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その十 電話での問い合わせは…
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探してるモノがあるからと、質問の電話が最近やたらと増えた。
大体が遠方からの問い合わせだ。
しかも、
「昭和の少女漫画の在庫を教えてください。」
なんて言うのモノから、
「古い成人漫画とか有りますか?」
なんてモノまで?
その理由は
「家にパソコンとか無いので、画像とか見れないんですよ、他のお店だとホームページを見てくださいの一点張りで相手にしてくれなくて?」
大手には出来ないサービスで顧客を獲得したいコチラとしては、袖に出来ない案件なのだ…
「…なのだ…って、そのほとんどが「オレの担当」なんですけど?」
そうなのだ、何故か俺がその「電話応対対応係」に任命された。
「いや、猫守くんって、そういうの得意そうだからさぁ?
なんていうの、適材適所みたいな?」
店長、ソレ丸投げって言いません?
まぁ画像が見れないお客さんに電話を掛け直すだけの簡単なお仕事らしいんですけどね?
掛け直す…
つまりはコチラが電話代持ちで応対するのだけど、中には
「あ、電話代掛かるから、一度切って、ソッチから掛け直してよ。」
なんて、ソレが当たり前だろって思ってる人もいる。
ソレはコチラから持ち掛けるサービスの範囲の事で、お客のアンタが言っちゃったらある意味、思い違いの思い上がりだよ。
あくまで、ソッチの都合で電話をかけてきたのだし、まだこの段階ではその「お客様」になるかも分からないのだし?
こんな事があったよ。
「あの物凄く困ってます。」
困っているのは僕ですよ。
開口一番そんな事言われて?
「あっちこっち聞いて見たのですが、有りますか?」
「まず何をお探しなのか教えて下さい。」
多分、この人…説明下手なのか、それとも今まで相当相手にされてなかったのか、説明が面倒になったか?
ま、いいや、
「あ、あれ、言って無かったっけ?
探してるドラマのDVDが有るって?」
「いえ、まだ何も。」
「そこ、オジマですよね?」
「いえ、古書店ですが。」
「えっ?あれ、あっ!オジマはさっき電話した所だった?」
「ウチのお店では中古のアニメDVDは多少取り扱いが有りますが、お探しのタイトルを教えてもらえますか?」
「あ、あ、アレだよ、ほらタケシが出てる刑事モノだよ?」
この人、この調子で聞いてまわってるのか?
今、アニメのDVDと言ったハズだけど、テレビドラマと思われる品物をお探しだね?
これは相当、ウザがられているな?
多分あの作品の事なんだろうけど、コレ昭和生まれの人でも知らないんじゃないかな?
かなりマイナーな作品だし?
「あの女優と共演されてるドラマですよね?たしか火曜日の…」
「そ、そ、ソレ!そのドラマのDVDだ、ソレください!」
「残念ですが、その作品まだDVD化されてませんね?
VHFで販売された様ですけど、ウチのお店には有りませんね。」
「何処なら有るの?」
ややキレ気味だけど?
「そうですね、いっそこの番組が放送されていた、テレビ局のドラマを多く販売しているメーカーに伺ってみては?」
「そこは何処だよ!」
もはや半ギレ、落ち着かせないと。
「今、そのメーカーのホームページを確認しています。
そのドラマはまだDVD化されていませんが、同じ制作スタッフのドラマが何本か発売されてますね。
例えば時代劇や教師モノなど、電話番号、お知りになりたいですか?」
先方には悪いが、丸投げさせてもらおうと。
「分かった、ソッチに電話する。」
とか。
「○○の新作って、在庫有りますか?」
「通常版と限定版、あとショップ限定版が有りますけど?」
「ナニが違うの?」
「特典が着くか、あとパッケージの絵ですね。」
「限定版の絵って、どんなの?」
「ホームページで紹介されてますよ?」
「ホームページ見れないだよ。」
「特典、初回ダウンロードコードなんですけど?」
「は?ナニそれ?」
はぁ~、今回の新作はネット環境無いとほぼ遊べないソフトらしいのに?
とにかく、中々に対応を間違えると恨まれるかも知れない案件を振られるのだ。
「オオタくん、このミドリの髪の子はなんて名前?」
「えっ?
ああ、エリコですね。」
「ありがと、
あ、ハイ、お待たせしました、ええとですね、エリコが制服のスカートの前を摘み上げて、ブルーの縞パンを見せてるパッケージです。
ハイ、その子だけです。」
「えっ⁈」
隣りで聞いていたオオタくんがビックリしてた。
今のご時世、スマホでもメーカーの新作紹介を見る事が出来るハズなんだけど、
「ソレは出来ない」と不思議な理由で頑なにサイトの確認をしない人がいる。
何か過去にあったの?
そこまで踏み込んで事情を聞く事はしないけど、大体は利益に繋がらない人が多い。
何故なら、
「あ、その商品ならたまたま有ります!
宅配便でお届け出来ますので、指定口座にお振込み…」
「面倒臭いから取り置きして!」
「お取り置きですと、一週間までになりますが?」
「住所とか口座番号とか知られたく無いので、取り置きしてください。
ソッチに行けるのは来月になるから。」
「取り置き出来るのは一週間ですが、必ずご来店出来ますか?」
「約束出来ない。」
いや、意味わからんよ?
「いや~、変わっているお客様の電話対応を猫森くんにお願いして正解だったよな、おかげてトラブルも起きてないし?」
本当に勘弁してくださいよ!
その後、その内の何人かはリピーターになったとさ。
但し、購入歴は無い。
電話するだけでお客様になったつもりの様だ?
まぁ周りの人に良い店が有ると、得意げに言いふらしてくれてると良いな?
