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成長期と成長痛 17

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ホッとした様子を見せた玖未の手を引き、右京と女から数歩離れた。

「たくさん話せたか?」

玖未の腰を抱きそっと聞く。

カフェで大声で話すわけではないから通路を挟んでは部分的にしか聞こえない。しかし俺たちの片耳には盗聴器から二人の声が流れてきていた。

適当に仕事をしながら、玖未の右京の‘噂’暴露に4人ともが吹き出すのを堪えたのは表彰ものだ。

口数には個人差がある。だから一方的に話するのが悪いとは言わない。

だが、相手の思惑が十分汲み取れた上での一方的な話ならだ。その部分がこの女には欠けていると感じる。

玖未がピアスに興味があるというのは朗報だ。

女が役に立ったと思った次の瞬間‘玖未は転けてそのケガって最悪だけど’という言葉が聞こえてきて津川がヤクザ顔でヒートアップしそうになっていた。

この前の電話を聞いてもそうだ。

コイツの言葉には優しさや思いやりが感じられない。

子どもが見たままを言うだけなのと似ている。それが幼少期の愛情不足のせいなのか、玖未に対してだけなのか…問題はそこだな。

親を知らずに施設だけで育っていたところで友達になったのが玖未。その後自分は自室もある一軒家の子どもになり、高校大学も出た。その立場から向かい合う玖未に対する気持ち、立ち位置などが変化したとすれば…責めるつもりはないが玖未への攻撃、ダメージになるものは避けたい。

‘中山さん、何か俺に用だった?’

インカム使って組員に会話を公開するつもりか、右京?そう思った俺の隣で玖未が遠くの組員にペコリと頭を下げて挨拶した。

これには玖未に慣れてもらうしかない。成長中だからどこかに痛みを伴うかもしれない。

だから今もぎゅっと手を握って手当てをする。

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