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諭し説き口説く 4
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「眠られましたか…」
下のコンビニで歯ブラシや、手でそのまま食べられそうな物を少し買ってきた野沢が静かに向かいに座る。
「眠いという感じではなかった…力尽きたってところだろ」
「治療も痛みを伴いますからね。そちらをベッドにしますか?」
「いや」
野沢がこちらのソファーをベッドにするかと聞くが、万が一、玖未が深く眠っていない時のことを考えて首を振り、玖未のスマホを視線で示す。
3人の視線が合ったところで
「もう朝飯って言っていい時間だな。食っていい?」
右京が普通の声で話し、がさがさとコンビニの袋の音を立てて中身を出す。
俺は瞼の動かない玖未を抱き直して、この階の寝室に運ぶとベッドに寝かせ電気をつけたまま、ドアも開けたままでリビングに戻る。
「開けてある」
小さく俺が言うと、頷いた二人も小声で話を始める。
「これは操作しても?」
「ん、登録する。そのために玖未が差し出したからそれは問題ねぇ」
「私たちと灰谷兄妹、里まで入れておきましょう」
俺が自分の連絡先だけ登録すると、あとは野沢が全て登録した。
そして
「若、確かめてもよろしいですか?」
「そのつもりだ」
野沢がまず玖未の通話履歴を表示する。
「げっ…電話連絡取ってるの、アイツだけじゃん。俺たちの仮定が思い切り信憑性を帯びるんだけど?」
「でも会ってる感じはないんですよね」
「電話も頻繁でもないな…だが、切れてない程度…ある程度定期的に連絡はある…か」
下のコンビニで歯ブラシや、手でそのまま食べられそうな物を少し買ってきた野沢が静かに向かいに座る。
「眠いという感じではなかった…力尽きたってところだろ」
「治療も痛みを伴いますからね。そちらをベッドにしますか?」
「いや」
野沢がこちらのソファーをベッドにするかと聞くが、万が一、玖未が深く眠っていない時のことを考えて首を振り、玖未のスマホを視線で示す。
3人の視線が合ったところで
「もう朝飯って言っていい時間だな。食っていい?」
右京が普通の声で話し、がさがさとコンビニの袋の音を立てて中身を出す。
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「げっ…電話連絡取ってるの、アイツだけじゃん。俺たちの仮定が思い切り信憑性を帯びるんだけど?」
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