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そして43 そして当たり前の日常に。

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 「最近、ひまりん来ないデスね?」

 の最新作に身を包み、バイトに励むしおりん。

 衣装は今人気の学園アニメの制服だ。

 「最近、忙しいデスからね!

 昨日、バラエティ番組にゲストで出演してましたよ。」


 同じくしおりんとついと成っている衣装に身を包んでいるヒロくん。

 彼も同アニメの制服…だけども、上は女子用で下はに見間違えそうなホットパンツなのだが、ヒロ君はそのアニメを知らないので、あえて説明していない。

 高校男子の制服がホットパンツって無いよって、ヒロ君だとソレが有りだから恐ろしい。

 さて、
 
 改名してからヒーローメイクに変えた陽毬さんは正に人気レスラーになった。

 元が良かったからね。


 またのスタイリスト等のスタッフがいる様で、今や芸能人扱いだ。

 専属ねぇ~?


 ソレと後輩レスラーが「デスソース」のリングネームを襲名したいと懇願されてる様だ。

 最近、陽毬さん達の団体に入団希望者が来る様になって、さんがテストして篩に掛けてるらしい。


 「すいませ~ん、お姉ちゃんから頼まれたんですけど?」


「あ、まるおくんだ。

 ヤッホー!」


 「まるおじゃねぇ~し、まる子でもないデス!」

 「いっくん、いらっしゃいませ!」

 陽毬さんの弟、中学生の一輝くん。

 時々、お店に来てくれる。

 彼自身、好みの漫画を探しにきたり、お姉陽毬さんに頼まれた漫画を買いに来たりと、もう立派な常連だ。

 ちなみに彼が好きな漫画は、偶然知り合った年上のお姉さんに餌付けされる脳筋系スポーツ男子高校生の話しだ。

 
 
 「ねぇしおりさん、今度の休み空いてませんか?

 お姉ちゃんから観戦チケットもらったんで、観に行きませんか?」


 「いいな~、ボクも行って良い、いっくん?」

 「何でのデートについてくるんだよ、馬鹿なの、この男の娘は?」

 ヒロ君に容赦無い一輝くん、言動はお姉ちゃんとは随分違うけど、姉弟仲は良いみたい?


 「…あの、しおりはまだ行くとは言ってませんけど。」



 何か新しい関係性が出来始めているけど、
 まぁココはココで、先は楽しみだけど。





 さて、

 俺はと言えば、

 「いらっしゃいませ、お客様が探していたソフト入荷しましたけど、どうしますか?」



 多少詳しいオタクな知識で、お客様に喜んでもらえる接客をしている俺。



 「ネコさん、アダルトのヘルプ頼めますか?」

 「了解、5分待って。」

 内線電話で呼び出される、
 相変わらず、便に使われてるが、一応バイトリーダーって事で、ココで働いている。


 バイトの後輩も増えて、仕事の内容も複雑になってきた。


 新品アダルト商品の仕入れの一部を任せてもらえる事になったからだ。

 「お待たせしました、。」


 「悪いね、混んできたから2レジ開けてくれるかな。」


 明日イベント撮影会がある為、対象品のDVDとBlu-rayソフトを購入するお客様でレジが混み出してきたので、レジ2台体制で対応する事に。

 「すいません、先輩!

 ボクがまだ慣れてなくて!」

 やっとこのアダルトコーナーに新人が入ったのだけど、混雑し始めたレジ業務に慌ててしまいそう。

 お客様の中には事で不快に感じ、怒り出す前にのヘルプなんだ。


 「はーい、こちらでもお会計出来ま~す!」


 新人に目配せでフロアーでする様に指示を出す。

 おそらく閉店までこんな感じだろう。


 


 「お疲れ様、バイトリーダーも大変だね、ネコ盛さん、」

 「お疲れ様、シオタさん。

 今日、陽毬さん来ていたかな?」


 「ううん、来てないよ。今日は理央さんだけかな?

 あ、でもね、いっくんが良く来るかな?

 あの子、しおりんが好きみたいなの!

 可愛いよね!」

 「俺、モノ凄く睨まれるんですけ?」


 休憩中の会話。


 から、俺が「マリさん」から「陽毬さん」呼びになった事に特別シオタさん。


 「ひまりんが「本名唐沢 陽毬」で再デビューした理由って、さんはご存知ですか?」


 えっ⁈

 いきなりソレ?

 ってか、その質問なんだね?

 「一応、相談されたよ。

 いつまでも下積みの役は嫌だからって。」


 もう彼女は実力的に十分強い、なんでもお父さんに柔道を教わっていた時期があるそうだ。

 基礎みたいなモノはあったんだな。


 「それだけじゃないですよ。

 陽毬ひまりさん、もしもの時はさんを養うつもりなんですから。

 お金を稼げる様にと考えての事デスよ!」



 ハイハイ、そんな気はしていましたよ、でも…ね?



 「私も負けませんから、ひまりんと真っ向勝負デス!」

 「は?」


 「なので、私が大学に合格したら「シズカ」って呼んでもらいますから、ね!」 


 「はぁ、わかった。」


 それしか言えない俺を笑顔で見つめて、

 「あ、そろそろ休憩終わりですね!先に売り場に戻ります。」


 と言うと…


 キスされた。

 「は、初めてデスから…。」


 と、かけ戻っていった。


 「…嘘だろ…こんなの?」


 そんな俺たちの様子をネコ達だけが見ていた。
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