161 / 340
第十四話 8
しおりを挟む
「綸、その百貨店は切ることにする。他に是非と言って来ているところが沢山あるから、次に使う百貨店を綸が決めればいい。一緒に行くぞ」
「そう…わかった」
「今日はもう用が済んだのか?」
「まだ」
「なら、今から次に行く」
「お父さん、待って!私もうこのあと約束があるの。だから今度お願いします」
電話中にバタバタと館の方が走り寄って来ていたが、私は高須のやり方に従うのみだ。
「伊東さん小笹さん、今日はこのまま田嶋さんのところへお願いします」
「「はい」」
館の外商の方々であろう数人が
「お待ち下さい、高須様」
「高須様、誠に申し訳ございません」
口々に謝罪や何かを口にする。いやいや、もうお父さんの決定だし…と思っていると
「高須?」
マネージャーが腕を振りながら誰にともなく聞く。
「橋本っ!何突っ立ってる!?こちら高須の若様のご婚約者だぞ」
「何てことを仕出かしてくれたんだ、橋本っ!」
皆がマネージャーに向いた時に歩き出すと、また囲まれる。
「高須の父の決めたことです。すみませんが前をあけて頂けますか?」
そして……
今は田嶋さんのお店のカウンターにリッキーと並んで座り、午前中の報告をしながら海鮮丼を待つ。
「それはその百貨店、今頃全国の全店舗が激震中だね」
とリッキーが私と同じ色の髪を揺らして笑う。田嶋さんも笑いながら
「で、他の百貨店は次うちか?どこだ?高須が来るぞ、ってソワソワしてるな」
「おかげで凛ちゃんのもの買いそびれちゃった。でもね」
私はバッグから包みを取り出し
「リッキーの誕生日プレゼントは準備していたから大丈夫。1日早いけど…お誕生日おめでとう、リッキー」
「ありがとう、綸ちゃん。感激」
「ふふっ、まだ見てないのに感激なの?開けてみて」
リッキーはおしぼりでもう一度手を拭き、包みを開けながら
「このブランド、正宗たちが行くところだろ?」
「うん。でもプレゼントは私が一人で選んで買ったよ。あの刃物騒動の日だよ」
騒ぎは国府にも伝わっており、あの翌日にリッキーと一美さんから電話をもらった。
「ああ…無事で良かったよ、ほんと……」
彼は私の頭をポンポンと撫でてから、そっと箱を開けた。
「………」
何も言わず、じっと箱の中を見つめる彼に好みでなかったかなと心配になる。
「そう…わかった」
「今日はもう用が済んだのか?」
「まだ」
「なら、今から次に行く」
「お父さん、待って!私もうこのあと約束があるの。だから今度お願いします」
電話中にバタバタと館の方が走り寄って来ていたが、私は高須のやり方に従うのみだ。
「伊東さん小笹さん、今日はこのまま田嶋さんのところへお願いします」
「「はい」」
館の外商の方々であろう数人が
「お待ち下さい、高須様」
「高須様、誠に申し訳ございません」
口々に謝罪や何かを口にする。いやいや、もうお父さんの決定だし…と思っていると
「高須?」
マネージャーが腕を振りながら誰にともなく聞く。
「橋本っ!何突っ立ってる!?こちら高須の若様のご婚約者だぞ」
「何てことを仕出かしてくれたんだ、橋本っ!」
皆がマネージャーに向いた時に歩き出すと、また囲まれる。
「高須の父の決めたことです。すみませんが前をあけて頂けますか?」
そして……
今は田嶋さんのお店のカウンターにリッキーと並んで座り、午前中の報告をしながら海鮮丼を待つ。
「それはその百貨店、今頃全国の全店舗が激震中だね」
とリッキーが私と同じ色の髪を揺らして笑う。田嶋さんも笑いながら
「で、他の百貨店は次うちか?どこだ?高須が来るぞ、ってソワソワしてるな」
「おかげで凛ちゃんのもの買いそびれちゃった。でもね」
私はバッグから包みを取り出し
「リッキーの誕生日プレゼントは準備していたから大丈夫。1日早いけど…お誕生日おめでとう、リッキー」
「ありがとう、綸ちゃん。感激」
「ふふっ、まだ見てないのに感激なの?開けてみて」
リッキーはおしぼりでもう一度手を拭き、包みを開けながら
「このブランド、正宗たちが行くところだろ?」
「うん。でもプレゼントは私が一人で選んで買ったよ。あの刃物騒動の日だよ」
騒ぎは国府にも伝わっており、あの翌日にリッキーと一美さんから電話をもらった。
「ああ…無事で良かったよ、ほんと……」
彼は私の頭をポンポンと撫でてから、そっと箱を開けた。
「………」
何も言わず、じっと箱の中を見つめる彼に好みでなかったかなと心配になる。
100
お気に入りに追加
248
あなたにおすすめの小説
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる