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2章
第30話
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シュルルルル。
その時。
手にした【アサシンレイピア】が突然灰と化すように消失してしまう。
武器が壊れたんだ。
(再現度99%だったのに、マジか)
これはさすがに想定していなかった。
俺はとっさに魔法袋に手を突っ込むと【だまし忍幕】を取り出してそれを前に投げ入れる。
ドボーン!
目の前に巨大な魔法の煙幕が発生し、それが相手の攻撃を弾き返した。
「エルハルト! そんなことをしても一時しのぎにしかならないのですよ!」
もちろんそんなことは分かってる。
【だまし忍幕】の効果が切れたらその時点で俺の死は確定だ。
(そろそろ潮時だな)
一撃当てるのが難しい状況だったから相手のマナが枯渇するタイミングを待って反撃しようって考えていたんだが。
相手が本気で殺しにかかっている以上、こっちも余裕ぶっている状況ではなさそうだ。
(チノがどう出るか分からなかったから温存していたがもうその必要もなさそうだ)
上位魔法の上には最上位魔法も存在するんだが、そんなものを連続で放ったら膨大なマナに体をぶち壊されてしまう。
前世でそれらの魔法を習得した経験がある俺にはそれが分かっていた。
つまり相手の攻撃はこれで頭打ちの可能性が高い。
ならば、こいつらをそろそろ使っても問題ないだろう。
【だまし忍幕】が怒涛の攻撃を防いでいる間。
俺は魔法袋の中から【シルファリス竜輪】と【煌星の時水晶】を取り出した。
錬金鍛冶師としてこれまで多くの武器を作ってきた経験から分かる。
この二つのアイテムを組み合わせれば、とんでもないものが完成するって。
(今がその時だ。俺の力をここで証明してみせる)
バルハラの冒険者として相応しいってことを皆に示すんだ。
【シルファリス竜輪】と【煌星の時水晶】をそれぞれの手で持つと、アイテムに宿ったマナが集まるように意識を集中させていく。
(マナが繋がって一つの回路へ流れるように強くイメージしろ)
頭の中でそう唱えた瞬間。
二つの素材は光に包まれた状態で宙に浮かび上がった。
ここから具体的に形を構築していく。
さらに意識を集中させると【シルファリス竜輪】と【煌星の時水晶】は光り輝く一つの武器へと姿を変えた。
〝開示〟と頭の中で唱えて、脳裏に表示された武器のステータスを確認する。
------------------------------
【大天具の聖なる竜剣】
〔レアリティ〕A+
〔再現度〕40%
〔攻撃力〕5500
〔必殺技/上限回数〕銀河流・覚醒龍神剣 / 25回
〔アビリティ〕竜力Lv.5、属性耐性Lv.4、不屈Lv.3、幸運Lv.3
------------------------------
思った通りだ。
《ヴァルキリーの技巧》のスキルレベルが上がったことで、再現度や必殺技、アビリティが格段に上昇している。
(レアリティは過去最強のA+か。こいつで決着をつけるぞ)
ちょうどそのタイミングで【だまし忍幕】の効果が切れた。
俺が手に持つ【大天具の聖なる竜剣】が視界に入ったのか。
チノは嬉々としながら声を上げた。
「そんな武器を作る力があったのですか! ますますエルハルトを倒さないと気が済まないのですっ! チノも全力を出し切るのですよ!」
黄金色の魔法陣を手元に浮かべ、高速で上位魔法を連発してくる。
この速さで撃ち込まれたらさすがに回避はできない。
だが。
「効かないな、チノ」
【大天具の聖なる竜剣】を盾代わりにして俺は攻撃魔法の嵐の中を一歩一歩進んでいく。
そう。
〔属性耐性〕と〔不屈〕と〔幸運〕のアビリティが組み合わさったことにより、今の俺は魔法がまったく効かない状態となっていた。
少なくとも上位魔法程度の攻撃なら余裕でノーダメージにすることができそうだ。
「!?」
チノは捨て身で向かって来る俺の姿に気付くと大きく目を見開いた。
まさか、特攻してくるとは思っていなかったんだろう。
「う、嘘です……でたらめです……! こんなの、あり得ません……!」
ムキになってさらに勢いよく上位魔法を放ってくるチノだったが、今の俺にはそんな攻撃は通用しない。
「悪いがこれで決めさせてもらうぞ」
ゆっくりとチノに近付きながら【大天具の聖なる竜剣】を大きく振り上げる。
そして。
相手の正面に到達すると、俺は狙いを定めて必殺技を発動させた。
「今こそ煌星の剣閃を解放し竜力を以て敵を討ち伏せろ――〈銀河流・覚醒龍神剣〉」
ズバシュギギギギィィーーーーン!!
