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第十四話 7

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 正宗が初めて私を見かけたという百貨店へ行く。

 ベビー用品の売り場へ行きその品揃えの多さに圧倒されながら一周見て回り、ふと気がつくと黒い伊東さんと柄シャツの小笹さんが、私の後ろで注目を浴びているのがわかる。

 平日の午前中だが夏休みで涼みに来ている人、祖父母と子供服売り場に来ている人で賑わい始めていた。

「なんか…ごめんなさい。急ぐね」

 小言で二人に言うと

「気にせず、ごゆっくり」

 伊東さんがにこやかに言った時、前から声がした。

「綸?」

 伊東さんが私の斜め一歩前に立ち、小笹さんは私の真横に並ぶ。彼らに軽く会釈をして

「綸、久しぶり」

 3ヶ月ごとの男、最後だったかな…橋本マネージャーがニコッと言う。どういう挨拶をするのが正解なのかな?

 伊東さんたちは私に付く時点で何もかも知っているから隠すってことではないけど、売り場でのこの声の掛け方に少々戸惑う。

「こんにちは?」
「ははっ、こんにちは。元気だった?」
「…はい」
「今日は買い物?」
「はい」
「俺このフロアのマネージャーなんだ、今。案内するよ」

 そう言って彼は私に並びかけたが

「大丈夫です。もうお店決めたので」
「じゃあ一緒に行くよ、どこ?」

 私が店を言うと、彼は私と並んで歩きながら、後ろの伊東さんたちに聞こえないように言う。

「綸、二人も男連れて買い物してんの?」

 返事せず店に入ると、選び始めた私にまだ並び

「また会えないか?産後の嫁はダメなんだよ」
「会いません」
「たまにでいいよ」

 そう言い周囲から死角になるであろう方のヒップを……さっと一撫でした。

「伊東さ…」

 私が言うまでもなく、彼は私を引き小笹さんがマネージャーの腕を取っていた。もう伊東さんは誰かに電話してる。

「会いませんって言ったのに…」

 橋本マネージャーに言うと

「痛いっ、放してくれ。綸、お前何なんだ?」
「小笹さん、もう手は放して大丈夫」

 手が解放されるとすぐに私のスマホが鳴り、えっ?

「はい、綸です。お父さん?」
 
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