギルドの連中なんて差別主義者の集まりだからな? 若い冒険者なんかに負けるなよ」

「ありがとうございます」

 ゲントはもう一度深く礼をしてから店をあとにした。



「マスター! よかったですねっ☆」

「うん。これで準備はばっちりだ」

 実は今、ゲントたちはテラスタル領を離れ、そのさらに南方にあるオレキア領へとやって来ていた。

 ここはオレキア領のちょうど中心に位置するコンロイという町で、エコーズと同じく領都でもあった。
 そのため、町としての機能は充実し、大抵の店は揃っている。

 ゲントがなによりも嬉しかったのは、武器屋と防具屋が揃ってあったことだ。
 今出てきた店は武器屋だったのだ。

(まさか剣と防具が揃っちゃうなんてな)

 青銅の剣を鞘に収めながら、毛皮の外套マントに手を当てる。
 足元も革ブーツから鉄靴サバトンへと変わっていた。

「バヌーさんたちに出会えてホントよかったですね~っ!」

「そうだね」

「小籠包も食べられましたし! ほかにもおいしい食事ができてルルム満足ですぅ~~♪」

 ルルムが嬉しそうに羽をぱたぱたとさせて宙で一回転する。

 こうして自由に買い物ができたのも、バヌーが前払いの報酬として金貨を3枚渡してくれたからだった。

 ちなみに、この異世界における通貨レートは以下のとおりである。

==================================

【フィフネルの通貨】

〇金貨1枚=10,000yen

〇銀貨1枚=5,000yen

〇銅貨1枚=1,000yen

〇青銅貨1枚=100yen

==================================

 この金貨を100枚集めることができれば、もとの世界へ戻ることができるわけだ。

(おかげでここ数日は宿屋に泊まれてるし、温かい食事にもありつけてるんだよね)

 またゲントは、農家の者にもきちんと謝罪をしていた。
 罪滅ぼしのため、金貨2枚を差し出すと喜んで許されてしまう。

 これもすべてバヌーのおかげだ、とゲントは考えていた。
 
(ここまでしてもらったんだからちゃんと恩を返さないと)

 ルルムと一緒に歩きながらゲントはそう再認識する。

 今日はこのあと、コンロイの近くにある『幻影飛魔天』というダンジョンで、バヌーたちとクエストの攻略をする予定となっていた。

 待ち合わせの時刻である正午までは、まだまだ余裕がある。

(昨日のうちに宿屋でオレキア領周辺の地図も確認したし。あとは馬車を借りて現地へ向かうだけだな)

 はじめてパーティーと一緒にダンジョンに入るということもあって、ゲントは少し緊張していた。
 この前とは違い、今回は報酬の発生する正規の仕事として働くことになる。

 だからこそ、ゲントは武器や防具をひととおり揃えたりした。

(まさか視えない剣で戦うわけにもいかないしね)

 もちろん、これから入るダンジョンの情報収集も抜かりなく行っていた。

 クライアントのニーズは徹底的に調べ上げてから自社商材の提案を行う。
 営業マンとして守ってきた鉄則がここでも活かされた形だ。

「あっ! マスター。あそこじゃないですか~?」

 ルルムが指をさして宙で立ち止まる。
 どうやら馬車を貸し出している店を見つけたらしい。

 正直な話、馬車を借りずとも、アビリティの力だけで目的地のダンジョンへはあっという間に到着することができる。

 今回、ゲントが馬車を借りるのは周囲の目を気にしたためだ。

(まさか大草原を爆走する姿を見られるわけにもいかないから) 

 ただでさえ、40のおっさんというだけで目立ちまくっているのだ。
 これから仕事をする上で余計な噂は立てたくない、というのがゲントの心情だった。

 そんな思いの中、ゲントは御者に声をかけた。



 ***



 それから。

 大草原に目を向けながら、馬車に揺られること1時間近く。

 ゲントは無事に目的地の付近へと到着する。

「ありがとうございました」

 両替しておいた青銅貨を5枚御者に渡してから、草むらの上に降り立つ。

「う~ん! のどかで気持ちのいいところですね~♡」

 ルルムは大きく伸びをしてまわりを見渡していた。
 青々とした山々が遠くの方に覗ける。

 きっとあの先はロザリアとはべつの国に繋がっているのだろう。
 五ノ国のスケールを肌で感じながら、ゲントは地図を片手にさらに奥へと進む。

 しばらくしてダンジョンの入口が見えてきた。

「あっ! もう先に来てるみたいですよっ!」

 ルルムが指さす先には人影があった。

 だが。

(あれ・・・?)

 そこに人影は1つしかない。

「レモンさんだけだね」

「ほぇっ?」

 駆け足で向かうと、ゲントはレモンと合流を果たす。

「すみません。遅くなりました」

「ううん。まだ約束の時間までだいぶあるし」

「・・・てことは、バヌーさんたちはまだなんですね」

 別々にやって来るのだろうと思い、そんな風に訊ねるゲントだったが。
 レモンは予想外の言葉を口にする。

「あいつらなら来ないよ」

「え?」

「今日はウチとあなたの2人だけだから。さあ、行きましょう」

 そう言ってレモンは魔弾銃を肩にかけると、ダンジョンの入口へと向かっていく。

「どーゆうことなんでしょうっ??」

「なにか事情があって来れなくなったんじゃないかな」

「あっ、なるほどっ!」

「俺たちも続こう」

「らっじゃーですっ♪」
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