「くぅぅぅ!?」
竜剣を斬り下ろすと魔法陣は撃ち砕かれ、チノはその場で大きく吹き飛ぶ。
これにより雌雄は決したのだった。
その時。
手にした【アサシンレイピア】が突然灰と化すように消失してしまう。
武器が壊れたんだ。
(再現度99%だったのに、マジか)
これはさすがに想定していなかった。
俺はとっさに魔法袋に手を突っ込むと【だまし忍幕】を取り出してそれを前に投げ入れる。
ドボーン!
目の前に巨大な魔法の煙幕が発生し、それが相手の攻撃を弾き返した。
「エルハルト! そんなことをしても一時しのぎにしかならないのですよ!」
もちろんそんなことは分かってる。
【だまし忍幕】の効果が切れたらその時点で俺の死は確定だ。
(そろそろ潮時だな)
一撃当てるのが難しい状況だったから相手のマナが枯渇するタイミングを待って反撃しようって考えていたんだが。
相手が本気で殺しにかかっている以上、こっちも余裕ぶっている状況ではなさそうだ。
(チノがどう出るか分からなかったから温存していたがもうその必要もなさそうだ)
上位魔法の上には最上位魔法も存在するんだが、そんなものを連続で放ったら膨大なマナに体をぶち壊されてしまう。
前世でそれらの魔法を習得した経験がある俺にはそれが分かっていた。
つまり相手の攻撃はこれで頭打ちの可能性が高い。
ならば、こいつらをそろそろ使っても問題ないだろう。
【だまし忍幕】が怒涛の攻撃を防いでいる間。
俺は魔法袋の中から【シルファリス竜輪】と【煌星の時水晶】を取り出した。
錬金鍛冶師としてこれまで多くの武器を作ってきた経験から分かる。
この二つのアイテムを組み合わせれば、とんでもないものが完成するって。
(今がその時だ。俺の力をここで証明してみせる)
バルハラの冒険者として相応しいってことを皆に示すんだ。
【シルファリス竜輪】と【煌星の時水晶】をそれぞれの手で持つと、アイテムに宿ったマナが集まるように意識を集中させていく。
(マナが繋がって一つの回路へ流れるように強くイメージしろ)
頭の中でそう唱えた瞬間。
二つの素材は光に包まれた状態で宙に浮かび上がった。
ここから具体的に形を構築していく。
さらに意識を集中させると【シルファリス竜輪】と【煌星の時水晶】は光り輝く一つの武器へと姿を変えた。
〝開示〟と頭の中で唱えて、脳裏に表示された武器のステータスを確認する。
------------------------------
【大天具の聖なる竜剣】
〔レアリティ〕A+
〔再現度〕40%
〔攻撃力〕5500
〔必殺技/上限回数〕銀河流・覚醒龍神剣 / 25回
〔アビリティ〕竜力Lv.5、属性耐性Lv.4、不屈Lv.3、幸運Lv.3
------------------------------
思った通りだ。
《ヴァルキリーの技巧》のスキルレベルが上がったことで、再現度や必殺技、アビリティが格段に上昇している。
(レアリティは過去最強のA+か。こいつで決着をつけるぞ)
ちょうどそのタイミングで【だまし忍幕】の効果が切れた。
俺が手に持つ【大天具の聖なる竜剣】が視界に入ったのか。
チノは嬉々としながら声を上げた。
「そんな武器を作る力があったのですか! ますますエルハルトを倒さないと気が済まないのですっ! チノも全力を出し切るのですよ!」
黄金色の魔法陣を手元に浮かべ、高速で上位魔法を連発してくる。
この速さで撃ち込まれたらさすがに回避はできない。
だが。
「効かないな、チノ」
【大天具の聖なる竜剣】を盾代わりにして俺は攻撃魔法の嵐の中を一歩一歩進んでいく。
そう。
〔属性耐性〕と〔不屈〕と〔幸運〕のアビリティが組み合わさったことにより、今の俺は魔法がまったく効かない状態となっていた。
少なくとも上位魔法程度の攻撃なら余裕でノーダメージにすることができそうだ。
「!?」
チノは捨て身で向かって来る俺の姿に気付くと大きく目を見開いた。
まさか、特攻してくるとは思っていなかったんだろう。
「う、嘘です……でたらめです……! こんなの、あり得ません……!」
ムキになってさらに勢いよく上位魔法を放ってくるチノだったが、今の俺にはそんな攻撃は通用しない。
「悪いがこれで決めさせてもらうぞ」
ゆっくりとチノに近付きながら【大天具の聖なる竜剣】を大きく振り上げる。
そして。
相手の正面に到達すると、俺は狙いを定めて必殺技を発動させた。
「今こそ煌星の剣閃を解放し竜力を以て敵を討ち伏せろ――〈銀河流・覚醒龍神剣〉」
ズバシュギギギギィィーーーーン!!
「くぅぅぅ!?」
竜剣を斬り下ろすと魔法陣は撃ち砕かれ、チノはその場で大きく吹き飛ぶ。
これにより雌雄は決したのだった。
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