大体が遠方からの問い合わせだ。
しかも、
「昭和の少女漫画の在庫を教えてください。」
なんて言うのモノから、
「古い成人漫画とか有りますか?」
なんてモノまで?
その理由は
「家にパソコンとか無いので、画像とか見れないんですよ、他のお店だとホームページを見てくださいの一点張りで相手にしてくれなくて?」
大手には出来ないサービスで顧客を獲得したいコチラとしては、袖に出来ない案件なのだ…
「…なのだ…って、そのほとんどが「オレの担当」なんですけど?」
そうなのだ、何故か俺がその「電話応対対応係」に任命された。
「いや、猫守くんって、そういうの得意そうだからさぁ?
なんていうの、適材適所みたいな?」
店長、ソレ丸投げって言いません?
まぁ画像が見れないお客さんに電話を掛け直すだけの簡単なお仕事らしいんですけどね?
掛け直す…
つまりはコチラが電話代持ちで応対するのだけど、中には
「あ、電話代掛かるから、一度切って、ソッチから掛け直してよ。」
なんて、ソレが当たり前だろって思ってる人もいる。
ソレはコチラから持ち掛けるサービスの範囲の事で、お客のアンタが言っちゃったらある意味、思い違いの思い上がりだよ。
あくまで、ソッチの都合で電話をかけてきたのだし、まだこの段階ではその「お客様」になるかも分からないのだし?
こんな事があったよ。
「あの物凄く困ってます。」
困っているのは僕ですよ。
開口一番そんな事言われて?
「あっちこっち聞いて見たのですが、有りますか?」
「まず何をお探しなのか教えて下さい。」
多分、この人…説明下手なのか、それとも今まで相当相手にされてなかったのか、説明が面倒になったか?
ま、いいや、
「あ、あれ、言って無かったっけ?
探してるドラマのDVDが有るって?」
「いえ、まだ何も。」
「そこ、オジマですよね?」
「いえ、古書店ですが。」
「えっ?あれ、あっ!オジマはさっき電話した所だった?」
「ウチのお店では中古のアニメDVDは多少取り扱いが有りますが、お探しのタイトルを教えてもらえますか?」
「あ、あ、アレだよ、ほらタケシが出てる刑事モノだよ?」
この人、この調子で聞いてまわってるのか?
今、アニメのDVDと言ったハズだけど、テレビドラマと思われる品物をお探しだね?
これは相当、ウザがられているな?
多分あの作品の事なんだろうけど、コレ昭和生まれの人でも知らないんじゃないかな?
かなりマイナーな作品だし?
「あの女優と共演されてるドラマですよね?たしか火曜日の…」
「そ、そ、ソレ!そのドラマのDVDだ、ソレください!」
「残念ですが、その作品まだDVD化されてませんね?
VHFで販売された様ですけど、ウチのお店には有りませんね。」
「何処なら有るの?」
ややキレ気味だけど?
「そうですね、いっそこの番組が放送されていた、テレビ局のドラマを多く販売しているメーカーに伺ってみては?」
「そこは何処だよ!」
もはや半ギレ、落ち着かせないと。
「今、そのメーカーのホームページを確認しています。
そのドラマはまだDVD化されていませんが、同じ制作スタッフのドラマが何本か発売されてますね。
例えば時代劇や教師モノなど、電話番号、お知りになりたいですか?」
先方には悪いが、丸投げさせてもらおうと。
「分かった、ソッチに電話する。」
とか。
「○○の新作って、在庫有りますか?」
「通常版と限定版、あとショップ限定版が有りますけど?」
「ナニが違うの?」
「特典が着くか、あとパッケージの絵ですね。」
「限定版の絵って、どんなの?」
「ホームページで紹介されてますよ?」
「ホームページ見れないだよ。」
「特典、初回ダウンロードコードなんですけど?」
「は?ナニそれ?」
はぁ~、今回の新作はネット環境無いとほぼ遊べないソフトらしいのに?
とにかく、中々に対応を間違えると恨まれるかも知れない案件を振られるのだ。
「オオタくん、このミドリの髪の子はなんて名前?」
「えっ?
ああ、エリコですね。」
「ありがと、
あ、ハイ、お待たせしました、ええとですね、エリコが制服のスカートの前を摘み上げて、ブルーの縞パンを見せてるパッケージです。
ハイ、その子だけです。」
「えっ⁈」
隣りで聞いていたオオタくんがビックリしてた。
今のご時世、スマホでもメーカーの新作紹介を見る事が出来るハズなんだけど、
「ソレは出来ない」と不思議な理由で頑なにサイトの確認をしない人がいる。
何か過去にあったの?
そこまで踏み込んで事情を聞く事はしないけど、大体は利益に繋がらない人が多い。
何故なら、
「あ、その商品ならたまたま有ります!
宅配便でお届け出来ますので、指定口座にお振込み…」
「面倒臭いから取り置きして!」
「お取り置きですと、一週間までになりますが?」
「住所とか口座番号とか知られたく無いので、取り置きしてください。
ソッチに行けるのは来月になるから。」
「取り置き出来るのは一週間ですが、必ずご来店出来ますか?」
「約束出来ない。」
いや、意味わからんよ?
「いや~、変わっているお客様の電話対応を猫森くんにお願いして正解だったよな、おかげてトラブルも起きてないし?」
本当に勘弁してくださいよ!
その後、その内の何人かはリピーターになったとさ。
但し、購入歴は無い。
電話するだけでお客様になったつもりの様だ?
まぁ周りの人に良い店が有ると、得意げに言いふらしてくれてると良いな?
応援ありがとうございます!
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